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フェルマーの料理は、新しい料理漫画の切り口かもしれない

こんにちは、今回で3つめの好きな漫画を推しているnoteです。

今回読んでグッときた漫画は、アオアシで話題沸騰中の小林有吾さんの最新作、”フェルマーの料理”。

(実は小林先生が書いているから読んだのではなく、読み始めたらあれ?絵のタッチ誰かに似てるな...誰だっけ、これ葦人くんじゃね?!って気づいたのがきっかけです。)

ちなみに個人的に小林先生の絵は、感情のオーラがめちゃくちゃ好きです。喜怒哀楽・集中みたいな見えないものを独自のタッチで描いていてそれがスキ。

フェルマーの料理は数学者を目指す高校生が主役

本題のフェルマーの料理ですが、数学者を目指す高校生、岳くんと、21歳のクセ強め料理人、海くんが主役の話。

フェルマーの最終定理からタイトルは来ていると思いますが、数学好きで数学オリンピック※にも挑戦している高校男子が主役。

数学オリンピックとは、世界の多くの国の高校生以下の算数・数学好きな生徒を選び、コンテストを通し生徒を励ましその才能を伸ばすために、毎年7月に国際数学オリンピック (IMO) が1959年より各国持ち回りで開催している数学の祭典。

2日間4時間半ずつのテストなんですが、問題が鬼難しい。

正の整数の集合が香り高いとは, 少なくとも 2 つの元をもち, かつ任意の元について同じ素因数をもつ別の元が存在することをいう. P(n) = n^2+ n + 1 とする. このとき, 正の整数 b であって,集合 {P(a + 1), P(a + 2), . . . , P(a + b)}
が香り高いような非負整数 a が存在するもののうち, 最小の値を求めよ.

(2016年 国際数学オリンピックより掲載)

こういう問題が出たりします。香り高い集合ってなんだ?

大学受験のときは数学が得意分野でしたが、数学オリンピックの問題は格別。東大よりも難しかった記憶。

話がだいぶそれました。


そんな数学のスペシャリスト岳くんが、数学オリンピックの問題が解けず、高校の理事長から学費免除を取り消されちゃうんですよね。(やな学校だ)それで学内の厨房でバイトを始めるんですがそこで作ったナポリタンが物語の始まり。

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味の組み立てを数学的思考から導き出す。

フランス料理は足し算だとか、日本料理は引き算とか言いますよね。

特にフランス料理は、鍋に食材をひとつずつ足し算していき、複雑な風味を出し、香味野菜やハーブ、オイルなど混ぜて、とても極上な味作っていくイメージ。

岳くんは、素材と調理法を組み合わせて、数式(レシピ)を頭に作り上げてしまう。脳内で綿密な計算と理論をもって一品を作る。まさに数学と料理のマリアージュ。

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冒頭に触れたナポリタンは、お客さんから、「子供の頃からナポリタンと聞いて最初に思い描く味のイメージ、その理想通り」と言わしめます。

岳くんは正しい料理の仕方は学んだことがないけれども、食べた味から逆算して作り方を想起しているんです。

例えば、トマトの芳醇な香りを出すために、具材に直接ケチャップをかけて炒めず鍋肌にケチャップをかけて温めてから和える(これにより劇的に旨味と香ばしさが増すそうです)

それ以外にもナポリタンを極上にする方法を、自然と導き出してしまうのですが、ネタバレもいいところなので是非フェルマーの料理読んでほしい。

料理をもって神に挑む

天才料理人の海くんのエピソードはそう多くは出てきません。おそらく2巻から出てくるのかな?

挑むべき世界は、数学と同じく真理の世界。客を相手にするだけではたどり着けない挑戦であり、料理を持って神に挑む」と海くんは1巻の最後に語っています。

このあたり物語がどう変化していくかは今後に期待です。

数学的思考と料理漫画

僕は結構料理漫画がスキなんですが、”蒼太の包丁”とか、"バンビーノ"とか"華麗なる食卓"とか王道”クッキングパパ”とかね。

料理漫画の題材に数学的思考を用いるのは新しい切り口だと思っています。料理が得意な人がおそらく脳内で自然にやっている、これとこれをかけ合わせたら美味しくなるのではないか?とか、この旨味を引き出すために、この素材はこう調理しようとか。それを数学的アプローチで捉えて、漫画にしているのはとても面白い。

フェルマーの料理は、久々に嵌りそうな料理漫画です!


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