映画「市子」を観た感想
※ネタバレ含みます
アマプラで配信されてたから、前情報何も無しに「あ、杉咲花ちゃん出てるじゃん🎶」くらいの気持ちで再生した。
軽い気持ちで見始めたつもりだったけど、見終わった後には重たい気持ちになっていた。
こういう羅生門スタイルで、第三者の目線から物語の核にせまる映画、好きだなぁ。
感想つらつらと書いてみる。
わたしは市子のことを「ひどい女だ、サイコパスだ」と言えるほどできた人間ではない。
自分が市子のような環境で生まれてきたら、あのようになるのかもしれない。
恥ずかしながら、無戸籍で生きてる人間がこの世にいる、という事実を知ってはいたものの、まるで自分が生きてきた世界とは違いすぎて想像したことがなかった。
でもあるんだ。現代の日本でも。
話は少し脱線するが、仕事の関係上、本人確認書類の有無を聞くことがある。
たまに現住所が引っ越し前のままで「これじゃ確認取れませんね〜、手続きできませんね〜」となることもある。
そういう時、自分を自分たらしめるものって一体何なんだ、と疑問に思う。
この運転免許証ないしマイナンバーカードがなければ、どんなにわたしがわたし自身であると大声で言っても、誰も信じてくれないのだ。
わたしがわたしであることを証明するのは、片手に収まるちょっと分厚いカードが必須なのだ。
市子には戸籍すらない。
(だから身分証明書が持てない。)
どんなに怖いだろう、孤独に感じるだろう。
だからといって、一般的な倫理観?からすると人を殺すのはだめだ。でも殺人はダメだよ、って市子にわたしは言えない。(でも殺人はダメ、、、)
すごく難しいけど、考えることを放棄しちゃだめな問題だと思う。
「市子は人を殺したから悪い」
「市子は自分勝手できらいだ」
というふうに、この映画を悪い、嫌いという感情だけで片付けてはいけない気がする。
ただ、最後の市子の
「毎日寝る前に一緒に一つの布団に潜り込んで
そこには長谷川くんの匂いがあって
朝起きた時に寝顔があるのを見て安心する
そういうのが“好き”って言うんやとしたら
うちはちゃんと人のこと好きでいられたんかな」
というセリフ。
身に覚えがありすぎて泣いた。
その時の回想で市子が長谷川くんの寝顔をカメラで撮ってて、余計泣いた。
市子、寝顔を写真に収めるなんて、愛してる人にしかできないことだよ、、、、。
あんたは長谷川くんをちゃんと愛してたんだよ、、、。
あと数日は考えてはモヤモヤするだろうなぁと思う映画だった。
個人的にはすごく好き!
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