おもろい環境について

面白い環境で生きたい、というのは全ての人の願いではないでしょうか?少なくとも僕は、面白い環境で、面白いことがしたいと、ずっと思っています。これらは分かち難いものですが、このうち、おもろい場所って何かってことを考えてみたいと思います。

歴史が積もっていく環境って面白いという話

この話は、一言で言うと、歴史が積もる場所って面白くないですか、という話です。図書館で図書カードに人の名前が蓄積していくみたいな、会社、学校の部室、研究室の本棚に過去先輩の仕事の結果が並んでいるみたいな、そんな話です。懐古主義とは少し違います。その積もった何かが、今そこに所属する人の背中を押して、面白いことをするのを支えてくれるように感じます。まるで木と土の関係みたいだと思います(おまけ参照)。

人の作る社会にも、この歴史が積もっていく場とそうでない場があります。僕の仕事場は研究室ですが、本棚には先輩の研究結果が並んでいます。でもある日、積極的に歴史を残していく仕掛けを作ってもよいかもしれないと思い立ちました。研究室にいる僕たちは、毎週毎週、飽きもせず研究結果を持ち回りで発表し、それについて議論する、ということを繰り返していますが、それを記録として残したら...何年かしたらそれが溜まって、数冊のファイルとなって本棚に並ぶかもしれません。とりあえず今せっせと記録をとっています。

だから何?と思われるでしょうか。確かに、何年間か経ってから、なんか違うと思うかもしれませんね。無駄に歴史が積もってゴミ、ガラクタが溜まっていくのを嫌うひともいるでしょう。手持ちのものを捨てて、ものを少なくするべき、という考えかたがあるのを僕は知っています。その考えを勉強したわけではないのですが、おそらくそれはものを捨てるのが重要なのではなく、残っていくものを大切にする、というところに味噌があるのではないでしょうか?歴史を貯めるとは、厳選したものをめちゃくちゃに大事にすることかもしれませんね。

そう考えると、歴史が積もっていく、ということの味噌は、ただ物を残すだけでは不十分かもしれません。研究室の至上命題は、面白い研究をすることなので、その文化に繋がるような仕掛けができたら、いいかもしれません。例えば、過去の人がどういう風に面白いことを追求してきたのかが伝わる、みたいな感じです。とりあえず、何か初めてみます。

おまけ:森と土

森が成長する環境と面白い環境というのは、とても似ている、という話をおまけですが、します。

めちゃくちゃ寒い、とか、めちゃくちゃ乾いている、などの極端な状況でない限り、陸上の全ての場所は、時間が立つとやがて森になります。つまり森はあらゆる陸上の生態系の中で王者といってもいいかもしれません。多くの漫画やドラマで、文明が滅んだ後、打ち捨てられた廃墟が、大きな木や森で覆われているのは何故かと疑問に思ったことはありますか?それは「森」が(陸上の)生態系の到達点だからです。人が生活し、木を切って家を立てたりしない限り、植物はコンクリートの合間から茂って、東京も1000年もすれば森に覆われるでしょう。

ただ、森が育つには条件があり、それが満たされない場合、(多分)1000年程度では足りないくらい、森の発達には途方もない時間がかかる可能性があります。それは「土」が溜まっていく、ということです。土は、樹木などの生き物の死骸が降り積もって、きのこなど微生物がそれを食べたりする過程で生成される、黒かったり茶色かったりする、あれです。樹木は死んだのち、干からびたナメクジみたいに小さくなって、その残りが少しづつ土地に溜まっていきます。つまり、私たちが目にする大きな森の地下には、その何百倍、何千倍の生物が生活した歴史が眠っているのです。今度森を見たら...例えばその森が木の高さ15m くらいの森だとしたら...その下にその千倍 (15000m)の樹木が埋まっていることを想像してみてください。

この土は水と栄養を溜め込み、次の世代の木を支えています。しかし、まずい農業や林業を繰り返し、長年土地を雨ざらしにしてしまうと、この土が流れ出てしまいます。そうすると、

→土がないので次世代の木が育ちにくい
→木によって土地が守られないの雨が土地を激しくうつ
→土が流れでてしまう

という悪循環に陥ります。結果として、そこは長年荒地のままになります。負の連鎖をたつためには、植林し土が流れないよう、いろんな仕掛けをうつ必要あります。

こんな風に、過去の生物や出来事の情報が溜まっていくことは、実は生物とその社会の根本的な特徴ではないか、と思うのです。それぞれの生き物はDNAという物質で、森は土の中に、過去の歴史を蓄積して、それらが”今”を決めています。DNAや土に当たるようなものが人の社会にもあってそれを蓄積していけたら面白いのに、というのが上の話です。蓄積する過程が失われたところでは、生き物は繁栄できないのかもしれませんね。いつか、もう少し整理して書いてみようと思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?