カープダイアリー第8424話「岡田vs中嶋の関西シリーズバトル白熱…の裏で龍馬の未来はどうなるかⅡ」(2023年11月2日)
1点の重み、逆転への執念。新井監督が言い続ける「球際」のプレーが勝敗を分ける。甲子園球場での関西シリーズ第5戦は阪神の逆転勝ち、となった。
両軍指揮官が1点に拘っていることは、序盤からの両チームの動きで手に取るようにわかった。もちろん欲しいのは先取点。
象徴的な場面があった。
両軍無得点の三回二死一塁。テンポよく投げ続ける阪神先発の大竹に対し打席の廣岡(この日、好調を買われて一番に昇格)がギリギリのタイミングでタイムを取った。
その瞬間にベンチから飛び出さんばかりの勢いで大きな声をあげた。
オリックス打線では初回の二番宗も3度、打席を外してタイムを取った。ナカジマジックの種はあらゆるところに撒かれる。岡田監督にすれば“やすやすとそんな策に振り回されへんで”ということなのだろう。
NHJKはBSで第5戦まで毎試合、生中継した。だから何が大事なのか、を良く理解している。スイッチャーの絵の切り方も適切で、しょっちゅう岡田、中嶋両監督の表情を紹介する。
地上波は民放局が日替わりで担当する。
前日の第4戦は日本テレビ・読売テレビ系が制作・放送した。解説は赤星憲広さんと高橋由伸さんでスペシャルゲストが和田毅さん。実況は読売テレビの平松翔馬アナウンサー。
しかし平松アナの実況は終始、その1球の拘りを報じるような姿勢とはかけ離れていた。その“集大成”となったのがラスト、サヨナラの場面。「タイガース!サヨナラー!」と「中嶋監督、満塁策失敗!」の文言が対比する形となり、ファン、視聴者から疑問の声がトレンド入りした「満塁策失敗」SNSに集約された。
「ナカジマジックに大山風穴…」とか「ナカジマジック、ネタバレか…」くらいにしておけば問題なかったはずだ。
実況担当アナの技量の低下度にはどの局も苦労している。地上波中継の機会は減る一方だから、ラジオ実況のない局はさらに厳しい。ただ、関西圏であれば高校野球で腕も磨けるはずなのだが…
この日もまた1点を巡る攻防となり0対2の八回、あとがなくなった阪神が6点を奪って試合を決めた。阪神打線はオリックス先発の田嶋の前に7回4安打に封じ込まれていた。
その大劣勢に風穴を開けたのが三番森下翔太だった。それまでの3打席ではいいところなし。さらに七回のレフトの守備では焦ってボールが手につかずミスミスの2点目。1点ビハインドでも厳しいのに…とトラファンもたぶんちょっぴり下を向いたはずだ。
だが八回、近本の適時打で詰め寄りなおも一死二、三塁の場面で打席に立つとボールカウント2―2から粘って7球目を左中間に打ち返した。
その直後、カメラに抜かれた岡田監督の目は充血していた。
「交代させたろ思たけど、また泣いたらあかん、辛抱したよ」
京セラドーム大阪ではさっぱりだった森下はそうやって日本シリーズの打席に立ち続けてきた。正に何本打つか、ではなくいつ打つか…
大一番でいかに出力を上げるか、それは報じる側もプレーする側もいっしょ…
阪神はこれが今季甲子園ラストゲーム、決着の地は京セラドーム大阪になった。
大歓声とはしばらくお別れのマツダスタジアムでは、龍馬が久しぶりにメディアの前に姿を見せた。
鈴木清明球団本部長からおよそ30分間の契約前交渉を受け、金銭面などの具体的な提示も初めて受けた。
おそらく長期に渡る複数年契約で試合に出れば出るほど、打てば打つほど2億円の大台クリアに近づく内容になっているはずだ。
あとは他球団からの評価がどうなのか?
そして龍馬と龍馬家が将来を見据えてどうしたいのか?
“いつ打つか”を凝縮したような龍馬のバットがもし関西シリーズの舞台にあったとしたら、どんなことになっている?
この日のオリックスは三番ライト森、八番キャッチャー若月で、森は4タコ1三振、若月も4タコで大事な場面も含めて3三振、中嶋監督勝負手の「一番レフト」廣岡も5の0だった…
※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。
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