【再配信中】ふたつの『月想』

2023年11月6日 07:00

秋の月夜に想いを重ねた男と女。
翌る日、男が目にしたものとは－－。

原案は上田秋成の『雨月物語』や小泉八雲の『黒髪』などで有名な今昔物語集の一編です。
映画化もされている、今もわたしたちの心を捉えて放さない魅力的な古典です。

朗読脚本にするにあたり、わたしは二人が想いを通わせる艶やかな時間と、翌朝、男を襲った残酷な現実を丁寧に追いました。

朗読ですので直接的な表現はありませんが、夜の営みのシーンと、人によってはショッキングな描写がありますので、12歳未満のお子さんのご視聴には保護者の同席を推奨しています。

一人語りver. （語り：大塚明夫）

アニメ『攻殻機動隊』のバトーや、『ルパン三世』の次元大介、『ブラックジャック』のブラックジャック先生などの声優で知られている大塚明夫さんによる朗読です。

（わたし的に初めて明夫さんを認識したキャラクターといえば『ふしぎの海のナディア』のネモ船長です。子どもながらにその渋さに魅了されました）

明夫さんの声はもちろん、無音を語りきるその表現力が本当に素晴らしいです。
この翌年の朗読キネマ『船弁慶』では、平清盛役を演じていただきました。
二作品をご一緒して改めて感じるのは、明夫さんの朗読表現は、わたしの理想であることです。
朗読を愛するすべての人に聴いていただきたいです。

音楽は上畑正和さん。
idenshi195では2014年・2021年『潮騒の祈り』でご一緒させていただきました。
深く澄んだピアノの音色が明夫さんの語りと調和し、美しいハーモニーとなっています。

2020年に収録し、配信したものの再配信です。
イメージ画像として、ホンマアキコさんによる扉絵を使用しています。

約25分。
全身を耳にして浸っていただけたら幸いです。

朗読キネマver.（語り：大島朋恵・吉田瑞樹）

2020年、初めて無観客の配信公演に挑戦しました。
前述の一人語りの脚本を、男女二人語りの朗読キネマにしました。
一人語りver.にはない、女側の思いや背景を膨らませました。意識したわけではありませんが、より官能的になったと思います。

女役は大島朋恵さん。
月蝕歌劇団や虚飾集団廻天百眼といったアングラにとどまらず、現在は多種多様な舞台で活躍中です。
ご自身のユニット「りくろあれ」でも精力的な活動をされています。
idenshi195では、2017年『潮騒の祈り』をきっかけに、2018年『眼球綺譚/再生』での「眼球綺譚」、2019年『朗読原爆詩集』『眼球綺譚』、2020年『月想』、2021年『船弁慶』、2023年『やわらかな鎖』とほぼ毎年出演。
現在制作中の映画『マザーズ』でも主演を務めます。
わたしが全面的に信頼している俳優の一人です。

男役は吉田瑞樹さん。
軸のしっかりした低音が魅力的な声優さんで、idenshi195では2017年『朗読原爆詩集』、2018年2019年『眼球綺譚』を経ての『月想』出演です。

音楽は、idenshi195では『葵上』『船弁慶』でお馴染みの雅楽演奏家・中田太三さん。
中田さんとは2005年からのご縁で、平安の音色が欲しい時に必ずお力をお借りしたす。
2012年〜2015年には、能の宝生流の家元の企画である『朗読能シアター』でも、笙と楽琵琶を演奏していただきました。

こちらは約40分の作品です。

idenshi195は「視える朗読劇」としてお客様に驚きの体験を提供しています。
2018年『眼球綺譚／再生』、上演中にお客様が失神してしまい救急車を呼ぶというアクシンデントがあって以降、ホラーを題材にするときは冒頭のように注意書きを添えるようになりました。

幸い後遺症もなく、すぐに回復されました。
この時の出来事は、こちらに詳しくまとめました。

朗読劇と声の未来 - 4

2020年配信時も、念のため注意書きを添えたのですが、空間を共有するわけではない無観客の配信公演です、危険な影響は出ないだろうと思っていました。
ところが、金縛りにあってしまった方が1人いらしたことを後に知りました。
共感覚の強い方、想像力が豊かな方は気をつけてください。

配信期間は、次の満月11/27まで

期間中は何度でもご視聴いただけます。

▼一人語りver.
https://idenshi195-gessou2310.peatix.com/
約25分

▼朗読キネマver.（二人語り）
https://idenshi195-gessou2310-2.peatix.com/
約40分

各1,950円