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“パフォーマー×生姜農家”として日高村へ。誰かにとって、時間を忘れ夢中になれる“何か”を見つけるきっかけに。

奥澤秀人/Hideto Okuzawa


2005年日本人初、カナダのサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」日本国内オーディションを受け本社でのトレーニングプログラムを経て入団。14年間鉄棒のスペシャリストとして世界各国をツアーし、計4000回以上のステージに立ち延べ800万人以上の人々に感動を与えて周った。日本での公演は2009年ダイハツ コルテオ、2016年ダイハツ トーテムに参加している。2020年世界的パンデミックとなり帰国後元Kバレエカンパニー プリンシパルの白石あゆ美と組みエアリアルと身体表現のコラボレーションアクトを発表、他にもシルホイールを 使った演目も行う。未来ある若者や子供たちに夢や希望を持ってもらいたいと思い、自分の失敗体験や怪我の経験を元にした講演活動も行っている。

2022年11月日高村のアーティスト・イン・レジデンス(注)に浅沼圭さんと共に参加。壬生農園にて2週間“パフォーマー×生姜農家”として活動した。

(注)アーティスト・イン・レジデンスとは
アーティスト・イン・レジデンス(Artuist in Residence、以下、AIR)とは、国内外からアーティストを一定期間招へいして、滞在中の活動を支援する事業をいう。日本においては1990年代前半からAIRへの関心が高まり、主に地方自治体が担い手となって取り組むケースが増えてきている。


Q:日高村に来たきっかけは何ですか?
A:圭ちゃん(浅沼圭)に誘われ、ノリです!!(笑)

ダンサー兼振付師の圭(浅沼圭)ちゃんから、突然「2週間空いてるところ教えて〜」と連絡が来て、「11月なら空いてるよ」と返したら「日高村のAIRに一緒に行かない?」と誘われました。

よく状況は分かってなかったけど、とりあえず圭ちゃんにダンスを教えてもらって、何か面白いことができそう!ということだけは分かったので、一緒に日高村に来ちゃいました(笑)

浅沼圭さんの記事はこちらから>


Q:生姜の収穫を実際に体験してみていかがでしたか?
A:1年間で一番大変な時期だからこそ、お祭り感が楽しかったです。

壬生農園さんでは1年間出荷する分の約“80t”の生姜を、1、2ヶ月で一気に収穫するので、1年間で一番ハードな時期みたいです。何個も畑を持っているので、1つの畑で「やっと終わった〜!」ってなっても、すぐに「はい!次ここの畑!」って感じで、どんどん収穫していきます(笑)


生姜を引っこ抜く人、それを並べていく人、茎を切ってコンテナに詰める人それぞれ役割分担をして行います。ずっと同じ姿勢で作業をしていると、しんどくなるので常にポジション変えて、ストレッチしながらしていました。圭ちゃんなんて、畑で逆立ちしたり、ダンスしたりしてましたからね(笑)


壬生さんたちも収穫時期は大変なことが分かっているからこそ、士気を高め

ていて年に一度のお祭り感があり楽しかったです。大変ではありましたが、収穫を楽しんでいるのが伝わってきて、この時期に来れてよかったです!

Q:シルクドソレイユのパフォーマーになられた経緯を教えてください。
A:オリンピック選手になれず、消防士の試験も全滅で、絶望していた時に、大学の先輩がオーディションを教えてくれたんです。

日本体育大学の体操部でも、大学卒業後の社会人チームでもオリンピックを目指していましたが、なかなか叶わず。
24歳の頃にさすがに働こうと、体力には自信があったので消防士の試験を受けましたが、まさかの全滅で…。
絶望していた時に、大学の先輩が「シルク・ドゥ・ソレイユ」のオーディションを教えてくれたんです。とりあえずという気持ちで先輩と一緒に受けてみたら、まさかの合格でした。

一口にシルク・ドゥ・ソレイユのオーディションに“受かった”と言っても、実は3段階あるんです。シルク・ドゥ・ソレイユのアーティストとして登録される段階、3ヶ月間トレーニングの参加資格がもらえる段階、ショー出演資格がもらえる段階。

その時の"受かった”は、"3ヶ月トレーニングの参加資格をもらった”段階でした。トレーニングを受けたからと言って、ショーへの出演が確約されている訳ではなく、3ヶ月後のことは何も保証されていない、結構シビアな状況でした。

