ジャズと私(8)19の頃に聴いたマイルス
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「ジャズ」を題材にした記事なのに、ここまではどちらかというと、ジャズの王道から外れたものばかり紹介してきました。
しかし、これが当時の私の音楽の守備範囲だったんですよね。
ジャズというのは、どちらかというと、自分の好きな音楽の「お隣のジャンル」という感じでした。
ここでようやく、ジャズの王道が出てきます。
マイルス・デイヴィスです。
マイルスをはじめて聴いたのは、いつだったのか、正確には思い出せないんですが、はじめて CD を買ったのは19~20歳の頃だった気がします。
どこで知ったんでしょうね……。
有名な人なので、とにかくいろんなところで見かける名前でした。
その時にセットで出てくるのが『Kind of Blue』('59)というアルバムだったんですよね。
私がはじめて買ったマイルスのアルバムもこれです。
何がきっかけで買ったのか、それもはっきりとは思い出せません。
今みたいにネットになんでも転がっている時代とは違うので、CD を買うまで、この音源をまったく聴いたことがなかったんですよね。
ジャズに関して思い出せるのは、私が社会人1年目の頃、もう少しで丸1年経つくらいの頃だったと思うんですが、会社で一人の先輩と親しくなりました。
その先輩は私よりも10歳くらい上なんですが、とにかく音楽や映画のことをたくさん知っていて、私は未だにこの人ほど、そういう話ができる人に会ったことがないくらいです。
今でも親しくしている先輩と、はじめてガッチリ話した時に、やっぱり音楽の話になったんですよね。
その時にジャズの話も出てきた記憶があるんですね。
マイルスの話も出てきた気がします。当時の私はマイルスのことを知らなかったかもしれません。
それと一緒に、今の私がハマっているようなパット・メセニーやキース・ジャレットの話も出てきた気がします。
その時は、パット・メセニーやキース・ジャレットは覚えられなかったと思うんですが、ことあるごとに先輩の口からそれらのアーティストの名前が出てくるので、自然に覚えていったのでしょう
実際に聴くようになるまでには、10年以上の年数が経っていたんですけどね。
でも、マイルスだけは、なぜか一発で覚えたようで……やはり、他にもどこかでマイルスの名前を見ていたのかもしれません。
はっきりと覚えているのは、デトロイトテクノを代表するアーティスト、デリック・メイのベスト盤を買ったら、そのライナーノーツにも『Kind of Blue』の名前が出ていたんです。
そのライナーノーツを読んだ頃は、まだ『Kind of Blue』を聴いたことがありませんでした。
たしか、このアルバムを買ったのは、まだ18くらいだったと思うので、やはり、実際に『Kind of Blue』を聴いたのは19歳の頃だったんじゃないかという気がしますね。
とにかく、そのライナーノーツでも名前を見かけて「ここにも名前が出てきている。よっぽどな名盤なんだな」と思った記憶があるんです。
実際に聴いてみた『Kind of Blue』は、もちろん、最初から「いい!」とは思ったんですが、当時の私がハマっていた音楽に比べて地味な感じもしたんですね。
なんせ、その頃の私はダンスミュージックが大好きで、もっと激しい音楽が好きでしたから。
好きは好きだったんですが、若干、背伸びをして聴いているような感覚もありましたね。
『Kind of Blue』が本当に好きになったのは、もっと歳を重ねてからのことで、20代の時よりも30代の頃の方が好きになっていましたし、30代の頃よりも今の自分の方が馴染むような感じもあります。
とはいえ、あの時代に背伸びをして、本格派のジャズに手を出したのは、すごく意味のあることだったと思います。
背伸びをしながら『Kind of Blue』を聴きつつも、徐々に私の中でジャズを聴ける耳が育っていったんですよね。
(続く)
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