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【悲嘆のプロセス⑤】

悲嘆のプロセス12の段階の詳しい説明は①をご覧ください。

今回はその10~12段階目までを私自身に当てはめて振り返りたいと思います。

この段階はいよいよ立ち直りのステージへと入っていきます。
私はここまで来るのに、かなりの年月かかかりました。
通常の悲嘆は順調に急性期から慢性期へと移っていくものです。
期間的には数週間から数か月で徐々に治まります。

しかし、私の場合は3段階から9段階の間を行ったり来たりしてしまい、(勿論数字通りに進む訳ではありませんが)
自分の力で乗り越え進むことが出来ず、遺族外来で治療を受けてなんとか回復プロセスへと進ませてもらった感じでした。


10段階 諦めから受容へ
現状を受け入れながら、つらい現実に向き合わないといけないのだと努力し始める段階へと移行する。
↓ ↓ ↓ 私の捉え方
現状を受け入れられなかった訳では無かったのだと思いますが、適正な表現としたら辛い現実にどのように向き合っていったら良いのか全く分からなかったのです。
変えられない事実は夫が亡くなったこと、そして私は一人になってしまった事です。この状況に慣れるまでにはかなりの時間がかかりました。
では、誰か家族が近くに居たら良かったのでしょうか?
私の場合はそこに関しては全く違いました。息子達が近くに居たとしてもその事とは別問題でした。
立ち直っていかれたのには、自分自身がしっかりその事に向き合う事が出来て、初めて回復へと進んでいかれたのだと思います。


11段階 新しい希望(ユーモアと笑いの再発見)
忘れていた微笑みが少しづつ戻ってくるようになります。
大切な人の死という終わりのない苦しみは変わらないものの、自分なりの新たな一歩を踏み出していかなければと考えるようになる。この頃になると自分の足で進んでいこうという希望に満ちてくる状態になっていく。
↓ ↓ ↓ 私の捉え方
微笑を決して忘れていた訳ではありません。表面的に笑っているように見せてきたと表現するのが正しいでしょう。
その期間が非常に長かったのです。落ち込んでいないしっかりと一人で頑張っている自分を息子達にも見せてきたつもりです。ただ、それを演じ続けるのがとっても辛かったのです。
私が心から新しい希望を手に入れたと感じた時は、大学院を受験して合格通知が手元に届いた時でした。それまでの自分ではない自分が、心から喜び新しい自分として生きていかれると思った瞬間でもありました。



12段階 立ち直りの段階‐新しいアイデンティティの誕生
立ち直りの段階。
悲嘆のプロセスを経て、新たなアイデンティティを獲得する。
↓ ↓ ↓ 私の捉え方
今までの自分の延長線上で生きていくのでは無いという事。
治療中に臨床心理士の先生が仰った一言。
「通常は今までの自分に時間と共に戻っていく。途中中断してもそこからまた今までの自分の人生を再開する。でも、ここまで悲嘆を拗らせた人は全く違う自分を生きたりする。その道は何かを探しそちらに進んで行ったりするものよ」と。
その日のことは良く覚えていますが、そんなものなのかなとその時は漫然と聴いていた気もします。
しかし、その話を聴いた日から割と早い段階で自分の進む道を自ら選択し大きな決断をしました。その決断の速さは臨床心理士の先生も驚くほどでした。


12段階目の事は、ここで書ききれる内容では無いので改めて少しづつ綴っていくことにします。

今、悲嘆の真っ只中に居る人は辛いこの状況が永遠に続くと思ってしまいます。私も勿論その一人でした。私の場合は「辛いか辛くないか」などと考える余地もないほど、麻痺した段階にまで進んでしまいました。

春になってきたのは分かる。桜らしきものが咲いているから。きっと薄いピンクなんだねと記憶と照らし合わせる感じで眺めた事もありました。
暖かくなってきている時期に、フリースを着込み友人から「暑くないの?」と不思議がられたこともありました。

結局、心が麻痺し季節さえも感じず自律神経も乱れ体温調節も自分自身で出来なくなっていたのでしょう。
入道雲を見て「あれ?もしかして夏なの?」と思ったこともありました。
その夏の終わりに、私は仕事へ行く朝玄関のドアがどうしても開けられず。


それがきっかけで、その日から家に籠るようになりました。

この続きはまた今度。

こんな私でも今は回復し、自分の足でしっかりと歩き始めることが出来ています。

必ず夜は明け、太陽は昇るのです。

それは誰にでも平等にね。

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