七月に、五月とわたしと(第二十五話)
【00:46】
二日前ーーもう三日前かーー修平さんに告白した帰り道の途中ですべては始まったのだ、と【わたし】は言った。気がついたとき自分は〈そこ〉にすでに存在していたのだ、と。〈そこ〉とはあの廃屋からアパートのあいだに位置する、何の変哲もない裏路地のことだった。
「あらゆる音が、光が、直接脳の中に流れ込んでくるように感じられた。生々しいなんていうレベルじゃない。すべての感覚器官を、生まれて初めて使ったかのようだった。そして胸がふさがれるような不安な心持ちで、ひどくいたたまれ