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ハイハイ探機と専用ガードマン

 家には一体、いや、正確には一人の小さな「探機」がいる。息子だ。人々が探機と呼ぶような、ドローンや何かとは違い、彼は二足歩行ではなく、四足歩行 —厳密には「ハイハイ」— を得意とする。特に妻の実家では、このハイハイスキルが全開である。

 妻の実家は、彼にとって真の冒険の舞台。広い廊下、多くの部屋、そして階段や玄関の段差があるので、彼にはドキドキする探機任務が続く。僕と妻は「ベビーゲートを買わないとな」と口にしていた。そして、何故か酔った勢いで「僕が探してくる」と豪語してしまった。しかし、このミッションは早々に失敗。妻から「ゲートは?」と問われ、「うーん、それはどうだったかな」となってしまった。酔っていて言ったことを忘れていたのだ。

 結局、解決策は僕自身が息子の専属ガードマンになるというもの。ハイハイで行く先々で「危ない、危ない」と言いながら守る。これが僕にとっても新しい冒険。ベビーゲートよりも高い存在になるかどうかはわからないが、少なくとも無料で、何より面白い。

 僕はこの新たな役割に身を投じることにした。「ガードマンはゲートよりも高い?」と自問自答しながら、息子の安全を確保する。ただ、これからは「酔った約束」にも責任を持つように、と妻から教えられた。それもまた、一つの大事な教訓。

 ベビーゲートの件は後でちゃんと探しておくからね。それまでの間、家の中で最も活動的な「探機」は、専属ガードマン付きで冒険を続ける。そしてそのガードマンは、妻によって新たな教訓を学び、家庭の冒険がまた一段と深まるのだった。それが僕たち家族の新しい形であり、新しい冒険の始まりだった。

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