見出し画像

新聞配達バイトやって「コンテンツを届ける」妄想した

新聞配達アルバイト、週3日ペースで朝刊を配り続けてきのう2022年5月31日に退職しました。

思い返せば2月上旬の休日。隣街までの散歩中、新聞販売店の前で「新聞配達アルバイト募集中」の貼り紙を目にします。そして3月中旬、電話で問い合わせ、履歴書を持って採用面接を受け、無事に採用され。2週間の研修期間を経て、新聞配達を始めたのでした。

新聞配達アルバイトなぜやろうとしたか。プリントメディアが2022年時点でも主力事業で、デジタルメディアが補助的な運営となっている違和感を「プリントメディアの読者に近い現場」を見て言語化したかったのです。しかも2022年2月末日、3年間ほど所属していたスタートアップ企業を退職。前年に設立した独り合同会社で活動しつつも、3月は業務的に余裕がある状況でした。「副業可の会社でも新聞配達という二足のわらじはできない。今の状況はチャンスでは?」と思うあたり、“現場大好き”な自分らしいところ。

勤務開始はトラックが到着する午前1時半。新聞は60部もしくは80部の梱包で納品、荷下ろしして梱包を解きチラシを差し込みます。作業時間は20〜30分ほど。天気が悪い日は、機械で1部ずつビニールに包む作業が加わります。

最終アルバイト勤務日は大雨でした

準備ができたらバイクに積み込み配達開始。「順路帳」に従って配ります。社員さんなら午前4時台に配達を終えますが、自分はなにぶんアルバイトですので午前5時までかかります。バイク倒して新聞ばら撒く、などモタモタすると午前6時半を過ぎることも。大雨だった最終勤務日、午前5時半前に退勤できたのは数か月の努力が実ったからかも! と自分を褒めてもいいのかもしれません。

3か月弱の新聞配達アルバイトで感じがことがあります。

日本の新聞宅配ビジネスモデルは尋常でなくすごい

「言わずもがなの話では?」という声が聞こえてきそうですが。いえいえ、令和たる2022年に初めて新聞配達した自分にはかなり衝撃の現場でした。

新聞の原体験は小学校低学年。テレビ欄と4コマ漫画を読んでいただけですが、どの友達の家に遊びにいっても居間に新聞はありました。「国民総中流」ならぬ「国民総新聞購読」という普及率です。

かたや現在。実際に配達してみると、戸建てが多いエリアではバイクで疾走する時間が長く、マンションでは集合ポストにポツポツと挿し込む、マンションでも玄関までお届けする場合はエレベーターで降りるたび多くても2~3世帯にポツポツと挿し込む、といった具合です。

トラックから荷下ろしする梱包が、60部ではなく80部であることが多いことも衝撃でした。たくさんの部数を1つに梱包できるというのは、1部あたりの総ページ数が少ないから。総ページ数が少ないのは、広告が少ないから。

それでも「デジタルよりプリントの売上がずっと高い」のですから、すごいことです。

デジタル前提のいま「プリントメディアの価値」が変化

いま新聞を宅配契約している購読者は「新聞購読習慣が欠かせない」「プリントメディアで読むのが好き」だと配りながら強く感じました。見出しの大きさや記事の面積で、総合的にニュースを見られるのはプリントメディアならではの価値です。

そして子供向けの新聞。私が配っていた子供向け新聞は毎週木曜日発行ですが、販売店所長から「丁寧にポストに入れてくださいね」と何度も言われたことに深く納得。エリアによっては“大人向け新聞”より、子供向け新聞の配達先が多いのです。親の子供に対する愛情、子供が新聞を待ち望む期待感が伝わってきます。

いまの子供たちは、YouTubeやゲーム機などデジタルに囲まれています。それでもプリントメディアのニーズがあるわけです。翻って“大人向け新聞”。新聞を配達する先の多くは朝刊のみの購読、なかには週末だけの配達となっている世帯も。新聞社テレビ局デジタルメディアのみならず、Yahoo!ニュースやLINEニュースで大半のニュースを読めますから、「朝刊夕刊を欠かさず購読」と違う層がいることに違和感はありません。

個人的な話をするなら、古紙回収が面倒でプリントメディアな新聞の購読が選択肢に入りません。一方、プリントメディアだからこその一覧性はほしい、というワガママな生活者でもあります。

「デジタルを契約すると、現代的なタイポグラフィ、迫力あるフォト、心が動くテキスト、が素敵レイアウトのプリントメディアで週末に届く」などという妄想がむくむくと。そんなデジタルとプリントの未来、できないものでしょうか。

デジタル活用で新聞配達スタッフ確保を

最後となりますが、新聞配達スタッフ確保の厳しさに触れさせてください。かつては新聞奨学生が必ずいたそうですが、近年は学生もアルバイトも応募自体がほとんどないとのこと。私がアルバイトながら退職することで、所長が現場復帰しなければいけない状況のようです。

自分は販売店の貼り紙でアルバイト募集を知ったので「そういえばネットで募集しているのだろうか」と、最終出勤の帰り道にスマホを操作。新聞配達アルバイト募集のページを発見したものの、ほどほど検索操作が必要で大変でした。

フレンドリーな写真とテキストで構成していてフォームでアルバイト応募できるのですから、多くの人にアルバイト募集の情報が伝わりやすい仕組みが作れるといいな、と感じました。

そんな「新聞配達アルバイト」をしていた私ですが、メディアのデジタル現場メンバーと泣いたり笑ったりするお仕事をしています。「メディア業界にはこんな不思議な活動する人がいるんだ」とお見知りおきいただけると幸いです。

※ このnoteは4年ぶりに参加した広告イベント「Advertising Week Asia 2022」会場のJAA広告賞ブース前テーブルからお届けしました。

Advertising Week Asia 2022@東京ミッドタウンホール&カンファレンス


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?