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ティーンが駆ける不安と無敵  Arctic Monkeys/Whatever People Say I Am, That's What I'm Not クラシックアルバムレビュー

 はじめまして。暇を持て余している大学生、遠藤生です。まず、沢山ある記事の中からこの記事に興味を持ちクリックしてくれてありがとうございます。


 前回のブログでは2021年マイベストアルバムを紹介したのですが、今回は過去作のアルバムをレビューをしていきたいと思います。題して、クラシックアルバムレビューの第一弾はアークティック・モンキーズのWhatever People say I am, That's what I'm notです。


 まず、さらっとアークティック・モンキーズがどんなバンドなのか紹介したいと思います。イギリス、シェフィールド出身の四人組バンドです。メンバーはヴォーカル・ギター、アレックス・ターナー。ギターのジェイミー・クック。ドラムのマット・ヘルダース。ベースのニック・オマリーです。2001年のクリスマスにアレックス・ターナーとジェイミー・クックがギターを入手したと事から始まります。そして、2002年に二人が加わり、Bang Bangというバンド名で練習し始めますが、後にArctic Monkeysに変更されます。そして、このバンド名はギターのジェイミー・クックが名付けたそうです。


 2005年に匿名のファンによってデモ音源が公開されると、話題になりいきなりインディーズレーベルのドミノレコードと契約することになります。そこから、勢いに乗りに乗りまくって2006年に1stアルバムのWhatever People Say I am, That's What I'm Notをリリースします。リリースされた時のバンドメンバーは20歳と19歳が二人ずつでした。バンドが結成されてからたったの四年でレーベルと契約し、五年で1stアルバムをリリースしてしまいます。すでにここから駆け抜けているスピード感が違います。その疾走感が今回紹介するアルバムから全身に感じられると思います。


 まず、このアルバムの特徴としてはアルバム名が長くて覚えるのが大変ということです。そしてまた面白いことに、曲名も長いものが多いです。しかし、そこから感じ取れることとしてはアイデンティティが確立しておらず不安定なティーンだからこそ、たくさんの感情が溢れ出てきて、まだまだ言い足りない、メッセージを詰め込みたいという表れかもしれません。なので、情報量が多いからこそ、リスナーとしてはたくさんのメッセージをアーティストから汲み取る事ができ、自分たち自身で咀嚼する事ができると思います。


 まず、一曲目のThe View From The Afternoon、二曲目のI Bet You Look Good On The Dancefloorは、踊りたくなる、頭を振りたくなるというよりかはどちらかというと全速力で走りたくなる、そんな感じの二曲です。最初二曲で自分はこのアルバムに心を奪われてしまいました。しかし、曲調の全速力感とは裏腹に歌詞は、不安だったり、切なさを感じられます。


 I Bet You Look Good On The Dancefloorでは好きな女の子に振り回され続けている主人公です。そんな思わせぶりな態度して何も起こらないのは知ってるぜ、だから辞めてくれよ!と叫んで、その子の悪口とかも言ってるのですが、でもやっぱりダンスフロアで踊ってる姿はイケてるよ!とほんの少しの期待感を込めて言ってしまう。主人公は遊ばれて叶わない恋と知っており、諦めたいと思っているのですが、それでもやはりその子のことが好きということが痛切に表現されていて、なんとも切ないです。この二曲の歌詞で表現されている不安感や切なさを隠すために、あくまでそんな風に俺らは感じてないよと見栄を張るために曲調は激しく、疾走感があるのだと思います。


 三曲目のFake Tales Of San Franciscoの歌詞は、非常に怖いものなしで言いたい事を言いまくってます。

And all the weekend rock stars in the toilets
Practicing their lines


「週末に行われるライブに呼ばれるような人気のロックスター達はトイレで練習しているよ」なんて痛烈な皮肉を言ってしまう。これだけでは終わらない。まだまだ続きます。

And there's a few bored faces in the back
All wishing they weren't there
And as the microphone squeaks
A young girl's telephone beeps
Yeah she's dashing for the exit
Oh, she's running to the streets outside
"Oh you've saved me," she screams down the line
"The band were f*cking wank
And I'm not having a nice time"


ここを簡単に和訳すると、「とてもつまらないから、早く帰りたいと思っている人たちが後ろには何人もいる。ある女の子は電話が鳴って他の用事ができてとても喜んで走って会場を飛び出した。そしてその女の子が電話越しの人に感謝して、また叫んでこう言っていた。『クソみたいな自己満バンドが演奏してたんだ。本当に最悪な時間だった。』と。


