カープダイアリー第8540話「倉敷マスカットスタジアムの外野でも散る火花」(2024年3月1日)

25度越えが当たり前だった沖縄から、強く冷たい風が吹き抜ける倉敷マスカットスタジアムへ。1対0の五回、文句なしの角度で舞い上がった打球は、逆風をモノともせず、99・5メートル表示の右翼フェンスのずっと先に舞い降りた。

小園のオープン戦第1号。ライト岡島豪郎がすぐに追いかけるのを止める豪快な一発だった。

日南からのキャンプを振り返り「すぐに終わっちゃったので…」と話した小園。それだけ毎日が充実していたことになる。「やることはできたかなと思います」とも振り返った。特に打撃面。練習では打ち損じが各段に減り、実戦では生きたボールに対してもそのままバットを操ることができていた。

打った相手が4年目で初の開幕投手を任される早川だったことも大きい。昨年11月の「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」でいっしょに優秀の美酒に浸った仲間でもある。第1打席の右中間二塁打、第2打席のショート内野安打と合わせて左腕から3の3。そのあとの2打席は凡退したが、オープン戦はこれで3試合11の6、4打点。

守っても“一発海斗(いっぱつかいとう)”直後、栗林がいきなりピッチャー返しを弾いたところで素早くフォローして内野安打をアウトにすり替えた(楽天・今江監督のリクエストも判定変わらず)。

小園のオープン戦スタメンはこの日で三番が2度目、五番が一度。

五番には前日“本隊”に合流したばかりの秋山が入り、こちらも攻と走でスタンドのカープファンを喜ばせた。

二回の第1打席では144キロを素直に弾き返してセンターライナー。四回の第2打席では124キロをセンター前ヒット。そのあと二盗を決めると坂倉の左前打で生還、昨秋の右膝手術の影響を感じさせない動きでアピールした。

守備機会はフライアウトをさばいた一度だけで四回の守りから田村俊介と交代した。

ところでキャンプではまったく別行動だったこのふたり。倉敷遠征では一転、互いの距離が近くならざるを得ない状況となった。首脳陣は意識的にそうさせている。

打撃練習中にはレフトでともに打球を追いかけた。最初はかなり離れて守っていたふたりだが、最後には会話もした。シートノックもふたりでレフトについた。

年の差15で生涯安打数差は1636本(日米通算)と8本と比べるべくもない。ただ、いずれどこかのタイミングでその立場が入れ替わることになることになる。それは大先輩が2000本をクリアする頃なのか、それとも1、2年後か、もっと早いのか?

「ポスト龍馬」は新井カープ喫緊の課題だが、今のところその一番手は3月6日・7日の侍ジャパン日本vs欧州代表「最年少メンバー」の田村俊介。その立ち振る舞いを秋山翔吾は心の中ではどう感じ、どう評価しているのだろうか…
 
この日のスタメン野手9人では小園のほか、一番久保修と九番中村健人もフル出場した。

もしかしたら小園以上の内容の濃いキャンプを過ごしたかもしれない中村健人は左前打、空振り三振、ニゴロのあとの九回の第4打席で鈴木祥天の150キロを捉えてレフトオーバーの適時二塁打。さらにそれまでショート内野安打、一飛、5・4・3併殺打だった久保修も真っ直ぐをレフト前タイムリー。この連打の時もまたスタンドの歓声が大きくなった。

スタメンと交代選手

センター久保修
セカンド菊池→3回裏から矢野
ショート小園
ファースト ジェイク・シャイナー→3回裏から林
レフト秋山→4回裏から田村俊介
サード マット・レイノルズ→4回裏から二俣
DH堂林→六回に田中広輔が代打、以後DH
キャッチャー坂倉→7回裏から石原貴規
ライト中村健人

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