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『私の財産告白』 合本版 本多静六

私の財産告白・私の生活流儀・人生計画の立て方
本多静六著 実業之日本社

1866年、慶応2年、埼玉生まれ。
東京山林学校に苦学の末入学。一度は落第するも首席で卒業。

その後、ドイツに私学留学してミュンヘン大学で博士号をとる。帰国後は大学教授職に就くが、その傍ら、貯蓄と投資を基礎とする独自の蓄財投資法で莫大な財産を築く。

日比谷公園の設計や
明治神宮の造林など先見性に満ちた大きな業績を残したり、60歳になると、匿名で全財産を寄付したりした。

モットーは、『人生即努力、努力即幸福』
”月給4分の1貯金” と 一日一枚原稿執筆を長年続ける地味さと堅実さ。

〜〜〜

うーん。これは10代の頃に出会いたかった教訓だ!いや今からでも遅くない。

堅実に、質素に、生活することである。と本多さんはいう。私も同感である。

以前、内田樹さんが書いた、映画『万引き家族』の考察を読んだのですが、

物語に直接関係ないというのに常に画面の中に配置され世界観を主張しているもの。小津映画だったら赤い薬の缶。移ろいゆく全てのものの中で、変わらずいつも全てを見届けている赤い缶。

「万引き家族』においては、”物量の多さ” だと言ってて。

そう言われてみれば〜!って思った。
所狭しとモノで埋め尽くされているから
足の踏み場もない。万引きという稼業ゆえに、いらないものも増えていく。

そもそも、子供達も、人様から誘拐(万引き)してきたものなのだから。

少ないものの中で質素に暮らすことが豊かで
ものに溢れた中でノイズいっぱいに暮らすことで貧する。

面白いなぁ〜。と思ったのでした。

〜〜〜

本書によれば、凡人が天才に勝てる唯一の方法とは
努力また努力である。

のだが。。。

彼は、東京山林学校で最初に落第した時
人生に悲観し、から井戸に、投身自殺を図って身を投げたり

ドイツ留学から帰国後、世界旅行(仕事を兼ねる)に出かけ、途中シベリアまで来た時、同行していた親友のドイツ人が、あまりにもなスケジュールと過酷な環境に精神をやられ本多に遺書を渡すまでになった。。

その人はドイツに帰国し
結婚。穏やかな結婚生活を送るかと思いきや、病に倒れ旅行からわずか数ヶ月で亡くなってしまう。
というようなエピソードもある。

世の中には、『天才と凡人』という二つの枠しかないんだろうか?

いや違うと思う。
だから、あんまり鵜呑みにしてはいけない。。
この人は天才じゃないのかもしれないけど、
エクストリームでエキセントリックなことは確かだ。

という感想。

エクストリームな人はエネルギーがすごいので
うまくいけば、こちらも感化されて力をもらえるが、近寄りすぎると、逆に生命力を損なわれると思う。そうなったら、何のための努力か?貯金か?ってな話で。

〜〜〜

本多のオッさん、結婚観もすごいものがある。
結婚相手に求めるものの一つが、血統の良さ。
うーん。戦前のドイツ彷彿。。ちょっと怖い。

あとは離婚してしまった場合の助言ね。

男性)早いとこ再婚せよ。若い嫁が良い。

女性:死別)再婚可能。ただし嫁を亡くした年寄りと結婚し亭主の晩年の面倒見るのが良かろう。

女性:離婚相手が生きてる場合)フシダラということにもなろうから、再婚は諦めよ。

古いオッサンの考えだから仕方ないのかもしれないけど、

本多さんは、仕事に関しては先見の明があって斬新。働き方に関しては、やっとこ現代の日本社会が彼に追いついたってくらい進歩的なので、

結婚観、、というか、女性に対する考え方が
あまりにも酷すぎる(というか最低だ)のが残念です。

ちなみに、働き方で推奨してるのが、副業のすすめです。

あの時代に副業をもてと言えるのってすごいです。
だって一個のことに邁進しろっていう時代でしょ?

〜〜〜

ここは参考になる!! と思って、何度も読んだところ。

『仕事を道楽化する』

本書によれば、お金持ちになるとか名誉とか、
そんなのと比べ物にならない幸福。それが、

仕事が道楽になること。

どうすればそうなるのか?

1)打ち込むこと
2)継続すること
3)仕事に追われない。仕事を追うこと

とまあ簡単にいうとそんな感じで。

それらをもっと簡単にいうと
絶え間ない努力、、。となるわけなんだけどね。

これも時と場合によると思うんだけども、
確かに一理あるわけで。

仕事に追われていると疲労も倍増。
何よりも、やらされてる感で余裕がない。
追っているというのは、主体性があるよね。
主導権はこっちにあるというイメージ。

『仕事を追う』

明日やるべき仕事は今日終える。
一年後の目標は半年で達成もしくは前もって準備しておく。

そういう感じで先回りして進めていくんだってさ。

ほんの中では書かれてなかったような気がするけど

貯金にせよ、努力にせよ、仕事の道楽化にせよ、

初期設定、つまり、モチベーションの種類が大切よねと思う。

足りないから、いつどうなるかわからないから、、
などの、『不安』が初期設定に組まれてる行動なのか、

それとも

すでに充足してるから、さらに夢を大きく目指していいじゃない
おもろいやないか!っていう、『楽しい』がモチベーションにある行動なのか?

言うは易しなのは承知で言うけど、
不安が動機の努力の結果はホラーだと思うので
やっぱりここは大事なんじゃないかなと思う。

住む家があって
内戦がなく平和で
文化があって
町がきれいで
治安がよい

これだけですでに充足してるんでね。

足りてるからこそ
今日明日の衣食住の確保に
全エネルギー消耗する事なく
夢を持てたり、目指したり、
「好き」を追いかけられたりできるわけだから。





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