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グエル公園【バルセロナ】


1. グエル公園の特徴

グエル公園(Parc Güell)は、スペインのバルセロナにある広大な公園で、世界的に有名な建築家アントニ・ガウディによって設計されました。この公園は、カタルーニャ地方の自然豊かな丘陵地に位置しており、1900年から1914年にかけて建設されました。そしてグエル公園はその美しさと独創性から、1984年にユネスコの世界遺産に登録されました。今日では、バルセロナを訪れる観光客にとって欠かせないスポットとなっており、ガウディの建築とカタルーニャの豊かな文化を象徴する場所として愛されています。

2. 歴史的背景

➀エウセビ・グエルとガウディの出会い
グエル公園のプロジェクトは、バルセロナの富豪であり、実業家であったエウセビ・グエル伯爵と、当時新進気鋭の建築家であったアントニ・ガウディの協力から生まれました。グエル伯爵はガウディの才能に惚れ込み、彼に多くのプロジェクトを依頼していました。その中でも、グエル公園は最大級のプロジェクトの一つです。

➁当初の計画: 住宅地プロジェクト
グエル公園は、もともと「グエルの庭園都市」として計画されました。これは、ロンドンの庭園都市のコンセプトにインスパイアされたもので、自然と調和した高級住宅地を目指していました。60戸の住宅を建設する予定でしたが、19世紀末から20世紀初頭のバルセロナで急速に発展していた都市化の中で、富裕層向けの理想的な住宅地を提供することを目的としていました。

➂プロジェクトの進展と困難
計画は1900年に開始され、ガウディは住宅地の設計とランドスケープデザインを担当しました。彼はこのプロジェクトにおいて、自然との融合を重視し、曲線的なデザインやモザイクタイルを多用しました。しかし、販売が思うように進まず、土地の販売はわずか2件にとどまりました。その結果、プロジェクトは商業的には失敗に終わりました。

④公園への転換
プロジェクトが商業的に失敗した後、1914年に工事は中断され、未完成の状態で残されました。しかし、その美しさと独創的なデザインはすでに広く認識されており、1922年にバルセロナ市がこの土地を購入し、公園として一般に公開することを決定しました。

➄ガウディの影響とユネスコ世界遺産への登録
ガウディはこのプロジェクトにおいて、自身の建築スタイルを存分に発揮し、自然と調和した独自の美学を追求しました。彼が設計した多くの建築物やランドスケープデザインは、今日でもガウディの代表作として知られています。グエル公園は1984年にユネスコの世界遺産に登録され、その歴史的、文化的価値が世界的に認められることとなりました。

⑥今日のグエル公園
現在、グエル公園はバルセロナを代表する観光地の一つであり、年間数百万の観光客が訪れます。公園内の建築物やガウディの家博物館を通じて、訪れる人々はガウディの独創的なデザインとバルセロナの豊かな歴史を体験することができます。

このように、グエル公園はガウディとグエル伯爵のビジョンから生まれたものであり、計画の変遷を経て、今日ではバルセロナの象徴的な場所として多くの人々に愛されています。

3. グエル公園の代表的な建築とデザインの特徴

➀メインエントランスとサラマンダー(ドラゴンの像)
~メインエントランス~
グエル公園の正門は二つのガウディらしい建物に挟まれています。この建物は、波打つような屋根とカラフルなモザイクタイルで装飾されており、ガウディの自然主義的なデザインを象徴しています。
~サラマンダー(ドラゴンの像)~
メインエントランスから階段を上ると、カラフルなモザイクで装飾された「サラマンダー(またはドラゴン)」の像があります。この像は公園の象徴的な存在で、観光客にとって写真撮影スポットとしても人気です。

➁ 蛇行するベンチとモザイク装飾
~波打つベンチ(蛇のようなベンチ)~
グエル公園の中心にある「テラス・デ・ラ・ナチュラレサ(自然の広場)」の周囲には、曲線を描く長いベンチがあります。このベンチは、ガウディが人体の自然な曲線を考慮して設計したもので、非常に座り心地が良いとされています。ベンチは「トレンカディス」と呼ばれる破砕されたタイルやガラスで装飾されており、色鮮やかなモザイクが特徴です。
~トレンカディス~
ガウディは、モザイク技法「トレンカディス」を多用しました。これは、割れたタイルや陶器、ガラス片を再利用して装飾を施す手法で、カタルーニャ・モダニズム建築の特徴の一つです。公園全体にわたり、この技法が使われています。

