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今一生「子ども虐待は、なくせる――当事者の声で変えていこう」

これまでのように「子どもがさんざん虐待された後でほんの一部だけを保護する」のではなく、「そもそも親に子供を虐待させない仕組みを作り出す」方針への転換を強く提言します。

著者はそう何度も繰り返す。その方法として、ごく小さい頃は授乳服で母親が子どもと一緒に自由にでかけられるようにしたり、AsMamaのような子育てシェアの仕組み、子どもへの暴力を防止するためのプログラム「CAPプログラム」の導入、小学校で虐待とは何かについて学び、虐待サバイバーたちの体験談「日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?」を読み、自分達でも「親にされてイヤだったこと」を書いて養護教諭に提出する「親への手紙」を書く。それはまた、子どもが自立できるようになるために9歳から起業教育をする。そして、著者自身の実践として、完全家出マニュアルの出版やサイトのオープンなどをして、子どもたちがある程度お金をためて家を出て安全に生活を立ち上げるための具体的な方法を知らせている。

色んな大人の姿を見て育つことができる子育てシェアや起業教育は、生きる力を育てることにつながりそうだ。自分と親との関係を冷静に考えることができる親への手紙は、仮にそれまでの関係が望ましいものでなかったとしても、それを認識する手段になるし、イヤなことはイヤと言っていいのだということを理解する機会になる。

随所に紹介されている虐待の事例は読んでいるだけでも苦しくなるけれど、今氏が挙げている具体的な解決策は、こういうことが広まればうまくいくのでは?と少しだけ期待を持てる明るさを持っている。


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