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人間と自然の間合い 〜不自然の力〜

“人間の自然とは反自然である”

心理学者の河合隼雄さんの著書の中にこのような一文があった。

人間を含む哺乳類は、進化の過程で大脳新皮質を獲得したそうだが、
特に人間はそれを発展させて、
他の生物とは一線を画し、自ずから然らしむ自然の中で不自然な存在となった。

しかしそれは決して悪い事ではなく、人が人以外の存在にも耳を傾け、
自然の大きな生態系の中に積極的に参加した時にだけ立ち現れるものがあると思う。

artの語源はラテン語のars(アルス)で、arsはギリシャ語のtechne(テクネー)の訳だという。
arsもtechneも両方とも技術という意味があるそうで、その技術とは人間が獲得した自然の中での不自然さそのもの。

僕はその人間らしい不自然さで、自然が自然のままでは到達する事が出来ない領域に連れていってあげたい。

自然と人間のお互いの言い分の、ちょうど真ん中には、美しさがあって欲しいと願う。

相良育弥

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