【本の紹介】『天国までの百マイル』『椿山課長の七日間』(浅田次郎著)
昔、浅田次郎さんの『蒼穹の昴』を読んで衝撃を受けました。
『蒼穹の昴』は、清朝末期を舞台にした壮大な長編歴史小説。
所々に史実が散りばめられていて実在の人物もたくさん出てきますが、ほぼフィクション。
よくこんなに壮大な物語が作れるものだと感動しました。
浅田次郎さん、『蒼穹の昴』では直木賞を逃しましたが、翌年『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞を取っています。私は『鉄道員』よりも『蒼穹の昴』の方が好きなのですが。
今回、久しぶりに読んだ浅田次郎さんの小説は、
『天国までの百マイル』と『椿山課長の七日間』。
さすがは「平成の泣かせ屋」浅田次郎。
まんまと引っかかりました。
『天国までの百マイル』
舞台、映画、ドラマにもなりました。
あらすじ
城所安男は自分の会社をつぶしてしまい、いまや別れた妻子への仕送りもままならぬほど落ちぶれた中年男。
ある日、心臓病で入院する母を見舞った安男は、主治医から病状の深刻さを告げられ愕然とする。
そのまま治療を続けても母の余命はごくわずか。
残された道はただひとつ、謎の天才外科医にバイパス手術を施してもらうこと。
衰弱した母をワゴン車に乗せた安男は、房総のひなびた漁村にあるカトリック系病院目指して、100マイルの道のりをひた走るー
『椿山課長の七日間』
朝日新聞の連載小説としてスタートし、こちらも舞台、映画、ドラマになりました。
あらすじ
激務がたたり脳溢血で突然死したデパートの中年課長が、たった7日間の期限つきで現世に舞い戻ってくる。
ただし自分の正体を明かすことは許されず、39歳の独身美女の姿を借りているため、行く先々で珍騒動が巻き起こる。
家族に、仕事に、やり残したことをやり遂げ、主人公は無事成仏できるのか。
行動をともにするやくざの組長と小学生のストーリーをからめつつ描かれる、「死者の自分探し」の物語。
二つの物語の共通点
この二つの物語には素敵な共通点があります。
ひとつは、設定が奇想天外であり得ないお話なのに、
「もしかしたらそんなことがあるのかも」
と思わされてつい引き込まれるところ。
もうひとつは、私の理想にぴったりの登場人物が何人も出てきて、
いい気持ちになれるところ。
どんな人かというと、
思いやりがあって正義感が強く、
人生経験豊富で包容力があり、
その上苦労を表に出すこともなく、
淡々と、しかも豪快に、
ユーモアたっぷりに生きていて、
そしておいしそうに酒を飲むという、
まるで私の父のような人です。
(一日遅れの「父の日」のプレゼント😁)
父はすべての人々を愛していたのだと思った
『椿山課長の~』の中に、
「父はすべての人々を愛していたのだと思った。」
という文があるのですが、
そこで私は号泣しました。
なぜ号泣してしまったのか書きたくて仕方がないのですが、
これはネタバレになってしまうので我慢します。
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