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ユーザーインタビューの現場で明日から使えるTips集

はじめまして!Chompyでプロダクトマネージャーをしているイリー(@illy)です。
このnoteは「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2021」の4日目の投稿です。
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この記事で書くこと

顧客の抱える課題を解決できるプロダクトを作るためには、顧客の置かれた状況をとにかく解像度高く理解することが必要であり、ユーザーインタビューはとても有効な手段の一つだと思います。

「そもそもどんなことを聞くべきか」という、インタビューの設計段階のポイントを説明する記事や書籍は多いものの、設計を終えた後で実際に現場に出てインタビューを行う際のポイントを説明した記事は意外と少ない気がします。

そこで、この記事では「実際にインタビューの現場に出たときに明日から使えるレベルの具体的なTips」を紹介したいと思います💡

Chompyとは?

今担当しているプロダクトを前提とした話がたくさん出てくるので、簡単に事業内容を紹介します。

Chompyでは大きく2つの事業を運営しています。

①フードデリバリープラットフォーム事業としての『Chompy』
デリバリープラットフォーム。僕は飲食店チームの責任者として開発、プロダクトマネジメント、営業戦略策定などを行なっています。

②飲食店向けストアフロント事業
飲食店さんが独自でアプリを持ち、ユーザーさんのデータを活用しながらプラットフォームの事情に左右されずにファンの方とつながれるストアフロント。こっちでは特にドメインは問わず全体のプロダクトマネージャーをしています。

こういう事業の特性なので、飲食店さんにもエンドユーザーさんにもインタビューをたくさん行なっています💪

明日から使えるTips集

ということで、前置きが長くなりましたが本題のTipsをガンガン書いていきます!

① なるべく意見ではなく事実を聞けるような質問をする

例えば飲食店さん向けタブレットの「売り切れ機能」の改善ポイントについて議論したいとき、飲食店さんには「よく売り切れになるメニューはなんですか?」ではなく「いちばん売り切れになるメニューはなんですか?」と聞くと、話し手の答えに意見や解釈が混じりづらい。
ファクトを聞くべきという方針は散々いろんなところで書かれていると思うが、その具体的な実現方法として「ファクトで教えてください...!」と意気込んで聞いちゃうのではなく、相手が事実を思い出して答えたくなるような質問をする
「いちばんxxxなもの」や「きのう何をしたか」など、ファクトを思い出しやすいようにシーンを限定するのがおすすめ。

② 実際に体験した「ストーリー」を話してもらえるよう会話を導く

ファクトが大事だからといって、答えが一つだけ返ってくるような問いをぶつけて一問一答式に聞くだけなのも良くない。相手が「そうそう、こないだはこんなことがあって...」と話してくれるようなコミュニケーションを意識する。
ユーザーインタビューは聞き手が事前に用意した質問リストを埋めることだけではなく、想定すらしていなかったインサイトを手に入れたり、現場で起きていることを超具体的に理解することも大きな目的。
質問への答えをシャープに作って返しているときではなく、少し自由度の高い状態で話をしているときに、そこで生まれる余白の中から本心や大事なことがこぼれたりするので、そのポイントを見落とさない。
めちゃくちゃ細かいが、Zoomでインタビューをするときなどに「聞きたいことリスト」が書かれたページを画面共有した状態で話すと「こんな雑談しちゃって大丈夫かな…」と感じさせてしまう可能性が高いので、ストーリーを聞くときは画面共有をやめて面と向かって対話をするのがおすすめ。

③ 相手のフィールドに立つ

飲食店さんにインタビューをする場合なら「システム屋さんのところに呼ばれて質問されにきた」ではなく「お店に相談に乗りにきてくれた」と思ってもらえるような状況を作れたら理想。
エンドユーザーさんの場合なら「私の地元のコミュニティに他の街から遊びに来てくれた」と感じてもらえると理想。
ホームに感じてもらってリラックスして話してもらう
自分の話をダラダラと積極的にするのはNGだが、こういう状況を作り出すために必要なアイスブレイクは要所要所で挟む。
これまた細かいが、僕はインタビューがある日は会社ロゴの書かれたTシャツを着ないし、いきなり名刺を渡したりもしないし、Zoomのバーチャル背景に会社名をでかでかと載せたりしない。あくまで自分は相手のホームにお邪魔する立場であることを忘れないようにするために意識しているポイント。

④ 「わからないことはありますか?」ではなく「気になることはありますか?」と聞く

「わからないことある?」と言っちゃうと、話し手は何か質問をするために「自分はこれがわからない」と認めないといけなくて心理的なハードルが上がる。
「どんな初歩的なことでもいいんでわからないことあれば」みたいに譲歩をしても、「自分は初歩的なこともわからない」と認めないといけないのでハードルが余計に高くなったりする。上で書いた話とも共通するが、こういう仕事をしていると「システムに詳しい人 対 システムに詳しくない人」という構図に感じさせてしまいがちなので尚更気をつける。
「気になることはありますか?」と聞くと、疑問や些細な意見を言うハードルが下がるのでなるべくこういう語彙を使う。

