やめられないもの

やめられないと思っていたものも
やめてみればあっけないもんで
結局のところそれはただの習慣で
惰性で続けていただけなのかもしれない

どうやってやめたんですかと問われても
ある日やめようと思ってやめましたとしか
答えられなくて頭を下げる

必要だと思っていただけ
手放せないと思っていただけ
あってもなくても同じだった
ただ何となく手に取って
ただ何となく握りしめていた

やめられないものなんてあるのだろうか
そんなの気持ちひとつでしょなんて
自分で自分に生意気な口をきいたところで
隠し持っている何かに気づいて愕然とする

別にやめても死なないし
そんなのただの気休めでしょ
この世の中にどれだけの
人間がいると思ってんのよ
いいかげん忘れなさいよ
何度も自分を罵倒する

心の中に棲んでいる者を
何度追い払ってみたところで
どっかりと胡座をかいて
けらけらと笑っている
どうにか忘れようとして
試行錯誤してみたけれど
何をしようとびくともしない

やめられないもの
変えられないもの
逃げ出せないもの

時が経てばと呟いてから
随分と月日が流れてしまった

時が経てば
時が経てば

あぁもうすぐ2023年が
終わるのだ