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環境で作品の不出来が決まる

昨年の4月頃から大きな立体作品を作りました。
「空中建築/Aerial Architecture」

生まれて初めての大きな作品。
「住居」をテーマにして出来上がった作品。
住んでいた土地を人間の手で破壊してしまい、その土地の退去を余儀なくされたが、科学と技術の進歩で宙に第二の住処を作ることに成功しました。それが、浮遊型空中都市「空中建築」です。

制作過程は悩みに悩み、ちょっとノイローゼ気味になりながらも必死になってできた作品の一つとなりました。この「できた」に辿りついた一番の理由として「作業環境」が大きな要因になりました。
どれだけ自身のポテンシャルが高くても、環境が整っていなければやはりできません。その環境を整えてあげることで、自身の力を最大限に発揮でき限界と別の可能性を見出すことができました。

実験的にお借りできた作業場所はfabスペースがある広いカフェ。築140年を超える場所を改装し床はコンクリート。昔ながらの真壁作りで梁が剥き出しになっている造りは、木とコンクリートのコントラストにより重厚感を一層引きたてている内観です。
そんな贅沢な場所でできた空中建築。その環境なしではできあがらなかったことは今でもスタッフの方々には感謝しかないです。
次の作品も、整った環境の中で制作したいと思うのですが、なかなかそうもいかず環境探しに右往左往しいています。自宅に作業場を設けようにも生活空間が邪魔して導線も道具置き場もうまくいきません。
一度、家の中を空っぽにして壁を壊し、床を張り替える作業をもしたいくらい大改造が必要だと感じています。しかし、それで本当に環境が整うのかわかりません。それができないなら別の作業場所を借りることが一番手っ取り早く整うのではないかと、今は思います。
しかしこれは、自分が本当に住みたい場所はどんな家なのかを考えるきっかけにもなり、私自身作業環境が住まいの中にもあって欲しいことから理想ととする「棲家」作りを作品の中で作っていこうかと思います。
その場所をずっと住み続けたい、愛し続けたい。そんな思いも込めて。

リアルな世界観と作品の世界観をリンクさせながら、空中建築の中で織りなすもう一つの作品「巣-終の棲家-」として、心地よい住まいとはどんなものなのかをイメージしスケッチしそれをまた大きな作品にしていきます。

あえて、「終の棲家」としているのは、いつでもここが最期になることをイメージしています。まだ次はある次はある。のではなく、今ここが最後である。と思うことで瞬間瞬間の作業も身が引き締まるのではないかと思ったからです。どんな「巣-終の棲家-」にしていくのか。構想を練っていきます。

個々の能力はさほど差はないと思っています。類い稀ない才能とは全員が持ち合わせているものであり、その才能を発揮できるのは環境であることを私は思います。素晴らしいものが出来あがることは個人の能力だけではない。ほとんどが環境によって能力が発揮できた結果です。
環境を自身で整えてこそよいものが仕上がる。良い場所は良いものを生む。
ずっとずっとそれを追い続けそうな、そんな予感すらしています。
それはとっても難しい議題だと。覚悟すらしています。

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