⑤ 語尾を質問調子にしない

「今日は僕たちの提供するアプリ?…の使い勝手や所感?…について、週に1回以上?…利用していただいている〇〇さんのご意見を聞きながら?…これから社内でサービスの具体的な改善ポイント…?を決めていくために」

こういう話し方をしないこと🤦🏻‍♂️

学生時代にアメリカ西海岸のシアトルに留学していたことがあり、そこで受講したBusiness Communicationという講義で教わったポイント。
先生曰く、マイノリティな立場な方が多い西海岸ではこういう話し方をする人が多いらしく「コンセンサスを取りながら自分の意見を少しずつ主張していく」というクセのようなものらしい。(実際僕もほとんど英語が話せない状態で渡米したアジア人だったのでめちゃくちゃ緊張して萎縮していて、自分の意見を認めてもらいたくておそるおそる話してた)
インタビューの場面だけでなく、自信を持って話をすべきシーンでは聞き手にとって聞きづらい口調は避けたいので、ビデオなどで自分のクセをチェックして意識的に直しちゃうのがおすすめ。

⑥ 視点は大きく移動する

例えば「たくさん機能要望いただいたけど優先順位がわからないな」と感じたとき、たくさんアイデアを出す発散的な視点から、優先順位をつけて直列に並べ替えるような収束的な視点に移りたいと思う。こういうときは「今日いただいた意見の中で、どれか一つだけいますぐ手に入るとしたらどれがいいですか?」と聞いちゃうのがおすすめ。
「現状の仕様ありきな小さなフィードバックばかりをいただいてしまってるな」と感じたら、今自分と顧客が見えている視点だけではなく「そもそも理想としてどうあるべきか」と考える視点に移りたい。こういうときは「一旦今までの話全部忘れて、〇〇という課題を解決するためになんでもやっていいとしたら何をしますか?」と聞いちゃう。
視点を段階的にスムーズに移動するのはとても難しいので、対極にあるような視点に一気に振り切るような質問をするといい。

⑦ 質問をする前にシンキングタイムをとる

ある機能Aについて顧客の所感を聞きたいときに、15分ぐらい機能の説明をし切ってしまった後でいきなり「どう思いますか?」と聞くと話し手はびっくりするし、急に聞かれても答えに困ることが多い。
機能の紹介を始める前に「僕が今から一通り機能の紹介をしますね。15分ぐらいで話した後で〇〇さんの率直なご意見を聞きたいので、気になるポイントがあったらぜひメモを取ったりしながら考えておいてください!」と言ってから説明を始めるといい。相手が話しやすくするためのファシリテーション超大事
ここでも「気になるポイントがあったら」と言ってることに注意。「わからないことがあれば」と言わない。

⑧ 書いて見せながら話す

例えば「フードデリバリー関係なく、お店のメニューが売り切れちゃったときはどういう対応をするんですか?」と聞いて、お店の方が「大体私が最初に気づいてバイトの子に伝えてます」のような返答が得られたとする。
このときに、話し手の目の前で

1. 〇〇さんが気づく
2. 〇〇さんがバイトスタッフさんに口頭で伝える

のように書いてみせる。そうすると「あ、それで言うと最初に気づくのは厳密には私じゃなく厨房の△△さんですね」という話が出てくるのでこう書き換える。

1. 厨房の△△さんが気づく
2. △△さんが〇〇さんに伝える
3. 〇〇さんがバイトスタッフさんに口頭で伝える

そうすると「伝えるのは口頭じゃなくて紙に書いてます。それをみんなで見てる感じです。」という話が出てくるので、同じように

1. 厨房の△△さんが気づく
2. △△さんが〇〇さんに伝える
3. 〇〇さんが紙に書く
4. スタッフさんたちが紙を見て売り切れに気づく

と書く。
ワークフローや心理状態を正確に理解したいとき、その旨を話し手に伝えていたとしても「正確さ」の基準は人によって異なるため、求めている水準の正確さで答えてもらえない場合が多い。
なので、書く。書いたものを一緒に見ながら話すから認識が揃っていくし、目の前に何かしらのアウトプットがあると違和感を感じたときに「ここが違う」と伝えたくなる

終わりに

「モバイルアプリマーケティングのアドベントカレンダー」と言いつつ、いわゆるマーケ文脈とはちょっと外れた記事を書いてしまいましたが、「書籍や記事で学んだ原理・原則を実際に実行するためには何をするべきか」という視点で、少しでも役立つ情報を提供できていたら嬉しいです🙏

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