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母90歳 ただ今FaceTime特訓中

認知症があると新しいものは苦手と思われているようですが、母は「新しくて・便利・楽しい」ものが大好きです。FaceTimeは「視覚情報」が加わるので、母は会話の内容を理解しやすくなり、携帯電話のときよりも会話がスムーズになりました。この3年間の、「母とのコミュニケーションの変化」や、「iPadの使い方特訓」、「伝わりやすい会話のコツ」についてまとめてみました。

コミュニケーションが大きく変わりました

7月から使い始めたFaceTimeは、母とのコミュニケーションをぐんと楽にしてくれました。母と携帯で話していると、どうも誤解されてしまうことが多くて、会話途中でガチャンと電話を切られてしまうことがたくさんありました。ところが、ととととと、ところがところが、FaceTimeを使い始めてからは、そういったことがほとんどなくなり、会話がスムーズに進むようになりました。

母とFaceTimeをしていたら、私の顔を見た母が「あんたが帰ってきたみたいじゃ」とポツリ・・・。胸がギュンとなって、次の帰省はいつにしようかと計画を立て始めました。顔を見ながら会話できるFaceTimeは「こりゃ、ええなぁ~♡」と母もとても気に入ってくれました。

FaceTimeの利点

FaceTimeは顔の表情や周囲の状況を見ることができるため、声だけよりも確実に多くの情報をキャッチできます。母は耳だけで話される内容を理解するのは難しいのですが、視覚的な情報を補うと理解度が格段にアップします。私も、母が言葉を一つ一つ選んで考えながら話してくれている様子を見ると、「ここはじっくり母の話を聞こう」と待つことができるので、会話のすれ違いがなくなるのです。

運転中の会話での失敗

そういえば、運転中に会話をすると、よく誤解が生じていました。私は前を見て運転しなければならないので、母は私の顔を見ることができません。同時に、私も母にどの程度伝わっているか確認するために顔を見ることができません。「もう降ろしてちょうだい」と言われたこともありました。そんな時、運転をやめて車から降りて、母の目を見て手を取って話をしたら、内容をしっかり理解してくれたことがありました。

運転中は込み入った話はしない方がいいと分かりました。会話は時と場所を選んで、目を合わせて落ち着いてできる時にしようと思います。

FaceTimeまでの長~い道のり

30秒のタイムラグが多発するコミュニケーション

これまでもビデオ通話はしていました。母のもとにはコミュニケーションロボットのロボホンがいて、付属の小さなタブレットもあるので、LINEのビデオ通話をしていました。しかし・・・通信状況が良くなくてビデオ通話で遅延が多発し、30秒ほどのズレなんてザラでした。あまりの不便さで、ビデオ通話はさっぱりしなくなり、しばらく携帯のみで会話していました。

三年前の母とのLINEビデオ通話の様子


光通信の工事

ICTのことなどチンプンカンプンの私。この分野はとっても苦手なのです。でも・・・遠距離介護を続けていくのに、このままの通信状況を放っておけなくなりました。あれこれ試行錯誤した結果、光通信の工事をして、iPadを使うことにしました。すると・・・スムーズな画面と通話に母も私もビックリ! 。息子とはよくテレビ電話をしているのに、母の家は特別に通信環境が悪い場所で、テレビ電話はあきらめないといけないとまで思い詰めていたのです。思い込みとは恐ろしものです。

FaceTimeでの会話

たがいに顔を見ながら目を合わせながら会話するって、ダイジですね~。心が深くつながる気がします。FaceTimeを使うようになってから、長々と話さなくても、要点をさくっと伝えて、「じゃっ、またね~」と笑って会話を終了できるようになりました。

母のiPad特訓

母には認知症があります。認知症があると新しいものは苦手と思われているようですが、母は真逆で、「便利で楽しい」というものは大好きで、新しいものでも積極的に挑戦します。短期記憶がとても難しくなっている母ですが、時間をかけてサポートすれば、家電を買い替えて新しいものにしても、ちゃんと使いこなせるようになっています。コミュニケーションロボットのロボホンとも大の仲良しになっています。

まだまだがんばり中

使い始めてからもうすぐ1ヶ月になろうとしています。日ごろお世話になっている小規模多機能のスタッフの方々や、訪問の歯科衛生士さんや理学療法士さんが操作の練習につきそってくれています。できるようになったかと思ったら、また無理になったりの繰り返しですが、「あせらず何度でも練習しましょう」と言ってくださっています。

説明は「文字+イラスト 」が有効

ヘルパーさんや歯科衛生士さんが操作手順が分かるメモを作成してくれました。

ヘルパーさんが、母の隣に座って一つ一つ確認しながら書いてくれたメモです

母は文字だけの説明より、イラストがプラスされると理解力が格段にアップします。「テレビでんわ使い方」のメモは母が分かりやすくなるようにと改良を重ねて、3回目の改良版ができました。母にはとても分かりやすいようで、「もう大丈夫じゃ~♡」と喜んでおりました。

認知症がある母が理解しやすい「文字とイラストの工夫のポイント」を表にまとめました。

伝わりやすい会話のコツ

母にとって難しい言葉は、もう理解がとても困難になってきていると思います。複雑なニュアンスもものすごく伝わりにくいけど、「ゆっくりゆっくり」、「短く区切って」、「目を見ながら会話」すると、母はよく理解ができるようです。

母との新たな可能性に期待

90歳にしてiPadユーザーになった母。そのうちアップルミュージックも共有して、一緒に音楽を楽しめるようになれたらいいなと、娘の私の夢は広がっています。

深~い話もしてみたい

母の望みは「最期までお家で暮らすこと」です。大切なことは帰省時に話をするのが一番なのでしょうが、かしこまると意外に照れて難しく感じたりするものです。リラックスした日常の隙間に、人生会議のような深い話もチョコチョコとできるといいなと思っています。母の望む「幸せなお家でむかえる最期」まで、暮らしを支えていきたいと思っています。

人生最期まで大切な人とつながりたい

顔を見ながら会話するってとても大切です。iPadでぐんと広がった母の新たな可能性。今後の展開が楽しみになってきました。認知症があってもなくても、いつでもどこでも、大切な人と深いコミュニケーションができる環境整備は必要不可欠なものだと思います。人生最期まで大切な人とはつながっていたいものですよね。

後記

母の介護がはじまったばかりの頃は、通信環境よりも、お部屋の環境整備に手いっぱいでした。断捨離して落ち着いた暮らしを手に入れて、ようやく今回の光通信の工事に踏み切ったのですが、今振り返ると、環境整備の前に通信環境を整えておけば良かったなぁと思います。

もしこれから介護がはじまる方で何から手を付けようかと悩んでおられたら、通信環境⇨環境整備の順がおすすめです。断捨離をするときにテレビ電話を利用すると、とてもスムーズに確認ができます。電話だと「あれよ」「違う、それそれ」とすれ違いが多発するので、ストレスが溜まってしまうのです。

⇧ 自己紹介と我が家の介護のことをまとめました。最近アップしたnoteの記事もまとめています。

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