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半夏厚朴湯を手にする時「ストレスじゃないよ」という

喉につまりがある。
というか、痰が絡んでなかなか取れない。
実際に痰があるかどうかは疑わしいけど・・・。
そんな時に使うのが半夏厚朴湯が代表的。

過去に胃痛がきつかった時、内科に行ったら、
処方されことがあります。その時の病名は不安神経症。
クラシエの漢方セラピーシリーズの「半夏厚朴湯」の表現は、
「のどのつかえ感、不安神経症に」と書いてあります。
しかし、そんな大げさなモノにはしたくないなぁって、正直なところ思う。

なので、この半夏厚朴湯について、解剖していきたいと思います。

半夏厚朴湯の配合生薬

化痰作用を持つ3つの生薬
◎半夏・・・鎮咳袪痰/辛・温 脾と胃に入り込む
◎茯苓・・・利水/甘淡・平 心・脾・肺に入り込む
◎生姜・・・解表発表/辛・温 肺・胃・脾に入り込む


理気作用を持つ2つの生薬
◎厚朴・・・鎮咳袪痰&理気(気を下す)/苦辛・温 脾・胃・大腸
◎蘇葉・・・解表発表&理気(気を下す)/辛・温 肺・脾に入り込む

生薬がどんな性質を持っているかを記したの下の表です。
身体を温める(温)と気を動かす(辛味)して、脾や肺に作用するのがわかるかと思います。

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大まかにみていくと、脾=消化器系、肺=呼吸器系にある
痰=悪さをする濃厚な水分をなくし、痰が溜まってしまった原因の1つである気の滞りを解消し下に下げるするという構造になっています。

半夏厚朴湯が必要な時、身体で何が起きているのか?

結果として現れる症状として、
【胃系の症状】
◎胃弱、胃炎
◎胃部膨満感
◎消化不良
◎食欲不振(食べたら食べられちゃうタイプ)
◎悪心・嘔吐

【肺系の症状】
◎喉のつまり
◎喘息
◎声のかすれ・嗄声(させい)
◎咳

これらの症状が起きている一段階下をみてみると、
【胃系の症状】
胃気(胃にある気)の流れが悪化、停滞
することで、
胃の本来の仕事が滞ってしまい、胃部膨満感や消化不良がおきたり、
胃は下に下げる力を持っているのに、その下に下げる作用が発揮できず、上に上がってしまう=嘔吐や吐き気に繋がっています。
同様に、
【肺系の症状】の症状が起こるのは、肺気(肺にある気)の流れが悪化してしまうことで、肺の仕事の一つである水分代謝機能に異常(水分代謝がうまくできず滞ってしまう)がおきて、喉のあたりに痰が形成されたり、咳が出たり、気管がむくんでしまったりします。

ここで起きていることは、気の巡りが悪くなってしまった結果であります。

では、この気の巡りが悪くなった原因とは?
もう一段階下に下がってみてみます。

胃と肺の気の流れを悪くしてしまった原因=肝気

胃と肺の気の流れを悪くしてしまったもの何かというと・・・。
肝気の流れの悪化(肝気鬱滞)。肝の気の流れが悪化すると、肝の働きである気をのびのびと巡らせてくれる作用がダウンします。

それによって、弱めの臓腑ところは早々にその影響を受けてしまう。

とういうことになります。

肝気の流れが悪くなるというのは、何で悪くなるのか?
肝の気滞といえば、ストレスです。
人によって、ストレスの原因となるものは変わります。
ストレスというと人間関係や職場などが出てきますがそれだけじゃないです。

お天気、寒暖差、騒音、匂いなど取り巻く環境も私たちを容赦なくツンツンとつついて、肝気に影響を及ぼします。

脳がピコピコといつも動いている人はキャッチ力が高いだけでなく、
脳は肝経が通っている場所なんで、肝気を乱しやすいかもしれません。

東洋医学の肝と西洋医学の自律神経は被るところが多いので、
自律神経のON/OFFがしがたい人なんかも、肝気を乱しやすいかもしれません。

疲労や普段からの肝の使い過ぎで、肝の巡らせ力が落ちてしまっている人は、寒暖差などの些細な事でも、肝気の気滞が起きてしまうかもしれません。

ストレスに限らず、日常的に肝が弱っている場合や痰(水)が溜めているタイプでなければ、半夏厚朴湯にお世話になる症状にはなりにくいと思います。

消化器系や呼吸器系の半夏厚朴湯は肝も養ってくれる

肝気の巡り悪化の所為なのに、肝に関する生薬が入っていない半夏厚朴湯ですが、巡り巡って肝を養ってくれるんです。
厚朴と蘇葉は、理気剤なので、気滞に効果があります。
気滞は肝の疏泄作用が上手くいかなくて起こるものなので、この肝の気をアップさせることで、気滞を改善します。なので、肝の気の巡りを改善してくれます。

半夏厚朴湯を飲んだら・・・

最近、私自身が喉に痰がいつも絡んでいる感があって、
痰切り剤飲んだら、すっきりするかなぁと思って、
漢方薬を見繕った結果、こちらをチョイスしました。

「不安神経症」とか名称に書いてあるから、
手にとる時にちょっと抵抗がありました。
でもね、よく処方を分解してみると、
「別に水溜まってるだけじゃん」と思って、
「ストレスじゃないから(笑)」と言って購入しました。

飲み方は、白湯に溶いて、お茶を飲む感じで飲みました。
(身体を温める生薬が入っているものは白湯にといてます)
飲んだ感想は、まず、美味しい!!
ほんのり甘い生姜湯を飲んでいるかのようでした。
(たぶん私のカラダが欲している味だったのでしょう)

飲んだ体感は、胸のあたりが広がって呼吸がしやすくなりました。
縮こまっていたものが、のびーんとした感じです。
肝心の喉に詰まっている痰はとれていません。(服用3日目現在)

基本動かす漢方薬なので、服用後は動いた方がいいのかなと感じました。
というのも、身体を動かした時は心地よかった感覚があったのに、
身体を動かさずだらっと寝てしまったら、行き場をなくした「気」が詰まった感じがありました。

服用を続けています。1~2週間で喉の違和感が消えなけば、別の漢方薬に切り替えてみようと思います。

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