カープダイアリー第8290話「激闘4時間!6点差ひっくり返すオフェンスとミスミス失点を重ねるディフェンスと…」(2023年6月15日)

延長でもないのにジャスト4時間の激戦になった。九回、楽天ベンチは11対7のスコアでも松井裕樹をぶつけてきた。昨夜、一塁ベースのせいでサヨナラ負けを喫した右腕は、スライダー、フォーク、真っすぐをどんどんゾーンに投げ込んできた。

秋山はスライダーを打ち上げ3球でアウト。龍馬は150キロに押されて浅い左飛、坂倉も149キロを振って遊飛に終わりスタンドからため息が漏れた。

「厳しい展開の中でも、一時逆転してくれていい攻撃だった。後から投げた森浦、大道、ターリー。このあたりの好投が攻撃につながった。大量ビハインドでもみんな諦めなかった。1回でもひっくり返したのは自信にしたい」

新井監督はいつものようにプラス思考のコメントを残した。マイナス要因には一切触れない。だが、失点に関係した選手は個々に猛省しているはずだ。

試合前の段階で交流戦7勝7敗。勝ちゲームの内訳は2点差勝ち2、1点差勝ち4。負けゲームのうち5試合は5失点以上、4失点が1。要するに守り勝ち、となっていた。

それなのにいきなりコルニエルが2回5失点KOされた。62球も投げていては話にならない。しかも初回の4失点にはこの日、待望のシーズン初スタメンで一塁に入った末包のエラーが絡んだ。ライト野間からの返球を捕り損ねるというプロとして恥ずかしい初歩的なものだった。

二番手の中村祐太も三回に1点を許して序盤で6点のビハインド。だが今の打線にしてみれば、それもハンディ戦のようなものだ。

楽天先発はドラ1ルーキー荘司。ここまで6試合に先発して1勝もできていない。

四回、二死満塁で代打松山が2点タイムリー。菊池の内野ゴロと野間の適時打でさらに2点を加えた。

七回にも楽天ブルペン陣から菊池、代打上本の連続適時打で3点をもぎとり7対6とひっくり返した。

しかし昨日の今日だから楽天ベンチも必死。振幅をコンパクトに、センター返し、逆方向狙いのしぶといバッティングでラスト2イニングでも襲い掛かってきだ。

八回、島内はアンラッキーな内野安打で二死満塁のピンチを招くと、阿部に真っすぐ勝負を挑んでライト線に打ち返された。ここで曽根が後逸して3人目のランナーまで生還させた。

六回の代走からの出場だった曽根は、七回の守備でライトから文句なしのバックホーム。タッチアップで頭からホームに飛び込んできた浅村をアウトにした。普段、出番の少ないところに立て続けに飛んでくるのが野球だが、2度目の見せ場では球から目を離して顔を上げるタイミングが早すぎた。

さらに“ミス”は続く。

リードしていれば矢崎の出番だった九回のマウンドには栗林。先頭の鈴木大地に対して真っすぐ4球がいずれもボールになった。初球、坂倉のサインに首を振ったのに、だ。先頭打者への四球はミスに等しい。

送りバントなどでツーアウトまで漕ぎつけて、打席には今季16の0、7三振の田中和。初球カットボールで空振りを取り、また首を振ってから真っすぐを投げたらライトスタンドまで低い弾道で弾き返された。

打たれたのは低目の150キロ。バットを長く持つスイッチヒッターに完璧に捉えられた。これで栗林の成績は17試合に投げて1勝6敗1H7Sは変わらず、防御率は7・47。二軍再調整が必要なレベルになった。

パ・リーグ勢を相手にシビアな戦いを続ける中、失点を極力抑えて競り勝つ、というパターンが浮き彫りとなっている。

例え意図的ではないにせよその「掟」に従うことができなければ、どこかのタイミングで貴重な一軍枠を他に譲ることになってしまう。

11失点は交流戦今季ワースト、交流戦首位の巨人まで3ゲーム差、7勝8敗で残すは西武との3試合のみ…ここまで失策11は楽天と並んで12球団ワースト2…

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