立ち上げ特化型のPM兼デザイナーがリーガルテック企業を創業した理由
こんにちは。
以前はこちらの記事で「30歳に向けて何に時間を使うか模索するために一旦フリーランスになります」と書かせてもらったのですが、実はフリーランスになってから1年と経たないうちにやりたい事業が見つかって楽しくやっているので、そのことをまたnoteに書きたいと思います。
フリーランス専業時代は、立ち上げ系のプロジェクトや、とある企業のプロジェクトをまるっと請け負って進めるみたいなスタイルで仕事をしていました。
ビジネス面の調査からプロダクトの開発設計・デザインまで全般をやるので割と多くの時間を突っ込んでいましたが、生活スタイルはある程度自由が効くので、「次にやりたいこと」を考えていました。
自分が感じていた困難
今までベンチャー企業で事業・プロダクトの立ち上げに没頭してきていろんなことをやった自分ですが、好きなジャンルには以下のような特徴があります。
・深いドメイン知識を必要とすること
・深い技術理解と技術的なクリエイティビティが求められること
・それらを融合するデザイン力が求められ、プロダクトを起点としてユーザさんの業務や生活をアップデートしていけること
簡単に言えば「難しそうなジャンルでプロダクトを立ち上げてインパクトを出していきたい」みたいなことなんですが、アパレル→決済→ブロックチェーンと今までチャレンジを続けてきた中で、困難を感じていることがありました。
それは、「業界を適切に前に進めていくことがいかに大変で難しくて大切か」 ということです。
自分なりに一生懸命取り組んでいましたが、どこか、自分は本当の当事者じゃないような気がしていました。
アパレル(POSレジや在庫管理の総合プロダクトをやってました)で言えば、システム部門ではなくバイヤーさんやPRさんや店舗スタッフの方々が主役です。
決済で言えば、規制内容を決めている当局や実際に決済サービスを利用する消費者やお店の方々が主役です。
ブロックチェーン(の実社会での活用)で言えば、SECを始めとする規制当局のほか、ブロックチェーンを使う価値がある事業ポジションやアセットを持っている企業が本当の主役だなと思っていました。
彼らに対して、「こんなことができるものを考えて作ったよ」「これすごいよ、どう?」ということを言っていって巻き込んでいくことがとても重要なんですが、なかなか難しいなぁという中で、
「業界を適切にアップデートしていくためにはもはやソフトウェアだけではダメで、キープレイヤーを適切に巻き込めるような参入角度で事業を立ち上げないとダメだな」
と思うようになりました。
リーガルテック・カンパニーの創業
僕はMNTSQ(モンテスキュー、と読みます。偉人の名前です)という名前のリーガルテック・カンパニーを大学時代の友人たちと創業したのですが、「何故リーガルテックか」に対する僕なりの1番大きな理由は「業界が変わる土壌があると思ったから」です。
リーガルの業界は、以下のような特性があります。
・プロフェッショナルファーム(法律事務所)の影響力が大きい
・変革のネックになるような法制が少ない
※弁護士法をどう見るかですが・・
・タイムチャージ制で競争が激しいにも関わらず技術の活用が遅れている
こんなところに、共同創業者の安野が書いているように、「自然言語処理技術が実用化しつつにある」という変革のタイミングが訪れたこともあり、業界に影響力のあるトップファームを巻き込んだ形で参入すれば大きなチャンスになりそうというタイミングでした。
今では、MNTSQ社のプロダクトはトップファームに本導入をいただいているだけでなく、五大法律事務所の1つである長島・大野・常松法律事務所とPKSHA Technologyと資本業務提携をしています。
実際に本利用をいただけていて、良いペースで事業が立ち上がってきているなと実感します。まだまだできること、やりたいことが山積みです。
ドメイン知識を吸収するたび、「本当に弁護士さんやリーガルワーカーさんたちは難しいことをやっているな」ということに驚かされており、
「ソフトウェア+アルゴリズム」をどのように人間の仕事に融合させていくべきか毎日頭を悩ませていますが、今度こそ業界を適切な形でアップデートしていきたいです。
個人としてのチャレンジ
MNTSQ社での仕事は、僕個人にとっても2つのチャレンジがあります。
1つ目はプロダクトの難易度の高さです。
僕は、元々深いドメイン知識が求められる業界や高い技術理解が求められるプロダクトのデザインが1番好きで得意です。
強みを尖らせるために、リーガルという高い専門性を求められる領域のドメイン知識を吸収して弁護士を含むリーガルワーカーの気持ちを理解しつつ、機械学習が価値の根源になるようなプロダクトのデザインに挑戦しています。
思った通りにとても難易度の高いプロダクトなので楽しくやれています。
2つ目は組織作りです。
大学の頃から、ずっと人間や組織のことばかり考えてきました。人と人の意見が食い違ったりすれ違いが起きるメカニズムを自分なりに分析してみたり、他人の考えていることや気持ちを誰よりも早く理解しようとする習慣を身につけたりしていました。
(実はこの習慣が、業務理解やシステム設計、デザインのためのインサイトの力に繋がっています)
今までは社員という立場で、自分の考え方は提案しつつも最終的には経営者の意思に沿うよう組織設計やマネジメントに携わってきましたが、今回は僕の番です。
僕の考えるベストプラクティスとデザインの力をベースに、MNTSQ社のみんなで良い組織を作っていきたいと思います。
今のところどんな感じか、という点をMNTSQ社のキャリアデックでも紹介させてもらっているので、良かったら覗いてみてください。組織運営や施策については常に頭を悩ませていて、ディスカッションに付き合ってくださる方も募集しています。
未来の社会インフラとなるリーガルテクノロジーをかたちにする
MNTSQ社は、リーガル業界にテクノロジーが融合する瞬間を、1人の当事者として作り出したいと思っています。
機械学習や自然言語処理というテクノロジーは、AIと呼ばれていろいろな期待を持たれていますが、いろいろな誤解や偏見が多いのも事実です。
未来の社会インフラとなるために、正しい理解や適切な活用の姿勢を模索していくことも含めて、信頼するに足るプロダクトと組織を、時間はかかると思いますが、築きあげていきたいと思っています。
契約行為や法令理解が本質的に難しいということ自体は変えようがないかもしれませんが、その中でテクノロジーが役割を発揮して日々の業務が変革され、企業活動全体が良い方向に加速していく未来を目指して挑戦していきますので、是非応援をよろしくお願いします!
P.S. 創業した会社が1年経ったので振り返りました!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 またタイミング見て記事を書くので良かったら見にきてください。