カープダイアリー第8426話「阪神38年ぶり日本一、新人最多7打点の森下翔太を1位指名しなかったカープは龍馬まで失えばWの悲劇」(2023年11月5日)

日南秋季キャンプメンバーが現地入りした。全国的に温かい11月になっているが宮崎は陽射しがなお強い。存分に鍛えられる選手たちは、ほどなく日焼けしていっそう精悍な顔つきになるのだろう。

取材に応じた新井監督は、藤井ヘッドの進言により全選手に課題克服に向けたレポートを課したことを明らかにした。

選手個々の課題。本人が考えていることと、首脳陣の思いを刷り合わせて地力を飛躍的に引き上げていく。

それができなければ新井カープの目指す「日本一」はない。長丁場のシーズンを戦うには“前線”も大事だが“後方支援”を充実させることがカギになる。

「若手の育成」という表現はある程度の時間の流れを容認するものだ。では、どの程度か?

高卒組なら3、4年で一軍戦力、がベスト。丸佳浩は4年目の2011年に131試合に出場して105安打を放った。 SEIYA SUZUKI は3年目の2016年に129試合156安打29本塁打で“神った”。

大卒組は高卒組より4年後発になるので猶予は1年、マックス2年と考えていいだろう。森下はコロナ禍に見舞われた2020年、それでも18試合122回と2/3を投げて10勝した。今回、ドラ1指名した常廣羽也斗には同水準の数字が期待される。

新井監督がレギュラーシーズンでもクライマックス・シリーズでも苦杯をなめさせられた岡田阪神はこの日、38年ぶりの日本一になった。

「オリックス強かったです。ほんとにね…、ええ。まあ、あのぅ最後の最後までね、どっちに転ぶか分からないようなね展開で、まああのぅ、最後はちょっとね、あのぅきょうはねタイガースのいいとことがちょっと出たんですけどね、ほんとにあのぅ日本シリーズとしてね今年のプロ野球の最後の締め括りとしてはね、ほんとにあのぅ、いいゲームができたんでほんと良かったと思います、はい」(岡田監督の試合後のインタビュー)

第6戦までで両軍トータル23得点ずつ。がっぷり四つに組み最後は猛虎が猛牛を押し出した。

MVPは近本。もうひとり、特筆すべき野手がいる。シリーズ新人最多7打点をマークした森下翔太。レギュラーシーズンでカープ投手陣を相手に勝負強さを発揮してきたその打撃力はやはり本物だった。

阪神の先制点は四回、ノイジーの3ラン。口火を切ったのはフルカウントから左前打した森下翔太だった。2ストライクと追い込まれながら3球続けてボール球を振らず、1球ファウルのあとの真っ直ぐをレフト前に弾き返した。

それまでほぼ万全の投球を続けていた宮城は、次打者大山も2ストライクナッシングと追い込みながらぶつけた…瞬く間にリズムが乱れて被弾したことになる。

受け身に回った宮城はモロかった。五回にも二死一、三塁のピンチを招き交代を告げられた。

替わった比嘉からも森下翔太はまたフルカウントから2点二塁打を放った。大山、ノイジーもそれに続いた。森下翔太は九回にも中前適時打した。

森下翔太ではなく斉藤優汰を指名した1年前のドラフト戦略はやはり失敗だった、と考えていいだろう。もちろん決定権を持つのは松田元オーナー。ゆえに現場からも編成・スカウト部門からも批判の声は上がらない。

敗れた中嶋監督は表彰式が終わると岡田監督のもとに歩み寄り笑顔で握手した。

逆王手をかけたオリックスだったが最後の最後で森下翔太とノイジーのバットを封じきれず、けが人の多い打線では反撃に転じることができなかった。

そんな中、今シリーズ初スタメンに抜擢された「九番レフト」福田は3打数3安打と奮闘した。レギュラーシーズンでの出番が激減していただけに死に物狂いでグラウンドに立ち続けたに違いない。まだ十分に俺はやれる!活躍の場さえ与えてもらえれば…と…

シリーズが終了したことで、スポーツ紙は一気に戦力補強への話題へと移っていく。龍馬の名前は必ずピックアップされるはずだ。「オリックスが調査」そこから話は加速度的に進展していく。もちろん選択肢は龍馬が新井カープを支え続けるか、日本シリーズで対戦する立場になるか?ふたつにひとつ…

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