➂柱の森(ドリームホール、Hypostyle Hall)
~86本の柱~
テラス・デ・ラ・ナチュラレサの下に位置するこのホールは、86本のドリームホール(Hypostyle Hall)と呼ばれる柱から成り立っています。これらの柱は古代ギリシャの建築にインスパイアされており、屋根を支える役割を果たしつつ、建築的な美しさを兼ね備えています。
~アコースティック効果~
このホールは優れた音響効果も持っており、音楽の演奏などにも利用されることがあります。また、柱の上部には貝殻や星形の装飾が施され、ガウディの自然への敬意が表現されています。

④ガウディの家博物館
~ガウディの住居~
グエル公園内には、ガウディが1906年から1925年まで実際に住んでいた家があります。現在、この家は「ガウディの家博物館」として一般公開されており、彼が使用していた家具や設計資料などが展示されています。
家のデザイン
ガウディの家は、シンプルでありながらも彼の特徴的なデザイン要素を取り入れており、ガウディの生活と創造性を垣間見ることができます。

➄ 自然との調和
~ガウディのデザイン哲学~
グエル公園全体において、ガウディは自然との調和を重視しました。彼は人工的な直線や角を避け、自然界に見られる曲線や有機的な形状を模倣しました。これにより、公園全体が周囲の自然環境と一体化したデザインとなっています。

4. アクセス方法

→グエル公園へのアクセス方法は、バルセロナ市内から公共交通機関を利用するのが便利です。以下にいくつかのアクセス方法を紹介します。

➀地下鉄(Metro)
★L3号線(グリーンライン)
最寄りの地下鉄駅はL3号線(グリーンライン)の「Lesseps(レセップス)」駅または「Vallcarca(バルカルカ)」駅です。
Lesseps駅からのルート: 駅からは徒歩約15分です。駅を出た後、Lesseps通り(Carrer de Gran de Gràcia)を北西方向に進み、標識に従ってグエル公園まで歩いて行くことができます。
Vallcarca駅からのルート: Vallcarca駅からは徒歩約15分ですが、坂道があるため、少し体力が必要です。エスカレーターも一部区間で利用できます。

➁バス
★24番バス
バルセロナの中心部、Plaza Catalunya(カタルーニャ広場)やPasseig de Gràcia(グラシア通り)から出発し、グエル公園の近くまで運行しています。「Ctra del Carmel-Park Güell」バス停で降りると、公園のエントランスまで徒歩約5分です。
★H6番バス
H6番バスは、パラレル(Paral·lel)やサンツ駅(Estació de Sants)などの主要なバルセロナの場所を通過し、「Travessera de Dalt-Park Güell」バス停で下車します。ここから公園までは徒歩約10分です。
★92番バス
92番バスも公園近くの「Carretera del Carmel - Park Güell」バス停に停車します。ここからも徒歩でエントランスまでアクセス可能です。

➂タクシー
バルセロナ市内のどこからでもタクシーを利用できます。グエル公園は観光地として有名なので、タクシーの運転手に「Parc Güell」と伝えれば簡単に連れて行ってくれます。所要時間は市内中心部から約15~20分で、交通状況によりますが、便利な選択肢です。

④徒歩
バルセロナのグラシア地区(Gràcia)からは、グエル公園まで歩いて行くこともできます。ただし、坂道があるため、少し体力が必要です。徒歩でのアクセスは街の風景を楽しみながら向かいたい方におすすめです。

➄観光バス(Hop-On Hop-Off バス)
バルセロナ市内を巡回する観光バスも利用可能です。「グエル公園」の停留所で降りると、すぐ近くに公園のエントランスがあります。このバスは他の主要観光地も巡るため、効率的に観光を楽しみたい方に適しています。

※注意事項
公園内の入場制限: グエル公園のモニュメンタルゾーン(Monumental Zone)には入場制限があるため、必ず事前にチケットを購入してください。著者が出向いた際、当日券は売り切れでした。公式サイトやバルセロナの観光案内所でチケットを購入できます。
Park Güell Barcelona: Tickets mit Schnelleinlass (parkguell-tickets.com)

5. まとめ

→グエル公園は、ガウディの創造性とカタルーニャの文化が融合した場所であり、訪れる人々に強い印象を与えるスポットです。バルセロナを訪れる際には、ぜひこの公園を訪れて、ガウディの世界に浸ってみてください。

6. 写真

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