農的幸福論 加藤登紀子(編)
農的幸福論 藤本敏夫からの遺言 加藤登紀子編 家の光協会
1960年代、学生運動の旗手であった藤田敏夫氏。
システムの変換、世の中の革命を夢見た行動の中で
何かを産み出そうとする光はあれど、それが明示できずに
苦悩するのでした。やがて、過激派グループは分裂を続け
内ゲバが起こり自滅的な暴力運動と化していきました。
そんな中で突如、全てからの離脱宣言をし
『ゼロからやり直しや』と、伴侶の加藤登紀子さんに何度もつぶやきます。
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1961年、日本は近代農業を取り入れました。そこで農薬と化学肥料を多用し
機械を入れた大型農業に転じて行くのです。誰もが幸せにいきられる、
自然に沿った生き方や社会、共同体主義。それはユートピアの理想郷なのか。。
1980年代に入り、千葉県鴨川に移住。”農業ごっこ”の共同体を始めます。
鴨川自然王国と呼ばれるようになるこのコミュニティ、それは、
消費者から生活者へとシフトし、自分の人生を主体的に生きる
幸せな『農的生活』の提案として現在も続いています。
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わたしも小さな賃貸の家の小さな小さな庭で、野菜を育て、コンポストをしています。夏にはたくさんのチリや唐辛子が取れたので発酵させてタバスコを作りました。トマトは主に、サルサに使いました。ミョウガも取れた。感染症が始まってクラスターが起きた時、ロサンゼルス郊外に住んでいたけれど、ロックダウンの渦中であえて引っ越した。プールやジムが付いているオートロックのゴージャスなマンションから、広い庭付きの古い一軒家に移った。そこでとにかく、いろんなものを育てた。
私たちは知らずのうちに、消費のサイクルの中に組み込まれている。
生産力主義や効率重視の社会に生きているから、
自らをバラバラにされて生きている。我々の生活は、
『分業化』されることで『消費者』という立場が当てはめられているだけなのに
そのことに疑いも持っていないのかもしれない。
消費者と生産者だけが存在するわけじゃない。生活者がいるのだ。
生活者とは、自分の生活をデザインする。身体を使い五感を使って。
『消費者』が『生活者』になるためには、『生産者』との関係を要する。
『生産者』は『消費者』を通じて表現される。
その統一の場にいるのが『生活者』
つまり、どんな風に何にどのように消費活動をしているのか?
それであなたの生活の『生産者』が見える。
『消費者』としてのわたしのリアル(現実)がむき出しになる。
自分が関わる生活の嘘偽りのないサイクル。生産と消費のスタイルや質。
そのサイクル(生活)は
文化的に豊かでしょうか?
身体的・精神的に豊かでしょうか?
生産と消費が循環しているでしょうか?
それとも、完全にサイクルは分断され
バラバラに存在しているでしょうか?
土を触って自分で食べ物を育てる。
なんて綺麗な色でしょう。パステルで絵を描く。
料理を作る。畑の豊かな色彩に感化され彩りの良い盛り付けにする。
美味しくいただく。器にも興味が出てきた。
住んでいる地域は笠間焼で有名なので少しずつ、
お気に入りの作家さんの作品を集めている。
わたしを豊かにする農的幸福。
2020年にひょんなことから(ロックダウン)出会えた
”農業ごっこ”から、たくさんの幸せを気づかせてもらえた。
本当に感謝している。
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