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たぶん、ここ。

人やものとの距離感について再考。

ある時は近すぎると驚かれたり
いつまで経っても遠すぎると呆れられたり
一方で引こうと思っても引けなかったり
近づいてこられるのが怖くて後ずさりしたり。

適切な距離がわからぬままに近づきすぎて
何を見ているのかわからなくなって怖くなって
ある時ぱっと放してみたのだった。
それは静かに水中に沈んでいった。

そのまま陸に上がることなどできるはずもなく
沈んでいった何かが海の底に触れて
ふわりと砂が舞い上がるのを見つめていた。
遠くなってしまってもその美しさに変わりはなく
暗い暗い海の底でぼんやりと光っていた。

わかった。たぶん、ここ。
近くもなく遠くもない。
近すぎても遠すぎても愛していることに
変わりはなかったけれど
しがみつくわけでもなくかといって
突き放すわけでもなくむしろ
ただわたしはここにいて
近づいてくれば抱きしめるし
離れていけば微笑んで
いつまでも見守っている。

触れたい見つめたい愛でたい
もっとそばでもっと見つめて
誘惑は絶え間なく押し寄せるけれど
たぶん、いやきっとここ。

操らない操られない
そういう場所にこれからは
いられたらいい。

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