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入り込んで泣きそうになる

落語では人情噺というジャンルがある。落語は笑かせるばかりではない。泣かせる噺もある。

聴き手が泣いてしまうのは良いのだが、話し手も泣いてしまいそうになる。確かに聴く側でも泣きそうになるのに、話す側だと聴く側以上に感情移入してしまい、泣きそうになってしまう。

ぼくも「ラーメン屋」という人情噺をしたことがある。ジーンときて涙をさそう場面がある。噺に入り込んでしまうとその場面で涙がにじみ、泣いてしまいそうになる。ラーメン屋という噺は、笑いも多めのネタだったこともあり、演じていてハマり過ぎずになんとか演じられた。

それでも、稽古中はジーンと胸に来るものを感じていた。稽古中はともかく、本番では自分が感動に浸っていてはいけない。あくまでも聴き手のお客さんがどのように感情を動かされるのかが大切なのである。

人情噺はむつかしい。演者の人生経験が薄いと、お客さんの心が動かされることはない。ラーメン屋は泣き笑いする滑稽な人情噺。だから演ってみたいと思った。

当面、人情噺することはないような気がする。人情噺はむつかしい。

もし刺さる根多でしたら、木戸銭歓迎です。寄席代にして、さらなる刺さる根多を仕入れてきます。