でもトレーニング期間は、ただただ楽しかったです。夢中になってたら、時間の概念がなくなる瞬間ってあるじゃないですか?
「あれ、気がついたら日が暮れてた!」みたいな。それを毎日繰り返していましたね(笑)

結果的に3ヶ月のトレーニングを2回受けて、あれよあれよという間にシルク・ドゥ・ソレイユの正式メンバーとしての契約をもらえていたんです。

最初は3ヶ月のつもりで海外に渡ったのですが、夢中になってたら、それが6ヶ月になり、1年になり、14年になっていたって感じです(笑)


Q:現在群馬を拠点に活動をされているとのことですが、どのような活動をされていますか?
A:コロナのパンデミックが、解雇・帰国の理由。チャンスだと思って、世界で活躍してたパフォーマーを集めて公演に挑戦。

海外で活動をしていて日本に帰っくる人は、だいたい日本でやりたいことがあるからとか、海外でやりたいことを終えたからって人が多い中、僕の場合は突然「とりあえずパンデミックだから帰ってください」って言われたんです。日本での活動実績は全くない。今後のプランもない。何か準備をして帰ってきた訳でもなかった。

周りからは「シルク・ドゥ・ソレイユだからなんでもできるでしょ」って言われるんですけど、何にもできないんですよ。

だって、今まで"サラリーマン”だったから。用意してもらった舞台で、すごいパフォーマンスができてたけど、逆に言うと用意してもらわなきゃ何にもできない。


ほぼほぼ丸裸で放り出されたみたいな感覚で、日本に帰ってきて1年目は何も活動できませんでした。

でもこの状況ってある意味チャンスだと思ったんです。
だって、世界中でパンデミックが起こったことで、世界の大一線で活躍していた日本人が一斉に帰国しているんですよ。普段、世界中に散らばっている人たちが日本に集合している。こんな絶好のチャンスは他にないです。

状況は変えられないけど、捉え方は自分次第、2秒あれば変えられます。
それに気がついてから、海外で活動していたパフォーマーを集め始めました。


2022年12月にはその仲間たちと公演(HIDETO OKUZAWA presents−TSUKAI messenger from LUNA−)を行う予定です。パンデミックがなかったら、きっと出会うこともなかった仲間たちと、こうやって日本で公演ができるというのは、今だからできること。わくわくしますね。


奥澤さんの活動について詳しくはこちら>

Q:世界で活躍されていた奥澤さんが「伝えていきたいこと」はなんですか?
A:自分が夢中になれることを見つけてほしい。“ただ楽しい”を見つけられたら1番強い。

シルク・ドゥ・ソレイユの6ヶ月のトレーニング期間、私は頑張ってないんです。
結果的に周りから見れば、すごく頑張っているように写っていたかもしれないけど、私は“ただ楽しい”から、夢中になってやっていただけ。


例えばゲームをクリアするために何度もチャレンジするのって、努力だと思ってやってないじゃないですか。"ただ楽しい”から、それと一緒。

私の場合、日々今に夢中になって全力で楽しんでいたら、結果が生まれました。きっと夢中になれることだったから、大変だと思うようなことも乗り越えられたんだと思います。

今の時代は、ゲームだって仕事になりうる時代ですから、本当に何でもいい。時間を忘れて一晩中できる、その領域にいけるような“何か”を子どもにも、大人にも見つけてほしいです。

Q:今後、日高村とどのように関わっていきたいですか?
A:人生の選択肢は多い方がいい。だから、いろんな生き方をしてる人を知る、きっかけを作りたい。

私の地元の群馬や、今回の日高村で公演した時にも思ったのですが、地方に行くと私みたいなパフォーマンスを見たことない人も、こういう仕事をしている人がいることすら知らない人が多いんです。

さっきお話ししましたが、夢中になれることを見つけて欲しい。だからなるべく選択肢は多い方がいいと思うんですよね。知らないということは、選択肢にすら入らないんです。なんなら、選択肢がないってこと自体にも、気がついてない人も多いかもしれません。

広い世界に目を向ければ、いろんな生き方をしている人がいっぱいいる。それを知るきっかけを作れたらいいなと思います。私や仲間のパフォーマーと一緒に日高村に来て、村民の皆さんと交流ができたり、公演ができたらいいなと思います。


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