疎遠になった友人の、とある秘密。

大人になると、普段、連絡をしていない友達とは、だんだん疎遠になってしまう。
つい昨日、たまたま友人女性の誕生日がピコーンとラインに上がってきて、「おめでとう」となんとなく送ってみた。

「しばらく連絡をしていなかったが、安心してほしい。久々の友人から連絡があったとしても、宗教の勧誘や、ツボを買ってくれって話じゃないよ」
「なんだ、仲がいいからツボくらいなら値段によっては買ってたよ」と彼女は軽口を叩いた。

その友達は二十代前半くらいの時に、mixiか何かで知り合い、遠方なので実際に会うことはなかったが、よくくだらない会話をチャットでしていたのだ。

しばらく、お互いの近況を話していたのだが、驚いたのが「旦那が脳梗塞で倒れて、介護をしているということ」と「旦那が倒れる間際に、浮気が見つかった」ということ。
しかも、旦那の家族の借金も返すことになったらしい。
「かわいそうだって思うかもしれんけど、絶望していたら、旦那が保険、高いのに入ってたんだよ。だから、結構ガッツリお金入ったんだ」

それはなんというか、不幸中の幸いというか、だねえ・・・と話すと、「みんなから見ると、車椅子を押してあげている私をかわいそうって思うかもしれないんだけどねえ。実は、私は旦那の世話をしてあげる代わりに対価で自由をもらってる。倒れる前はあの人がずっとモラハラしていて、私を女としてみてなかったけど、代わりに好きなように男と遊んだり、不道徳なことをしたり、バイオハザードやったりしてるんだよ。今はね、人生で一番自由で幸せかもしれん。旦那は私の携帯ロックを外すこともできんからねえ。もう」

してやったりな感じで彼女はラインでそう言った。

「不倫もしているんだけどねえ。実はそのうちの一人は女性なんだ。ただ、試してみたが、私はやはり、人間的に好きでも、女性のことは性的には好きになれないみたいでね。ただ、彼女が私とは別れたくないって叫んでいて、今、ちょっと困ってる。フレンチブルドッグみたいな顔の、五十代の金髪のおばちゃんなんだよ」

「おお。なんとも言えないけども」
「ははは、なんとも言えないよねえ」

人生っていうのは、ほんと何があるかわからんよねってことと、
久々の友達にも連絡を取ってみると、面白い発見っていうのはあるなあ、ってこと。