西野精治「スタンフォード式最高の睡眠」
寝る時間がもったいない、と誰もが一度は考えたことがある。もし眠る必要がなければ、もっと色んなことができるのに、と空想する。でも実際はそんなことはできなくて、普通の人間は間違いなくパフォーマンスが下がる。
この本は、睡眠について、とても丁寧に、実験結果や統計調査などの科学的データから実体験、歴史上の人物の逸話まで、様々な事例を上げながら、睡眠についてとことん突き詰めた本である。このタイトルだから、もともと質の良い睡眠を摂りたいという願望を持って手に取る人が多いだろうけれど、そうでなかった人の場合でも、こんな風にとくとくと睡眠の大切さを語られると、真面目に考えなければいけないな、と思うかもしれない。
ここに書かれている眠るための方法は、体温や脳の使い方、そして起きている時、特に朝起きた時にどうするか、など、多岐にわたる。けれど、万能薬が処方されているわけではない。例えば夜にストレッチをするとよいと書かれているけれど、やりすぎて脳を使うと今度はまた入眠しにくくなるし、なかなか難しい。おそらくここに書かれているヒントを試しながら、自分の睡眠について真剣に取り組んでいくことが、一見面倒なようだけれど、最高の睡眠を得ることの一番の近道なのかもしれない。
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