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絵本に描いた物語を変える

どうも池本です。

今日は早速本題に入っていきます。
『絵本「おばけのパッチ」に描いた物語を変えていく』というお話をさせて頂きます。

そこそことんでもないお話です。



PIXARのストーリーテリングを勉強している

テレビ番組の制作で毎月のように、台本で数本の物語(ファンタジーではないが)を書き、2020年には短編映画を映画祭で上映していただき、2022年には思いっきりファンタジーでノンフィクションの物語、絵本「おばけのパッチ」を描いて出版し。

絵本「おばけのパッチ」表紙

22歳で社会人になって、基本的に物語を創り続けてきた9年間。

そんな中、31歳の2024年4月。
ふと思ったことが……。


「物語ってどうやって創るんだろう」

そう、私池本、「物語の創り方」を学んだことなんて全くなかったのです。

それもそのはず。
別に芸術や映像系の専門学校を出たわけでもなければ、この9年間目の前のことに精いっぱいで。

物語を創っている人なのにも関わらず、こんな根本的な疑問すら今まで浮かんでも来なかったわけで。

で、調べたわけですよ。

「PIXAR ストーリーテリング」って。
突然のPIXAR。

でも私の中で「最高のストーリー」と言われてぱっと出てくるのは「モンスターズインク」というPIXARのアニメーション映画なわけで。

そのPIXARが創るほかのアニメーション映画、「トイ・ストーリー」「リメンバーミー」「カーズ」など、多く作品に心躍り惹かれたわけで。
ならそこから学べないかなーって調べるのは当然なわけですよ。

するとビックリ。
みなさん知ってましたか??

多くの人を感動に引きずり込む「PIXARのストーリーテリング」の方法は、Khan Academy(カーンアカデミー)というところが提供する、「Pixar in a Box(ピクサー イン ア ボックス):The art of storytelling」の全41回の講座を動画で学ぶことができるんですよ!!!

しかも!!!

無料!!!!!!

これは嬉しい。
物語を創る人やクリエイティブを生業にしている人は、今すぐにでも学びたい内容ですよね。

………しかしここで問題が。

ぜんぶ英語。
おわった。
そう思った人も多いのではないでしょうか。


しかししかし!!!
なんと英語がめっちゃ得意なPIXARファンの人が、講座をすべて日本語訳してくれたサイトを見つけたのだ!!!

……というわけでずいぶん遠回りをしましたが、最近このサイトを熟読して、メモを取って、「ストーリーテリング」について学んでいるわけです。

それはそれはめちゃくちゃに学びになる講座ですよ。
別にファンタジーを創るとか、文章で物語を書くとか。

そんなん関係なく、絵を描く人、映像を創る人、はたまた会社で企画書を創る人。
全ての人が使える「人の心を惹きつける物語の創り方」がそこには書いてありました。
 ※もちろん全部じゃないだろうが…。


でだ。

この講座を学んでから、自分が絵を描き、物語をつづり、出版させていただいた絵本「おばけのパッチ」を見返すと……。

「おばけのパッチ」の世界が、もっと進化することがわかりました。
もっと面白くなることがわかりました。

もっとしっかりとした物語を経て、娘に思いを伝えられる気がしました。


……ちなみにこの講座に書かれていることって、私は知らなかったけど、物語を創る人からすると当たり前で、みんながこの方法で物語を創っているくらいの「王道のやり方」が書いてあるのだと思います。

で、私はふだん「他と同じことをするのは嫌だ!合わせたくない!」と思っているし言っているのですが、世の中にはごくごくたまーに自分も納得ができる「王道のやり方」が存在しています。

だってこの「王道のやり方」で、私はどうしようもなく感動してしまっているのだから。
この体と脳で経験してしまっているのだから。

そしてそれが長い時間を経て世界に残っているのだから。

だったら私は、それがどれだけ「王道のやり方」でみんながそうやっていたとしても。
その方法を使います。


PIXARを通してパッチの世界はこう変わる

では「PIXARのストーリーテリング」の講座を通して、「おばけのパッチ」の世界や物語がどう変わったのか。

現状思いついている設定や物語の変更点と、それを受けて今後どういった作品の制作に落とし込んでいくかをまとめておきます。

※※絵本の物語の無料公開ページはこちら※※
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まずは「こんな感じで変えてみるのはどうだろうか」という物語の大枠を、先に書いておきましょう。


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ニンゲンの世界のすぐ隣にある「おばけの世界」。
その世界の「おばけの街」に暮らすおばけにとって、ニンゲンは驚かすべき存在です。
おばけと違う存在でなんだか気持ち悪いけど、驚かした時の反応は最高に面白い。
それがニンゲンなのです。

おばけたちは「おばけの世界」に多く存在する「トリイ」と言われるものをくぐり、ニンゲンの世界に行っては驚かし、その様子を見て楽しんでいました。
子どものおばけたちも、学校で「ニンゲンの驚かし方」を学び、ニンゲンの世界に行ってニンゲンを驚かす大人のおばけについていっては学び。

