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【中】芸人を目指してたら、プロ野球選手になっちゃった男の物語。人生は壮大なネタ創りだ!

みなさん、ご機嫌にお過ごしですか。

おうし座の男、イクヤマンはご機嫌です。

年末年始は、本来ならカラオケでモノマネ芸人のコロッケさんのモノマネばかりやっているんですが、なかなか大勢で集まれないご時世なのは寂しいですね。

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 美川憲一さんの『さそり座の女』が得意です
一緒にカラオケに行ったらソッと入れてね♡


前回の《上》(←読んでない人はクリック)では、イクヤマンがプロ野球選手になるまでのストーリーを書きましたが、《中》は独立リーガー時代のお話です。

結果的にイクヤマンがプロ野球選手としてプレーしたのは6年間。
独立リーグの香川オリーブガイナーズで2年、NPBの千葉ロッテマリーンズで4年です。

さて、独立リーグとNPBの関係性がわからない方も多いと思うので、説明しますね。

高校、大学時代にNPBに入ることができなかったけど、まだ諦めることのできない選手が、最後のチャレンジをするために独立リーグに来ることが多いです。

さて今回は、イクヤマンが独立リーガーとしてプレーした、香川オリーブガイナーズ時代の2年間を振り返りましょう。

最後の1枠で滑り込み合格

《上》でも書きましたが、自分の野球への可能性にワクワクしていた21歳のイクヤマン。
とはいえ、プロ野球選手なんかなれるわけがない。

野球を諦めるために受けたトライアウトが終わり、高速バスのチケットを買い、大阪に帰ろうとバスを待っていた時にかかってきた一本の電話。

「生山選手に興味を持っている球団があるので、明日チームの練習に参加していただけませんか」

リーグ関係者に「生山"選手"」って言われただけで舞い上がっちゃったイクヤマンは、チケットを返金し、急遽もう1泊し練習参加することに。

結果的に、香川オリーブガイナーズがトライアウトで決め切れなかった最後の1枠に、滑り込みで入ることになります。

ダメ元で受けたトライアウトで、まさかの一発合格。

演劇を学んでいた大学生活を休学して、香川県に移り住みました。

初めて手に入れた、野球を全力でやれる環境。
決して多くはないとはいえ、大好きな野球でお金をいただけるなんて、涙がちょちょぎれそうに嬉しかったのを覚えています。
(1年目の報酬は月額10万円)

ひたすら挫折の日々

ワクワクが勝っていたのはチームに合流するまでで、合流してからは挫折の連続でした。 

周りは、高校時代に甲子園に出場した選手や、名門の社会人野球部出身選手、アメリカの独立リーグでプレーしていた選手。

弱小校でしか野球をやってこなかったイクヤマンは、全てにおいて実力不足。とにかく野球偏差値が低すぎました。

さらには初めて出場したオープン戦で、1塁での帰塁の際に、肘の靭帯を部分断裂し、シーズン開幕前に戦線離脱。

監督から笑いながら
「使いもんにならんのー。大阪に帰るか?」
と言われる始末。

一方、地元の人達から「頑張ってるか?」と連絡が来ては「頑張ってるよ!」と強がる日々。
(アスリートにありがちなプライドですねー。カッコいい存在でいたいんですよ。)

心身ともにズタボロでした。

そんな日々が2〜3ヶ月続きましたが、イクヤマンの怪我が落ち着き始めたタイミングと、レギュラーの怪我が重なり、徐々に試合に出してもらえるように。

シーズン中盤はずっと1番セカンドで起用していただき、シーズン終盤には完全にレギュラーを勝ち取り、独立リーグ日本一にも少しは貢献することができました。

そして、契約更改で言われた一言。

「生山に興味を持っているNPBの球団があるから、来シーズン頑張れ」

意味不明です。

「NPBは応援するところで、プレーするところではありませんよ」
勝手にそう思ってました。

人って大人になるつれて、周りに「そんなこと無理だよ」と言われ、勝手に限界を決めちゃうんですよね。

でも、どうやら本当に興味を持ってもらってるみたいで…

ボロボロの肘… そして、トミージョン手術

毎日毎日、痛み止めを3錠飲み、試合に出続けていたイクヤマンの肘はボロボロ。

NPBを目指せると言われても、医者からは、いつ投げられなくなってもおかしくないと言われていました。

迷いに迷った挙句、トミージョン手術をすることに。
ダルビッシュ有選手、大谷翔平選手など、名だたる名選手がやっているアレです。

本来、1年近いリハビリが必要なのですが、独立リーガーにそんな余裕はありません。
11月に手術を受け、復帰したのは確か5月。半年での実戦復帰です。
そりゃ、まだまだ死ぬほど痛いけど、そんなこと言ってられる立場じゃない。

そんな状態で、シーズン中は思うような成績も残せずに迎えたチャンピオンシップ、グランドチャンピオンシップ。
(※チャンピオンシップは、四国アイランドリーグの年間総合優勝を決める試合。グランドチャンピオンシップは、独立リーグの日本一を決める試合)

