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桂文華 井戸の茶碗

昨日は仕事が休みであった。とはいえ、午前中は自宅で事務仕事をしていた。午後からは松原市の公共施設で桂文華師匠が出演した寄席を観に行きました。

平日の午後2時開演であった。普段なら観に行けない時間帯も休みだったので、「あ、観に行けるやん」と前日の夜に気がついた。

当日、松原市へ向かい会場に到着すると、ちょうど文華師匠が表に出てこられて、挨拶をした。平日の午後開演のため、お客さんは少なめとのことで、しっとりしたネタをやろうかと思っているとの旨を言われていた。

会場に入ると、たしかにお客さんは少なく、近所のおっちゃん、おばちゃん連中らしき人達が席についていた。

寄席が開演となり、若手の噺家さんから売り出し中の講談家やベテランの噺家と多彩なネタが披露され、徐々に開場が温まっていった。

文華師匠の出番はトリ。出囃子音源はCDだった。文華師匠の出囃子「千金丹」が鳴らず、一番太鼓が鳴った。CDの順番を間違えたようだった。「今から開演かい!」と心の中で突っ込んでいたら、文華師匠が会場に出てきて笑いでフォローをしていた。

仕切りなおして「千金丹」の出囃子から文華師匠が登場。掛け声をかけた。「まってました!」「たっぷり!」

演目は「井戸の茶碗」だった。この噺は何度聞いても新しい発見が得られる好きな演目です。発見が得られる理由もあって、それは、心に沁みいる内容の噺だからです。

また演者のもっている雰囲気や空気感、人生背景などがにじみ出たものが掛算となって余計に沁みこんでくるのです。

その演者が文華師匠なのでさらに沁みこむ。沁みこんだ力が発見をもたらしていくと僕はとらえています。

発見といっても、すぐに出てくるものではない。ただ沁みこみ続けているので、ふとしたことで、気づかされる状態となる。

井戸の茶碗は、人間関係やビジネスにおいて、自身に置き換えて考え、学びとなる要素が多いネタである。ビジネス勉強会をやりたいと思うくらい、好事例となるネタなんです。

噺に入り込み、眼に滲むものを感じながら終演した。「ええ噺、聴いたな~」と何回も聴いているにも関わらず、今回も同じセリフを口ずさみ会場を後にした。


もし刺さる根多でしたら、木戸銭歓迎です。寄席代にして、さらなる刺さる根多を仕入れてきます。