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初心者の読書感想文チャレンジ14 ことり

こんにちは。
生きる狂犬です。

「初心者の読書感想文チャレンジ」として14冊目に選んだのは、小川洋子のことりです。
2012年に発表された作品です。


本屋でたまたま平積みしてあったため、手に取りました。

今回も素晴らしい読書体験になりました❗️

なお、ネタバレしております‼️

文庫本表紙

■あらすじ

小鳥のさえずりを理解し、自分だけの言語を話すお兄さんと、お兄さんをサポートし、一緒に暮らす弟の物語。
いつしか弟は、幼稚園の鳥小屋の掃除を始め、小鳥の小父さんと、呼ばれるようになる。

■ほのぼのしていない

読了後の感想は、「うーん、微妙」だった。

なんというか、微妙なのだ。


この作品は、鳥好きの兄弟のほのぼのとした心温まる作品では無い。
裏切られた感じである。

珍しいタイプの人間の、生き様を淡々と描いた作品である。
だから、物語としての面白味には欠けるが、味がある。

■作品のテーマ

外の世界にある音ではなく、自分の中にある音を聞こうとしている者がこんなにも賢く見えることに驚きつつ、そっと彼を見守った。

p274

これが、この作品のテーマだと思う。

自分の心の中にある声を汲み取って、それを表に出し、行動する。

そのことの、難易度の高さ!

と、同時に、それがいかに大事な事かということを描いている。

■お兄さんが凄い

いつの間にかお兄さん自身が、疲れ果てた渡り鳥そのものであるかのような気持ちになってきた。お兄さんの編み出した言葉は、渡り鳥の航路と同じだった。

p134

お兄さんが面白い。

自分で創り出した独自の言葉を話す。
「そんな奴、いるかよ」と、ツッコミたくなるが、広い世の中には、もしかしたら存在するかもしれない。

上記の通り、お兄さん自体が鳥のようなのだ。
人間とは違う。
鳥のようだ。
自分の内なる声に従って、ただ生きる、のみ。
ひたすら、飛び続けている。

■最終盤が衝撃

お兄さんが亡くなってから、弟である小鳥の小父さんには、数々の試練が待っている。


物語の最終盤、小鳥の小父さんは、メジロ達を逃す行動を取る。
そして、自分も逃げる。

これには、驚かされた!
「小父さん、それはやっちゃダメだよ」と焦った。

この行動が、作品のテーマに直結しているのだろう。


小父さんは、自分の生き方を貫いたのだ。
それが、良いか、悪いかの問題では無く、小父さんはそういう風にしか生きられないのだ。
小父さんは、決して聖人では無い。悪い事もする。

でもそれは、自分の心の中の声に従ったものである。


小父さんは、お兄さんと違って、とても迷う。苦しむ。
だが、最終的に自分の小屋(家)を守り、自分の生活を堅持して、生き切った!

■シンパシーを感じる

変わり者、アウトサイダーの話なのだと思う。

私自身もアウトサイダーなので、この兄弟に少なからずシンパシーを感じる。

人間として生きていくのには、困難を抱え込む人生。

なおかつ、自分では、それをなかなか意識出来ない。
意識出来ない程に、想いが強い人達。

まさに、生粋のアウトサイダーだ。


アウトサイダーは生きづらい。
生きづらいけれども、生きるしかない。

これは、鳥でも人間でも一緒かもしれない。


この作品は、淡々としている。
しかし、気持ち悪さや、孤独感、喜びが共存している。

生きていくというのは、こういうゴチャ混ぜ感が満載なものだ。

作品は、それをそのまま描き切っている。

それが、心に引っ掛かるのだ。

■おわりに

人間には生まれ持った何か使命があるのではないかと、考えさせられました❗️

私は、自分の心の声をを十分に汲み取っているだろうか⁉️
足りない気がします💦

5段階評価で
●読みやすさ  ★★★★
●熱中度    ★★★
●鳥が好き度  ★★★★★




以上です❗️

読書は熱いですね。
予想外の展開が、楽し過ぎる🔥

ここまで読んでいただき、ありがとうございました‼️

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