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自然写真家・ヤマセミ・カワセミの水中撮影・・餌付けについて(その1)

ヤマセミ・カワセミの水中捕食撮影

ヤマセミの捕食
カワセミの捕食

上の2点は、僕が20代後半にフィルムカメラで撮影した写真です。
水中捕食を 撮影すると決めたとき、考えられる方法が2つあると思います。ひとつは、カメラを水に沈める方法、もう一つは鳥たちに、水槽に飛び込んでもらう方法です。
僕は、水中で魚を捕らえる瞬間を、自分の目で見たかったので、水槽の方法を選びました。
それでは、水槽に飛び込んでもらうには、どうしたらよいかを考えます。
まず、鳥たちが普段餌場にしている場所の浅瀬に池を作ります。
そこに、その川にいる魚を採集して、入れておきます。
その池のそばに、池の魚が見えやすいように、止まり木を置いておけば
やがて、鳥たちは池の存在に気づき、その池から魚を捕るようになります。
鳥たちがすっかり池に慣れて、何の警戒心もなく、そこから魚を捕るようになった時点で、その池を埋めて、そこに水槽を置くという方法をとりました。

魚捕りと魚釣りの毎日

池に魚を入れると、簡単に書きましたが、魚は大量に必要です。カワセミは50分間隔くらいに、餌場にきて3~4匹のカワムツを食べます。
ヤマセミは、主に早朝と夕方近くに餌場に来るだけですが、そこそこ大きなカワムツが1日に5~6匹は必要です。
午前中に撮影すると、午後はひたすら魚捕り、魚釣りです。
カワムツは、新鮮な流れがないと死んでしまいます。そこで、灯油を入れるポリタンクにハンダゴテでたくさんの穴を開け、大型のびくとして使用しました。
そのびくに採集したカワムツを入れ、川に沈めておくのです。そうすることでカワムツは死んでしまうことはなく、早朝にそのびくから池に魚を放流するということを、繰り返しました。

水槽づくり

カワセミの水中撮影は、市販の60cm水槽で撮影しましたが、問題はヤマセミ撮影のための水槽でした。
体の大きなヤマセミが飛び込めるような水槽は、作るしかないと判断し、ホームセンターで合板とアクリルを購入し、ボンドやシリコンゴムを利用し、畳半畳ほどの水槽を作成しました。
作成はしたものの、自宅から川まで水槽を運ぶことや、実際に川で水を入れたときに、水圧に耐えられるものかと課題や不安がありましたが、なんとか撮影することができました。

餌付けについて

水中撮影には餌付けが必要でした。餌付けに関してはタブー視されていて、野生動物などを扱うテレビ番組などでも、「餌付けして撮影しました」とか「舞台づくりをしています」とか堂々と発表することはありませんが、すべて自然のままに撮影することは難しく、どこかでその被写体が撮影しやすい「箱庭的なもの」を使ってみたり「水槽」を使ったりして撮影せざるをえません。
生態を細部まで撮影するということは、「自然をどこかで不自然」にしなければ、核になる部分が見せられないことになり、ジレンマとの戦いになります。

餌付けについての僕の考え方は(その2)でお話しさせていただきます


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