カープダイアリー第8283話「貴浩の家族に乾杯!チーム打率1割台でも北の大地で交流戦5年ぶり同一カード3連勝」(2023年6月8日)

北の大地に根付く広島のエネルギーを感じながら、交流戦、同一カード5年ぶりの3連勝を決定づける場面がやってきた。1対1同点の五回だ。

ライアンの内野安打と坂倉の四球のあと上本の投ゴロが投手、一塁手が重なるようになり敵失を招いて無死満塁。6試合連続スタメンの九番矢野は7球目を打って二ゴロとなり本封された。

一番菊池はボールになる外スラを追いかけて空振り三振。打席には戦列復帰3戦目の野間。

マウンドの上沢はここまで球数74球。3試合連続クオリティスタート成功中の右腕の持ち球は多彩で緩いカーブ、チェンジアップ、カットボール、スライダー、フォーク…。操り狙い球を絞らせてくれない。

三回、菊池の適時二塁打はスライダー、カットボール、真っすぐ全5球ともアウトコース。当たりの止まっている切り込み隊長、意地の一打だった。

初球外より真っすぐストライクのあとの2球目も外角。浮き気味のフォークをライト前に弾き返した。

打球はワンバウンドで万波のグラブへ。まず坂倉がホームを踏み、バックホームと競走で上本激走。坂倉の指示で外側に膨らみながら左手でホームベースにタッチするとその勢いで球審山口の足にぶつかった。

キャッチャー清水は返球を捕球しきれず、上沢がバックアップ、とその瞬間今度は矢野が加速して突っ込んできた。ヘッドスライディングするその背中にタッチした清水、しかしミットから白球がこぼれた。

内野安打と右前打で3点。目指すべき機動力野球の実像がはっきりと浮かび上がってきた。

この攻撃は4対2で迎えた九回の駄目押し点にもつながった。

日本ハム二人目のロドリゲスの前に簡単にツーアウトとなり、ライアンがストレートの四球で出塁。代走羽月は坂倉の2球目で二盗に成功したがタイミングはアウト…力の入った清水の送球がワンバウンドになった。

日本ハムベンチはすかさず申告敬遠を選択。打席には左肩負傷の上本に代わってサードに入っていた田中広輔。結果は初球を打ってライトフェンス越え、日本ハムブルペンに飛び込む4号3ラン、7対2で勝負あり。羽月の盗塁成功から止めの一撃までわずか1分間の鮮やかな“攻めっぷり”だった。

北広島市と広島市や新井監督の関係は“密”だが、選手たちも様々な報道を通していろいろなことを学んだはずだ。

日本ハムの、道民の新たなボールパークでプレーすることに誇りを感じ、全力プレー。スタメンも控え組も若手もベテランも、調子のいい悪いに関わらず個々の能力を最大限に発揮する。

試合前の打撃練習中に「そろそろお目覚め」と新井監督から声をかけられた野間も一息つくことができただろう。

投げてみないとどう転ぶか分からないコルニエルの“続投”策も奏功して7回3安打2失点で待望の白星が転がり込んできた。ただし五回の一死二、三塁でセンターに飛んだ大飛球を秋山が超ナイスキャッチ(犠飛で1点のみ)していなければ、そこで終わっていた可能性が高い。

第2戦の九里が7回2安打無失点、初戦の大瀬良が6回7安打2失点。ディフェンス力と足を絡めた攻撃展開。2000本安打名球会、ホームランキングの新井監督は、佐々岡前監督から引き継いだ大切なチームを、言い換えるなら誠也もブラッドもバティスタもいない小粒な集団を、そのキャラに合った戦闘集団として成長させようとしている。

他会場ではオリックスが巨人に0対6で完敗、阪神も交流戦最下位の楽天に4対6で敗れた。

その結果、5勝4敗はソフトバンク、DeNA、オリックス、巨人、中日、そして交流戦チーム打率が唯一1割台(・196)のカープ。6チームが1位並走となり、ヤクルトと阪神が4勝4敗で続く形になった。

6月2日、ソフトバンク1回戦に敗れて単独最下位になってからわずか5試合で首位浮上!エスコンフィールド北海道のクラフトビールとソーセージ盛りで「貴浩の家族に乾杯!」…心の中でそうつぶやいてチームは当日移動でZOZOマリンスタジアムに乗り込む。

※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。


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