ビザから見るアメリカ就職
アメリカで就職しようとすると立ちはだかるのがビザの壁。いくら自由の国と言えどもビザが無いと働けません。今回はアメリカで就職しようとする方が避けて通れないビザについてのお話です。
初めて感じたビザの壁
7年前、妻の留学に帯同しNYに住んでいた時のこと。当時在籍していたドコモでの経歴は海外でも通用するのかしらと、ふと思いました。当時は育休中であり復職する気満々だったので、自分の現在地を知り復職後のモチベーションとしたかったのです。他の方のLinkedInを参考にレジュメを作成し、NYやサンフランシスコ(暖かいエリアに憧れて、、)に応募しました。幸いにも幾つかの企業から返信があり、インタビューに進めることになりました。インタビューの希望日を2, 3候補挙げ、さらにF2ビザを保持していること、また就職に際してビザサポートが必要なことを添えて返信しました。すると、、、返事が来なくなりました。もちろん、他に有力な候補者が現れたのかも知れませんし、ビザサポートしてまで欲しいと思ってもらえなかったのかもしれません。いずれにしてもビザサポートの話をした途端に返信が来なくなる事が何度かあり、この時初めてアメリカ就職におけるビザの壁を感じました。
ビザの種類
アメリカでどんな仕事をするかによってビザには幾つかの種類があります。私の周りのかなり限定された範囲ではありますが会社勤めの方で多いのはL, H1-B, Eビザ辺りでしょうか。いずれもアメリカでの勤務先がスポンサーになる必要があるビザです。私の場合はLビザで渡米しました。これは企業内転勤ビザと呼ばれるもので、日本では日本本社からアメリカ支社に駐在員を送る際によく使われるため、駐在員ビザと呼ばれたりもするそうです。私の場合は駐在員では無いのですが、日本支社からアメリカ本社にその名の通り企業内転勤のためLビザが適当でした。Lビザには下記のような要件があり、職種で言うとビジネス系の方が多い印象です。
・米国内の親会社、支社、系列会社、子会社等関連企業へ一時的に転勤する多国籍企業の従業員
・管理職または役員である、もしくは専門知識を持つもの
・ビザを申請する直前の3年以内に最低1年以上、米国外で経営管理者・管理職または特殊技能職として勤務した社員
私の場合、アメリカに本社のある会社の日本法人で5年勤務していたので、この要件でLビザが取れました。ちなみに、日本から渡米する場合、アメリカ&アメリカ外にオフィスのある企業で1年以上働き、Lビザで渡米する方法が最も早く確実にアメリカでの就労ビザを取得する方法では無いかと個人的には思います。
エンジニアの方ですとこれとは異なる要件のH1-Bで渡米される方が多いかと思います。ただ、H1-Bは年に1回の抽選があるため、当選するまで年単位で待たなければならないこともあるようです。この辺り、渡米に際しビザ&職種の組み合わせを考えておくことはアメリカで就職するには重要なことかと思います。
ちなみに、H1-Bのスポンサーにはどんな企業があるか、また各社の申請件数はこちらで公表されています。申請している人の平均給与(あまり低いとビザが出ない)や職種毎でも見ることができ、どんな職種・給与帯でH1-Bが発給されているかが分かります。
スポンサー別:IT企業多し
職種別:ソフトウェア開発者多し
これらを見ると、主にIT企業がソフトウェア開発者をアメリカに呼ぶためにH1-Bが使われていることが分かります。
また、ビザとは異なりますがグリーンカードについても同様の情報が公開されています。今度は国別の申請数もあります。
何ビザからの切り替えか:
H1-B多し、次いでF1、そしてL1
国別申請数:
インド年間7万人&中国年間1万人の2強
日本は年間500人程で24位
申請数最多・インド国籍の方の申請をスポンサーしている企業:GAFAM
申請数2番目・中国国籍の方の申請をスポンサーしている企業:GAFAM
これらを見ると、H1-Bからの切り替えが最も多く、インド・中国からの申請者がGAFAMなどIT企業をスポンサーに申請していることが分かります。
グリーンカードのサポートまで見据え、いわゆるGAFAMなどIT企業がインド・中国から高給なソフトウェア開発者をビザでアメリカに呼び寄せているといった構造がこんなところからも見えて来るのでは無いでしょうか。
と言うわけで、今回はアメリカで働くにはビザが大事、インド・中国の方はこの辺り戦略的に考えて職種を考えスポンサー企業を選びアメリカに来てるみたいだよってお話しでした。
注)ビザの要件等は頻繁に変わります。また個々のケースによる場合もあるため、アメリカ大使館HPや担当弁護士等に都度ご確認ください。
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