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ジャイプールにて 2024.05.08 in Jaipur

2024.05.08 in Jaipur

インドの旅も一週間以上が過ぎた。さすがに疲れてきたので、この辺りで一回ちゃんと休もうと思う。今は午前の10時過ぎで、さっきホステルの朝食を食べた。バターとジャムブレッド、チャイと茹で卵、バナナというシンプルな朝食。昨日こちらにきて初めて夕食後に胃もたれっぽいものを感じたので、今日はもう夜まで何も食べない。夜も特に食べたいものがなければ食べないでおく。

昨日の夕方ジャイプルに着いた。その前はプシュカルにいて、そこからは電車で2時間の距離。電車はエアコン無しのローカルの座席で、片道75ルピー。日本円で150円いかないくらいだった。インドの電車はとても安い。昨日は市場でぼったくられたり、ペンダントを落として無くしそうになったりしたので、強欲にならずに出費もセーブしていく。プシュカルの前にはウダイプルにいて、ウダイプルではラジャスタン地方の細密画を4点購入した。クリシュナがモデルの愛の交歓のような絵と、王族モデルの絵、そしてカーマ・スートラの春画のような男女の交わりの絵。どれもラクダの骨を薄くスライスした板の上に、自然の顔料で描かれていて、光にかざすと微かにそれを透過させる。店主のおじさんはOshoのフォロワーでもあった。結構高かったけど、多分ある種の観光客プライスだったんだろうけど、まぁいいやと思う。ウダイプルは広い湖に面していて、インドのベネチアのような優雅な街だった。湖に沿うように、あるいは湖の真ん中に、かつての城が浮かんでいて、今は観光地やホテルになっている。旧市街の中には車は入れず、人と牛とバイクやトゥクトゥクだけが走る。最初は寄る計画にはしていなかったけれど、移動距離の問題で寄ってみたら結果的によかった。建築物も17世紀くらいのものが遺っていて、寺院にびっしりと刻まれた彫刻が美しかった。

ウダイプルの後、電車で5時間くらいかけてアジュメールへ、そこから車で30分かけてプシュカルへ行った。5時間の電車は、ローカルシートに座ったのでエアコンがなく、最初暑かったが窓辺の風を受けてだんだんと涼しくなる。乾いた車窓の風景が夕景に変わり、やがて夜になる。その一連の風景を眺めていた。プシュカルに着いた次の朝に、CEPTからメールが届いていて、PhDコースの受け入れを許可するということだった。3月の中旬から4月いっぱいずっとこのための準備をしていて大変だったので、とりあえず通ってほっとした。その時は、露店でレモネードを飲んでいた。いっぱい50ルピー。搾りたてのレモンとソーダ、ミントをすり潰したもの、砂糖と塩が入っていて、ラジャスタン地域の40度越えの灼熱の陽の中で飲むと本当に美味しい。ミントの香りが鼻腔を刺激し、目が覚めるような感覚になる。それで、なんとなくほっとして、その勢いでターコイズのネックレスとタイガーアイのピアスを買って、そこの店主のお兄ちゃんにピアスを耳にぶすっと開けてもらった。もうシンプルに針をぶっ刺して。痛くなかったし今も腫れたりはしていない。そこの宝石屋の奥に西洋人の二人がいて、話してみたらロシア人の女性で、ジュエリーデザイナーをしており名前をOlyaといった。インドで制作するのが肌にあってるらしく、基本的にGOAにいて、そこでジュエリーを作ってロシアやヨーロッパ向けに売ってるらしい。GOAやPushkarは物価が安くて滞在費や制作費かからないし、毎日天気もよくてピースフルだから、賢い方法だなと思った。インド人は職人技もすごいし、物作り系のアーティスト達は皆んなこれをしたらいいのにと思う。ロシアにも行ってみたい。一緒にいた人はイタリア人でトリノ出身と言っていた。

プシュカルは小さな湖を囲うようにして街があり、その周りは山で囲われている小世界だった。まるでそこだけで世界が完結してしまっているような、奇跡的な場所だった。ヒンドゥ教の聖地の一つで、昼間は皆んなそこで沐浴している。男も女も湖に浸かり、丸裸になって着替えている。牛が狭い道を闊歩する。カラフルなサリーを着た女性たち、眉間を赤く塗り潰している男たち。バラナシほどではないが、日本でも誰もがイメージするようなインドの姿がそこにある。宿は一泊400円の個室で、エアコンはなかったけどダブルベッドとファンがあって、水場も綺麗だし通路は屋外になっていて気持ちの良い場所だった。旧市街のど真ん中にあって、歩いてすぐに湖や市場や寺院に行けるのもよかった。街中を歩いていると巡礼者のような、明らかに常人とは異なる人たちがいる。大体は真っ白い髭を生やしたおじいさんたち。その人たちを記録したくなって、一眼カメラはいつも旅に携帯していたが重いし面倒で使わないことが多かったが、ちゃんとこういう人たちや世界の在り方を写真に収めておこうと思って、一眼を持って街を歩いた。iPhoneでもいい写真は撮れるし、即座にタダで共有できるし、みんなが使うツールだから可能性もあるけれど、自分のカメラでファインダーを覗き込んだ写真を撮るというのは、クオリティも勿論だし、ちゃんと作品ができている感じがして面白い。だから残りの旅ではちゃんと一眼を持って写真を撮っていこう。面白いのは、被写体に拠ってはiPhoneの方が良く撮れることもあること。一眼レフ調の写真というのは、あまりに長い間見慣れ過ぎていて、食傷感を感じることもある。こんなのどっかで見たことあるじゃないか、みたいな。それでiPhoneで、それもそんなに画質の良くないインスタの機能のカメラや動画を撮りながらキャプチャして画像を撮ったりすると、案外いいのが撮れる。これいいじゃんみたいになる。写真は面白い。

今はジャイプルのホテルのベッドの上でこの原稿というか日記を書いている。大学院生の時にはやっていたけれど、これからちゃんとできれば毎日朝、午前中になんでもいいから5~10枚は原稿書こうと思う。春樹先生と坂口さんに倣って。ジャイプルはラジャスタン州の州都で、昨夜街を少し歩いたが都会に来てしまったなと感じる。ウダイプルやプシュカルとは違う。道の排気ガスがすごくて、昨夜夕食後に歩いて少し気持ちが悪くなった。今、午前11時になった。昨日は最高気温が大体44度くらい、一番暑い5、6月で48度くらいまで気温が上がるらしいのだけれど、湿度がないからかそこまで苦しいという感じはない。ジャイプルにはハワー・マハルというピンク色の宮殿と、Albert Hall Museumという多分英国統治時代の美術館があるので、そこはちゃんと見て、あとはゆるく過ごそうと思う。

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