立派な「おばけ」になることを目指していました。


「おばけの街」に暮らす子どものおばけ・パッチは、学校の中でもニンゲンを驚かせるのが上手なおばけです。
なんてったって、色んなものに変身できるからね。
いつかはおばけの街一番のおばけのなることを目指してるんだ。
だからこそ、毎日毎日ニンゲンを驚かせるお勉強をしてるよ。

そんなある日。
「もっとニンゲンを驚かせる練習がしたい!」と思ったパッチはこっそり1人でニンゲンの世界へ。
だけどなんでか、今日は人っ子一人いやしない。
なんか変なことが起きそうだ。
トリイをくぐっておばけの世界に帰ってきて。
自分の家に、自分の部屋に帰ってきて。

するとビックリ。
なんとニンゲンの子どもが、こっそり1人でパッチの後をつけて、おばけの世界に迷い込んできた。
パッチはビックリしちゃった自分に「ボクはビックリさせる側だ!」と言い聞かせ、その子を驚かせようと練習の成果を披露する。
だけどその子はビックリするどころかキャッキャと楽しそうにし、パッチに話しかける。
「君の名前は?」「私はマユちゃん」「お友達になろうよ!」

「ボクはニンゲンと仲良くなるんじゃなくて驚かせるんだ!」と言って、パッチくんは驚かせることができなかったマユちゃんのところに毎日行っては驚かせる。
でもマユちゃんはその代りにと、おばけの世界に連れてってもらい一緒に遊ぶ。
するとパッチもだんだんマユちゃんと仲良くなっていく。
自分の家にマユちゃんを連れてきて、一緒に遊ぶ。
その様子をみて、パッチのママとパパは「願いが叶った」というような笑顔を見せる。

そんなある日。
ニンゲンの子どもと遊んでいるパッチを見た子どものおばけが学校で、「こいつニンゲンの子どもと仲良く遊んでたぜ?」「なんでニンゲンを驚かさずに仲良くしてんだ?」「驚かせないんじゃない?」「下手くそなんじゃない?」「ニンゲンの世界に行っちゃえば?」と言ってくる。

その日の夕方。
いつも通りおばけの世界で遊ぶためにきたマユちゃんを、パッチくんは突き放して「おばけはニンゲンを驚かすんだ!おばけとニンゲンは違うんだ!それが常識なんだ!もう遊ばない!ニンゲンの世界にかえれよ!」っていう。
悲しむマユちゃん、とぼとぼ帰っていく。

パッチくんはこれでいいと言い聞かせる。
次の日も学校でニンゲンを驚かせる勉強をする。
一番のおばけになるために。

「なんで一番のおばけにならないといけないの?」
「なんでニンゲンを驚かせなくちゃいけないの?」
いつもはマユちゃんと遊んでる時間にそんなことを思うようになる。
ニンゲンを驚かせるための勉強の時間が退屈に感じるようになる。
やっぱりマユちゃんと仲良くなりたい仲直りしたい。
一番のおばけにならなくてもいい、大切な友達と遊びたい。
 ※ここのきっかけはママであるチッチを絡めてもいいかも。

独りでニンゲンの世界に行くパッチ。
神社で遊ぶマユちゃんを見つけて謝る。
無事仲直りする。

マユちゃんは「せっかくならうちでも遊ぼう!」とパッチくんを家に連れてく。
そしたら机に脚をぶつけて、マユちゃんのママパパに見つかる。
マユちゃんのママとパパはパッチを見つけるや否やパッチとマユちゃんを引きはがし、パパはパッチを傷つけ追い出す。
「ニンゲンじゃないやつだ!キモチワルイ、出ていけ!自分の家に帰れ!!」

そういわれてパッチくんとぼとぼ帰ってく。
せっかくマユちゃんと仲直りしたのに。
自分がマユちゃんを傷つけることを言った罰が今になってきたのかなと悲しむ。
もっと遊びたかったな。
もっと一緒にいたかったな。

そうやっておばけの世界に戻る直前。
マユちゃんが追っかけてくる。
「ママとパパには怒っといた!パッチは一番の友達だって!!!」
「だからまたあそぼ!!」
「明日も、明後日も、ずっとずーーーっと遊ぼ!!!」

パッチはきょうもお勉強。
だけど。

いまはひとりじゃないね

おしまい

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みたいな!!!
こんな風に変わりました。

元の絵本「おばけのパッチ」を読んでくれた人からすると、めっちゃ変わったなと思うよね。

でもね。
まだ設定が甘い部分もあるけど、これが一番描きたい物語かもしれません。


アニメーションにしたい

そうなんですよ。

やっぱり私はいつか、「生きている」「動いている」パッチとマユちゃんを見たいわけで。

まぁもちろんメタバースの世界で動き回っているわけなのですが……。

「命」が吹き込まれているわけじゃない。

であれば「命を吹き込む」という意味からきている「アニメーション」という作品に、この物語を落とし込みたいと思うのは至極当たり前かなって思ったりしました。

では。

スタジオパッチ
いけもとしょう

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