そこで、間違ってラッキーボーイ的に大活躍してしまうのです。

2番レフトでスタメンで使ってもらい、打って走って、チームの独立リーグ日本一に貢献。(守備は下手くそだから、毎試合、終盤には守備固めを出されちゃってました。てへっ♡)

さらには、10月に行われるフェニックスリーグ(NPB12球団の若手選手が宮崎に集まって行うリーグ戦)の、アイランドリーグ選抜にも呼んでもらい、東京ヤクルトスワローズのピッチャーから、スリーベースヒットを打っちゃったりもしました。

段々と夢にも描けなかったNPBという世界が身近な存在に。

とはいえ、生山の2年間の成績は下記の通りです。(全90試合)
2年間ホームランは打ってないし、2年目にいたっては、打率も.221。
恥ずかしい成績だけど、これが現実。

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生山裕人のWikipediaより引用


まさかのドラフト指名

そんな中で迎えた、2008年のドラフト会議。

興味がある球団はあるそうですが、イクヤマンの手元には『調査書』は届いておりません。はい。0枚です。

(※調査書とは…  NPB球団が指名する可能性がある選手に送る内申書のようなもの。調査書の枚数が多いほど、指名の可能性は高まる。0枚で指名されることは、基本的にありえない)

そんなわけで指名の可能性はないと思っていましたが、ドラフト会議前日に、球団職員から不可解な電話は入っていました。

「生山? 明日だけど、キレイめのジャージで会場に来てくれるかな?」

ぬぬっ!?はへ??にゅーーーん!??!!

キレイめのジャージ…

ジャージって汚すために着るって、じいちゃんに教わったけどな。

そして、見事に指名された時の写真がコチラ!

当時のガイナーズはめちゃくちゃ強かったので、同じ年にイクヤマン含め、4人が一斉に指名されたんですよね。

調査書が届いていた3選手はスーツ姿の中、ひとりだけキレイめのジャージ。

マネージャーかて!!!

おいおいマネージャー。ガッツポーズして喜んでる場合じゃないぞ。

イクヤマンはなぜ千葉ロッテマリーンズに入れたのか

ここまで読んでいただいた方は、イクヤマンはなぜ千葉ロッテマリーンズに指名されたのか不思議でしょう。
そのヒントが当時の記事で残っていたので、読んでみてください。

担当スカウトの黒木純司さんのコメント
「足はプロで通用する。守備などの弱点を克服し、相手に嫌がられる選手になってほしい」


昨年の2021年は、出身チームである香川オリーブガイナーズのコーチ業をさせていただいたのですが、選手達にこの時の経験を踏まえて伝えていたことがあります。

「5段階評価の中で、6を作ってくれ」

プロって、そういうことだと思うんですよね。
5段階で評価する通知表があったとして、多くの選手は全ての項目で4or5を目指そうとする。
でもオール4の選手や、何かの項目で5のレベルの選手なんて、全国に数え切れないほどいる。

そんな選手を見続けているスカウトの心を、"圧倒的に" 動かさないとドラフト指名されることなんてないと思っています。

自らの長所を磨き、評価の枠を超えた何かを作っていく。
これは、野球に限ったことじゃないはずで、どんな世界でも通ずることなんじゃないかなー。

スカウトでも、ファンでも、上司でも、お客様でも、人の心を動かすために重要なことは "長所を圧倒的に磨く" ってことだと思う。
何よりやってる本人が楽しんでいるしね。

『全力疾走』は、プロとしての信念

じゃあ、生山が長所の足の速さをアピールするために具体的に何をしてたかって?

簡単に言うと、グラウンドにいる間は常に "全力疾走" してたんです。
どんな内野ゴロでも1塁まで全力で走るのは当たり前。
攻守交代に関しても、周りが歩いたりする中で、100%で走ってました。
(1塁ベンチからレフトの定位置とかだと100m近くあるので、完全に異常)

なんでそんなことができたかっていうと、イクヤマンには足しか武器がなかったんですよ。
中途半端に野球が上手かったら、ここまで走ることを突き詰めなかったと思います。
他の能力に恵まれなかったからこそ、"走る" に本気で向き合えた。

自分にしかない "プロ" としての価値とは…
球場にお金を払って足を運んでくださるファンの方々に対しても、"プロ" として自分のプレーで何を表現し、どんなメッセージを伝えるのか。
下手くそでも上手くいかなくても、とにかく全力でプレーする。
『全力疾走』は、"プロ" 野球選手の生山裕人として、譲れない信念だったんです。

イクヤマンも、短所を見続けて、自分の価値を信じられなくなった日々がありました。
でも、このドラフトの経験を経て、大きく考えが変わりました。


あなたの長所はなんですか?

この記事が、あなた自身の長所を伸ばす "キッカケ" に少しでもなれれば、イクヤマンは泣いて喜びます。

では、今日もチャーミングにいきましょう。
夜に読んでる人は、明日もチャーミングに。

独立リーグたまらん!

人生は壮大なネタ創りだ!!

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