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テレビレビュー『VIVANT』(2023)豪華キャスト集結!日曜劇場アベンジャーズ


豪華キャスト集結!
日曜劇場アベンジャーズ

あまりにもヒットした作品なので、
今さら取り上げるのも
少し抵抗があるのですが、
自分なりの感想を残しておきます。

『VIVANT(ヴィヴァン)』は、
『半沢直樹』などの演出で知られる
福澤克雄監督が
はじめて原作から手掛けた作品です。

堺雅人、阿部寛、役所広司など、
キャストがこれまでに
監督が手掛けてきた作品に
出演した主演級の俳優ばかりで、

「日曜劇場アベンジャーズ」
と呼ぶ人もいました。
(特番の街頭アンケートにて)

そして、2か月半におよぶ
モンゴルでのロケによって、
CG ではない実写の壮大さも
加わっています。

放送がはじまるまで、
役柄(一部のキャストも含む)や
物語については一切明かされず、

否が応でも期待が高まる
スタートを切ったのです。

これがヒットしないわけはない、
とは思っていましたが、

ここまでの話題作になるとは
思っていなかったので、
正直、驚きましたね。

監督は番組がはじまる前の
インタビューでも、

「この作品は海外でも公開したい」
と発言しており、
壮大なスケールの物語となっています。

誤送金の回収に行ったはずが……

主人公・乃木憂助(堺雅人)は、
丸菱商事のエネルギー開発事業部の
課長でした。

同社ではバルカ共和国(※)にて、
エネルギープラント事業を
進めていましたが、

ある時、現地の企業に
1億ドルが誤送金されてしまいました。

(※バルカ共和国:
 架空の国。中央アジアに位置する)

乃木は誤送金の責任を問われ、
差額の9千万ドルの回収のために、
現地へと飛び立ちます。

ところが、この誤送金は
誰かが仕組んだものであり、
当然、現地の企業も
そのお金を易々とは返してくれません。

しかも、乃木は調べていく内に、
このお金がテロリスト集団に
流れていることを知り、

回収のために奔走しますが、
今度はテロリストの自爆テロに
巻き込まれてしまいます。

それを救出するのが、
警察公安部の野崎守(阿部寛)でした。

命は助かったものの、
今度は爆破事件の容疑者として、
乃木は現地の警察に
追われる身となってしまいます。

平和な日本でもテロリズムが
リアルに感じられる時代になった

全10話で、普通のドラマと
同じ長さの物語ですが、
非常に内容が濃く、

とても、この短い記事では、
その全容をお伝えすることが
できません。

本作のおもしろいところは、
展開が速く、その展開のしかたも
予測不能なところにあります。

ここに紹介したのは、
1話の前半部分ですが、
最終話に行きつくまでに
このあと物語は急展開の連続です。

ですから、最終話を観ると、
「最後にこんな話が待っていたとは」
と思ってしまうくらい、

どんどんスケールが
大きい話になっていくんですね。

昔は日本のテレビドラマで、
このような大規模なスケールの
ストーリーを描くと、
違和感があったものです。

なぜ本作が、
そのような違和感を抱かせずに
多くの視聴者に
支持されたのかといえば、

やはり、それだけ、
日本のドラマの演出力が
上がったということでしょう。

昔に比べると日本の映像作品は
映像・演出の両面で、
スケールに見合った表現が
できるようになったのです。

また、現在の世界情勢が
非常に不安定に
なっていることもあり、

平和な日本でも、
このようなテロが関わる作品に

リアリティーが
感じられるようになった
という時代の変化も大きいですね。

この時代の変化に関しては、
決して喜ばしいことではないですが、
エンタメを楽しむうえでは、
案外、プラスに働いている気がします。

再来年と、ずいぶん先になりますが、
続編の制作も決定しているようで、
そちらの方にも期待が高まります。


【作品情報】
2023年7月~9月放送(全10話)
原作:福澤克雄
脚本:八津弘幸
   李正美
   宮本勇人
   山本奈奈
演出:福澤克雄
   宮崎陽平
   加藤亜季子
出演:堺雅人
   阿部寛
   二階堂ふみ
放送局:TBS
配信:TVer、U-NEXT(Paravi)

【福澤克雄の演出作品】


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