見出し画像

中国中高年化粧品市場の過去、現在と未来への展望②

こんにちは。国際派経営者の続です。

第一回では、中国中高年化粧品市場の過去を振り返ってみました。詳細な内容は下記の記事をお読みください。

第二回では、新コロナ前後の最新動向を紹介しながら、この業界の未来への展望も語りたいと思います。

二、中国中高年化粧品市場の形成と最新動向
近年来、中国では中高年化粧品市場は次第に形成しており、且つ、速いスピードで拡大している。これは下記二つの事実から裏付けられている。

まず、上記の2000年前後、沢山の国産化粧品メーカーの誕生に伴い、初代の化粧人口は当時20代半ばと推算した場合、現時点では、もはや45歳前後の中高年女性となり、且つ、人数的にも相当のボリュームがある。近い将来、50+女性人口には化粧品のニーズが爆発的に生まれると予測されている。

次は、中国はすでに高齢者社会となっている。2018年の統計データによると、上海、北京、広州の戸籍登録人口の中に60歳以上の人口が占める比率はそれぞれに32.2%24.5%18.3%となり、うち、上海と北京はもはや超高齢化社会となり、広州も間もなくその仲間入りとなる。

一方、上記のような一級都市では50+人口が大量に増えているだけなく、地元経済が全国において発達している地域でもあるため、例えば、北京の平均GDPは2.4万米ドル。それらの地域の50+人口の消費力も高く、先進国並みの消費水準となっていると言われている。

以上をもって、中国中高年化粧品市場が黎明期にありながら、速いスピードで発展しており、その中で、一級都市(上海、北京と広州等)の該当市場は先にブレークし、全国をリードしている。

同時に、二級と三級都市においても、目下、新コロナによるネット販売とライブコマースの普及で化粧品へのニーズや消費力のある50+女性客層が増えると予測されている。

1、中高年向け化粧品メーカーの特徴
現在、この客層の化粧美容のニーズに応えられる化粧品メーカーは殆ど数十年の研究開発を積み重ねた海外の有名ブランドとなり、プレミアムセクターをリードしている。一方、中国化粧品メーカーは中高年層に特化した化粧品が少なく、ここ数年来、ボリュームゾーンの化粧品の細分化市場に力を入れようとする。
 
2、中高年向け化粧品の商品コンセプト上の特徴
中国の50+女性人口は一般的に、化粧美容に関する知識が欠けているため、化粧品において複雑な機能や使い方であれば、長く使い続けてもらえなくなるリスクがある。なので、「シンプル」と「All in one」(即ち、複数の機能を一体化すること)という商品コンセプトが好まれる傾向がある。
 
3、中高年向け化粧品の機能上の特徴
この客層が求める化粧品の機能はアンチエイジング、光沢感と保湿となっている。

フランス人女性が80歳以上からを高齢者と認識しており、年を取るにつれて自然に出るしわやたるみを過度に意識せず共存できると反対に、中国女性は「老いる」ことをとても意識し、30歳以上からはしわやたるみ対策に効くアンチエイジングの化粧品を購入する傾向がある。

ただし、市場に提供されている中国国産化粧品メーカーのアンチエイジング化粧品のラインアップを調査したところ、ほどんどは30歳以上の全ての女性に適用するという広い年齢層の定義で最大限に客層をカバーする意図が伺えるが、30歳以上の若年層女性と50+中高年女性の肌質が違うだけに同じ成分の化粧品で肌性質の違う二つの客層を同時に満足させることが難しいと思われる。それは中国化粧品メーカーにとって一つの課題と言えるが、一方、この分野において技術力と商品力のある海外メーカー、特に中小ブランドにとっては大きいビジネスチャンスとなるかもしれない。

光沢感という機能は言うまでもなく、中高年女性は年をとることにつれて、女性ホルモンがだんだん減っていくなかで、肌色も若い時と比べてくすむ(暗く見える)という特徴もあるので、光沢感の効果を演出できる化粧品はこの年齢層の女性に常に人気があるという。

保湿機能のある化粧品は年齢要素と季節要素によって地域問わず年中に人気がある。気候が乾燥している中国北方地域の中高年女性に特に人気がある。

三、中国中高年化粧品市場への展望
中国50+女性の化粧品市場は黎明期にありながら、速いスピードで発展している。近い将来、市場規模が世界一位となることは時間の問題だけである。

一級都市では消費意欲と経済力のある中高年女性人口が沢山存在しているため、当該市場の形成はまずこれらの地域からスタートし、全国をリードするでしょう。

海外メーカーはその技術の優位性を生かしながら、絶えず研究開発を積み重ね、技術力のある高い単価の化粧品を中国市場に継続的に投入し続け、主にプレミアム市場を狙うと考えられる。これまで、この分野で50+女性客層に確立した海外化粧品のプレミアムブランドへの信頼関係も、それらのブランドは中国中高年化粧品市場のプレミアムセクターを今後引き続きリードすることを下支えている。

今後、技術力と商品力のある海外中小メーカーにとっても十分商機があると予測できる。特にアンチエイジング等の効能を実現できる機能性原料、手頃な価格と安定的サプライを満足させるメーカーには見込みが大きいと言える。

一方、中国メーカーは中高年層に特化した化粧品が少なく、今後、力を入れようとする。細分化した市場からみれば、上記の海外ブランドのプレミアムセクターではなく、ボリュームゾンのセクターになると考えられる。

近い将来、世界最大の中高年化粧品市場となる中国市場は、国内外の大手メーカーだけではなく、「本物志向」の技術力のある海外中小メーカーにとっても、大きい商機が潜めているに間違いないでしょう。

以上をもって二回に渡り、中国中高年化粧品市場の過去、現在を紹介し、業界の未来を大胆予測。この業界への関心をお持ちの日系企業や個人の方々に参考になれば幸いです。ご感想やコメント大歓迎。

更に中国シニア市場の最新情報をもっと知りたい方はこちらへ。
公式サイト:khyj-888.p-kit.com
Twitter:北京中国シニア情報最前線


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?