不完全なこの世界でキミに伝える言葉

ぼくはキミに何を伝えられるだろうか。愛しきキミへ。

言葉はあまりに不完全すぎて。ぼくが放つ言葉が同じようにキミを震わせるとは限らない。きっとそれは、まったく違った波動を放つ。でもその不完全性こそがこの世のすべて。

最近ぼくは泣いてばかりいる。

なにかを気づかせるような鳥の声が、優しく撫でる風が、果てしなく青い空が、静かな雨が、激しくぼくの全身を射抜き、その美しさを表現するすべを持たないぼくは、ただ涙を流すことしかできず、圧倒的なその世界で立ち尽くす。

この世の圧倒的な完全さと不完全さ。光を包む闇。

生きていてよかったと、心から思う。死んでしまいたかったあの頃。正確に言えば、死にたかったわけですらなく、ただ生きていたくなかったのだ。その意味は、180度くらい違う。

でもいま、今しかないいま、まっさらな混じり気のない100%の360度の気持ちで思っている。
生きていてよかったと。

時がたてば、ぼくはこの気持ちをキミにもっとうまく伝えられるだろうか。うまく伝えられるようになったらぼくはどうなってしまうのだろう。不完全性に魅せられてしまったぼくは、ここから進むことができるのだろうか。

ああ、もう夜が明けてしまう。魔法が解けて、官能的な薄紅色の空が天使を連れてきた。僕はまた生まれ変わる。次会うときまでに、キミに贈る言葉を考えておくよ。

そのときまで、ぼくは、圧倒的に不完全なこのうつくしき世界のために涙を流し続けるだろう。