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THEインタブー『レンタルDVDを見てないけど予想で教えてくれる人』編

NONノンフィクションライター生谷トウヤです
今回はあっさり取材が終わってしまった方の記事、ショートインタブーとなります。

「レンタル〇〇な人」という言葉を耳にするようになって久しいこの頃。
レンタル彼女やレンタル彼氏、レンタル家族にレンタル執事。
さらに最近ではレンタルなんもしない人が話題となりドラマ化までされることに。

もはや、どんなレンタル業があったとしても誰も驚くことはないだろう。

そんなレンタル業界に新たに参入した男が、「レンタルDVDを見てないけど予想で教えてくれる人」だ。
一体どんなサービスを生業としているのか? この男の素顔に迫ってみたい。


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――まず、レンタルDVDを見てないけど予想で教えてくれる人とはどういう仕事なのか? 教えてください
もう、言葉の通りです。

僕がお客さんのところに行って、お客さんが気になってる映画の内容をお話します。
ただ、僕は基本的にリクエストをもらう映画を見ていないので、予想だけでどんな内容なのかをお話するという仕事です。


――見てないのにどうやって説明するんですか?
すべてタイトルを聞いて予想だけします。僕もそんなに見る時間もないですし。

ただ、ヒット映画の場合はなんとなくテレビで特集されたり、ネットで話題になってたりするのである程度の内容を把握することはできています。


――実際に映画を見て、その内容を話そうと思わないんですか?
僕、集中力がないんですよね。

映画ってだいたい2時間くらい見ないといけないじゃないですか? でも、15分くらいしたらゲームとかマンガとか読みたくなっちゃって、ついそっちを優先しちゃう。

だから、映画を見て話すことは僕にとっては、不可能なんですよ。


――では、なぜ映画を見ないで予想する仕事を始めようと思ったんですか?
レンタル〇〇っていうの、最近すごい多いじゃないですか?

それで何か新しいのないかなぁと思って、いろいろ考えてたんです。

僕だったらどんな人が欲しいかな、と考えた時に「映画の内容教えてくれる人」がいたら嬉しいなって思ったんです。

それがキッカケです。


――でも、それだとちゃんと映画を見て内容を教える人ですよね?
そうなんです。

でも僕は映画を見ることができない。それでも僕も何かレンタル〇〇を始めたい。じゃ映画を見ないでもできる、予想して話す人だったらできるなと。

そう思って始めました。意外とお客さんがいて僕自身びっくりしています。


――それで、お客さんは喜んでくれるんですか?
ぼちぼちですね。

たまに怒りだすお客さんもいます。内容が全然違うだろ! とか言って。

でも、怒られても困るんですよね。だって見ないで予想して喋るのも承知の上で僕を呼んでるはずなんですから。


――ちなみにどんな映画の内容を予想したんですか?
その時はバックトゥザフューチャーです


――誰もが知る名作ですよね? 見てないんですか?
もちろん見てないです。

ただ、なんとなくタイムマシーンに乗るって話は知ってるので僕の予想としては「タイムマシーンに乗って、過去に行ったら高級ブランドのバックが安く売ってたから、それを大量に買い集めて現代にそれを女にあてがってSEXしまくる話」って話したらものすごく怒られました。

まぁ怒られてもなぁ……って感じなんですけど。

――たしかに全く違いますね。怒るのも無理もないような気が……。
いやいやいや、僕は見てないってちゃんと言ってるんですよ?

それでも正確な内容知りたければ自分で見ればいいじゃないですか?

そもそもそのお客さん、バックトゥザフューチャーの内容を知ってるんですよ! それなのに、僕を試すようなことをしましたからね。

そういう冷やかしみたいなお客さんがいることも事実です。


――ちなみにレンタル料金はどれくらいなんですか?
1時間900円です。ちょうど映画が2時間で1800円ですから、その半分の900円。


――結構高いですね。
高くはないですよ。だって、1時間で映画の内容を教えてあげるのは何本でもいいんです。

忙しい人だったら、僕が来ることで1時間に10本分の映画を見たことになりますから。


――でも、全部予想だから見たことにはなりませんよね?
それを承知でお客さんも呼んでくれてるんですから、問題ないです。


――確かにそうですね。では、僕も何本か映画の内容教えてもらえますか?
もちろんいいですよ。何にしますか?

1時間の間なら何本でも大丈夫です。


――じゃ、「君の名は」をお願いします。
はい。予備知識はある程度あるんですよ。入れ替わる系ですよね?

「君の名は」は、階段から男女二人が転がり落ちて入れ替わって、元々男だった方が女の体を手に入れSEXしまくるんだけど、いつも相手に去り際に「君の名前は?」って聞かれる話です。


――じゃ、「パラサイト」は?
これも話題になったから大体のことは知ってます。

お金持ちの家に忍び込んで、金持ちの奥さんが一人になった時に襲ってSEXしまくる話です。


――全部SEXしまくる話じゃないですか?
あぁ、僕が唯一見てるDVDに影響されてるところはありますね。


――それってただのAVじゃないんですか?
どうしてわかるんですか? あっ、そろそろ1時間ですけど延長しますか?


――結構です。ありがとうございました
あぁ…。ありがとうございました。



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もうこれ以上話を聞くことはないと判断し、私は延長を取りやめ早々と彼へのインタビューを引き上げた。
結局、彼がしたかったことは客とSEX談義をしたかっただけなのではなかろうか。おそらくは、それを流行りのレンタル業にかこつけて、少しでも楽に金を稼ごうと考えたのだろう。

しかし、どこで何が起こるかわらかないのが今だ。

レンタルなんもしない人のように、いつの日か、彼自身が映画の主人公になることが実際に起こり得るかもしれない。

その時は、是非その映画を全て見届けてほしいものだ。


おわり


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