ここからわかるように、言いたいこと言いまくっちゃってます。自分は周りのロックバンドに対しての痛烈なディスに受け取れました。しかし、ディスるだけディスって終わらないのが、この曲の素晴らしさです。


Is the proof that love's not only blind but deaf

source: https://www.lyricsondemand.com/a/arcticmonkeyslyrics/whateverpeoplesayiamthatswhatimnotalbumlyrics.html#faketalesofsanfranciscolyrics

「愛というのは盲目だけじゃなくて、耳も悪くしてしまうということを証明できるかい?」


 この一節にかなりのメッセージ性が含まれていると思います。ここの歌詞のメッセージは恋愛についても言っていますが、また何よりもその当時のロックのリスナーに対して言っています。恋愛についてだと、好きになればあんなつまんない男の話でも楽しく聞けるのか。俺の話の方がよっぽど面白いのに、聞いてくれない。そんな悲しさが含まれていると思います。


 そして、その当時のリスナーに対してのメッセージは、あんなクソみたいな曲たちをなんで聴いているんだ。ただ好きなバンドっていうだけだから音楽を聴くのか。バンドに対しての好意が、音楽の真正なカッコ良さを分からなくさせてる。というメッセージだと自分は取れました。


 歌詞を分析したらわかるように、この曲はとてもヒップホップです。曲調や歌い方などは決してそんなこともないですが、歌詞がヒップホップの要素を強めています。ほぼティーンの彼らが、怖気つく事なく堂々とロックの先輩達とリスナーに物申しています。ここから感じ取れるとしては本当に彼らは怖いもの無しで「無敵」という事です。


 自分があと個人的に好きな曲としては、九曲目のMardy Bumと、十一曲目のWhen The Sun Goes Downです。Mardy Bumは終始激しい曲調のこのアルバムの中では、非常に落ち着いた曲であります。そして歌詞は、上手くいかないカップルのことを歌っており、一曲目のThe view from the afternoonと二曲目のI bet you look good on the dancefloorと似たような事を歌っています。


 しかし、前の二曲の曲調は激しく歌詞は切ないという所がいいアクセントになっていて非常にアークティック・モンキーズらしいのですが、Mardy Bumはバラードの曲調で歌詞切ないなんて、王道中の王道で攻めてきています。ですが、この王道を攻めていることによって、アルバム全体に厚みが増していると思います。


 そして、アークティック・モンキーズの中で言わずと知れた名曲のWhen The Sun Goes Downです。この曲は個人的に、今回のアルバムのベストソングです。最初は落ち着いた感じで始まるのですが、徐々にテンポが上がっててきて、いつの間にか自分の身体を揺らして盛り上がってしまう、そんな感じの曲です。


 このアルバムは全体的に、パーティーやクラブでの出来事が歌詞になっています。そして、そのほとんどは上手くいなかいで失敗するという内容です。他のかっこいい男に自分が気になってた女の子取られたり、アプローチしても全く振り向いてくれない。そんなことがアルバム全体を通して歌われています。


 しかし、自分はこう言った歌詞を見ると、非常に共感を覚えてしまいます。だって、やっとクラブに入れる年齢になった20歳ギリギリの男の子に誰も振り向かないじゃないですか。もっとお金を持ってる年上のかっこいい男の人たちはいくらでもいます。そういう人たちにみんな飛びつくものなのです。正直こればっかりは時間が解決するというかどうしようもないことではあると思います。しかし、そんな事関係なくそれは自分たちにとっては悔しいことであります。そんな悔しさが歌詞に表現されていて同年代は非常に共感したと思います。そして、歳を重ねた人たちがこのアルバムを聴いたときに、上手くいかなかったなぁというのを思い出して懐かしむと思います。


 このアルバムは同年代には共感の嵐でありながら、歳を重ねた人たちにとっては回顧するものになっています。そう言った事もあり、この1stアルバムは大人気でありアークティック・モンキーズは火がついたのだと思います。




 ここまで長いレビューを読んでくれてありがとうございました。2回目の投稿ということで、まだまだ文が下手でツッコミどころ満載だと思いますが、この記事を読んで、このアルバムに興味関心を持って、聴いてくれたら嬉しい事この上ありません。それではまた次の記事でお会いしましょう。ありがとうございました。
















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