「未来人材ビジョン」を読んで
こんにちは、戸田です。
経済産業省より今年5月にまとめられた「未来人材ビジョン」を読みました。
■「未来人材ビジョン」経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/20220531_1.pdf
人口減少が確定している日本で、これからの雇用・人材育成と教育システムを一体的に俯瞰して議論することへの問題意識に端を発し、目指すべき方向性に2つが挙げられています。
1. 旧来の日本型雇用システムからの転換
2. 好きなことに夢中になれる教育への転換
私はこれを読んで、これらがなかなか実現しない背景には、次のようなことがあるのではないかと感じています。
1. 「どの程度のことをリスクとして感じるか」の閾値が低いので、色々なことが何でも“リスク”になりがち=リスクが多い世の中に生きている、という感覚が強い
2. そんな中で、「リスクを取る」ことにそもそも気持ちが向かない=動かない方が得
3. そして周りの人たちもやっぱり動かないので、日々の問題意識も生まれにくい=世界競争とのギャップ、ゆでガエル状態・・・国外で働いて帰国した人がよく指摘する光景
この種の議論は、全体感を話し合うだけでは具体的にどこをどうしたらいいのかを導きにくいところですが、こと経営上の視座に限って言うならば、解はシンプルだと考えています。
経営の立場からは、いかに「リスクを取れる経営」を実践するか、すなわち、いかに組織(社員)がリスクを取れる環境を創り上げて維持していくか、に尽きるのです。
リスクを取ろうとするからこそ、はじめて創造性や革新性といったものが生まれ育まれますが=上記レポートで言う「転換」が促されますが、現状では、説明責任や蓋然性・合理性を求める圧力が強いために、経営のバランスが、どちらかと言えばリスクを回避しようとする目線が強い(+関係者もそれを支持する傾向にある)と理解しています。
ですから、いかに失敗しないか、という経営の行動が評価されやすく、どれだけリスクを取ったか、は経営として評価されにくいために(いわゆる“失敗”という着地になることが多いので)、おのずとリスク制御の経営に陥るわけです。
そして、こうした構造的な要因に負けることなく、リスクの取り方が優れている経営の事例はあります。中でも、いわゆる一代で大きな事業まで成長した日本電産やソフトバンク、ユニクロといった企業などはもちろん素晴らしいのですが、ただ、それ以上に、リクルートやソニー、アイリスオーヤマなど、リーダーも優れながら「経営の仕組み」として自由闊達に自律的な人材を次々と生み出していくモデルこそが、これからの時代は一層求められていくと私は考えます。
また、もう一つの視点として、オーナー会社の方がリスクを取りやすい、ということも多方面で指摘されている通りです。そして言うまでもなく、日本の中堅・中小企業の多くはオーナー企業です。ですから、日本の多彩な中堅・中小企業こそが、今回のレポートで求められているような創造性や革新性の先頭に立ち、小回りを利かせて変革をリードしていける存在になれるとも感じています。
本日は、以上です。
読んでくださってありがとうございました。
TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
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