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花 〜守るもの・断つもの〜

「それは、あんたが変わってるからじゃないの?」

これが、私の人生の転機になった、母からの一言でした。中学生の頃でした。

半泣きで、周りとの人間関係がうまく行かないことを相談した時だったと思います。母は私の味方をしてくれると思って、励ましてもらえるのではないか、自分の気持ちを勇気を振り絞ってさらけ出した時でした。

そうしたら、母から冒頭の言葉をかけられました。

その時私は、最後の最後に保っていた「自尊心」がどこかへ消えました。
そしてこう解釈しました。

「私が変わってるから、いけなかったんだ。
これからは自分の気持ちに嘘をついて、みんなに合わせよう。」

そこから、人にどう合わせるか、人にいかにして気に入られるか
自分をどうやって適応させるか に集中するようになりました。

今のようにSNSなどない時代でした。
どうしても心がつらくなった時は、家でノートにつけてさらけ出していました。

時は流れ、大学に無事入学することができました。

そこでも、うまく馴染もうとしましたが、人付き合いが上手くいきませんでした。

ですが、この私に声をかけてくる、変わった男子学生がいました。クラスでも何かと目立つ人でした。

私はその人のことがなんとなく気になり、向こうからの好意も感じ始めるようになりました。

お付き合いしてからわかったのですが、
その人は私とは全く逆の悩みを抱えているようでした。
私は「自分の素直な感情」を見失ってしまったのに対し、
彼は「他人の感情を理解すること」が苦手なようでした。
私たちはお互い不安定で、でもお互いが癒しになっているようでした。

大学では「社会心理学」を専攻し、
自分のテーマとして「家族心理学」を選びました。
自分のこと、家族との関係性について、真剣に向き合おうとしました。

そして様々な本を読んでいく中で
家族を取り巻く今の日本の環境が大きく変化していること
に気づかされました。
家長制度の時代、父親が社会での経験や知識を持っていて
子供はそれを踏襲すればよかった時代は
親に習えばそれで良かった。
でも、今はそれが必ずしも通用しない社会になった。
親の引いてくれたレールは絶対安心とは限らない。
子供の置かれている環境は、親世代の昔とは異なる。
親世代と子世代の価値観の食い違いが大きくなっている。
そんなことを認識していくようになりました。

母との関係に変化が現れたのは就活中でした。
母の直球でキビキビした態度が、
就活中に情報の波に追われて疲れていた私を
救ってくれるきっかけになった出来事がありました。
それが母との和解のきっかけになりました。

そして、それを機に、かはわかりませんが、
身体に変化が現れました。
日中身体が動かなくなり、意識はあるけど寝たきりの状態になりました。
今までずっと自分を押し殺して、家族にも心を許せていなかった時期が長かったので
心が解放された結果、身体や神経に現れたのかと思っています。

ぼんやりと一生このままかな…とも思っていました。
症状は悪化し、入院しました。

半年以上たち、ようやく歩行もできるようになりました。
家族から支えられている実感も戻りました。
大学は留年してなんとか卒業にこぎつけたものの、
先行きが見えませんでした。

その後一年ほど、webデザインの学校に通い始めました。
ワード・エクセルなどの勉強も始め、資格をとりました。
そして運よく(?)団体職員として働き始めたものの
ここでもメンタル的なこともあり長くは続きませんでした。

さて、どうしよう。
その時、前々から温めていたピアノの曲を
ネット上で本格的に公開する活動を始めました。

そうしたら、仲間が一人、二人とできました。
ネットでの活動方法を教えてくれた人、
地元出身のアーティストさんと繋げてくれた人、
歌やアレンジで協力してくれた人、
ファンになってくれた人。

そして、音楽が縁で、今の職場の上司と知り合いました。
今はそこでコツコツと働かせていただいています。
ウェブのデザインの知識も役に立っています。

音楽活動を始めたことがきっかけで、
「音楽を売る」「お金をかける」「お金をもらう」
ということについて、深く考えるようになりました。
その結果、お金についての本をたくさん読み、
実践と学びで「お金」について理解を深めることができました。

また、音楽活動がきっかけで
人との出会いの他に、「場所」との出会いがありました。
とても居心地が良いので今も定期的に通っています。

そして今、私は幸せに生きています。

そして、冒頭に母が放った
「私が変わっている」
の言葉の実感が、ようやく持てた気がします。

変わっているから、悩むことができた。
悩んだ末、心理学を学ぶ動機に繋がった。
恋人との人間関係で、自分の「好き」を取り戻せた。
悩みは身体に影響を与えることがわかった。
変わっていたからこそ、できる活動があった。

今までずっとトラウマだった言葉が
今は理解も受容もできるし、学びにつながっています。

タイトルの「花 〜守るもの・断つもの〜」という言葉は
大学のゼミで撮った写真の作品名です。
人(花)は、色々な人や環境に守られたり、傷つけられたりする
可能性がある中で、輝いて生きている(咲いている)。
その瞬間の儚さや危うさ、そして美しさを表現した作品でした。

今までの私は、こんな感じでした。っていう投稿でした。
今でも克服できない弱さや繊細さは残っているけれど、
それもまた何か別の学びへのきっかけかもしれません。

読んでいただき、ありがとうございました。

IKOI.A

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