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訃報【イタリア】ベルルスコーニ元首相死去 メディア王の重圧

ついにこの日が来てしまいました。

世界で最も有名なイタリア人政治家
シルヴィオ ベルルスコーニ
Silvio Berlusconi

86歳でこの世を去りました。


1936年 ミラノ出身

戦後の経済成長時に、建設業で大成功を収めた後、
ローカルテレビ局を立ち上げ、地上波放送の免許も取得。
さらにはいくつもの局を傘下に入れ、イタリア全土を繋ぐ
巨大な放送網を築き上げました。
また、サッカーのACミランのオーナー兼会長も務め、
多方面で活躍しました。


1992年から政界へ

これまで築いた資金力や人脈を活かし
「フォルツァ イタリア」という政党を結成。
(Forza: 頑張れの意味)
自由主義や資本主義、キリスト教民主主義をスローガンに戦いました。

世界で最も知られた理由は、首相を3回も務めたこと。
(1994〜95, 2001〜06, 2008〜11)
長きに渡り何度となく目にしてきたほど話題は豊富でした。

政治家としての顔はもちろん、汚職やマフィアとの繋がり、スキャンダルなど
突けば出てくるという印象です。
手広く活動する反面、反感を買うことも少なくありませんでした。


政治のことは、一主婦として特に口を出せる分野ではないので
当たり障りのないこの辺りで止めておきます。


メディア王

私がどうしても気になるのが、事業家としての一面です。

ベルルスコーニ氏は小さな局の開局に始まり、次々に他局を傘下に入れ、
さらにはスペインの局も買収し、隣国への拡大を狙っていました。

この訃報にどの記事にも「イタリアのメディア王」と
書いているほど影響力を持っていたことがわかります。

いや、その権力を見事に利用していました。


ここが気になるんです。

私は香川県高松市出身です。
香川の日本テレビ系列の放送局で
ラジオ制作をしてきました。


突然ですが、小川淳也氏のドキュメンタリー映画
『なぜ君は総理大臣になれないのか』、『香川1区』
をご覧になりましたか?

大島新監督による17年にも及ぶ取材を映画にし、
香川の政治が露わとなりました。

小さな美容室の息子である小川淳也氏と
毎回選挙で戦ってきたのが、平井卓也氏。

香川で「平井」と聴けば、一族のことを思い浮かべます。
3代にわたり政治に携わってきました。

歴代親子は香川の大手新聞社の社長を務め、
平井卓也氏は放送局を立ち上げ、圏域である香川・岡山の両県で
メディア王となりました。

そこで10年弱私は制作を行ってきました。

ベルルスコーニ氏が牛耳るイタリアメディアと規模は違うけれど、
上にいる重圧や縛りはしっかりと感じてきました。

私はラジオだったのでテレビに比べて緊張感はありませんでしたが、
それでも番組を聴いた意見や助言、アナウンサーへの指摘、流す音楽など
上からの指示で変更することは何度となくありました。

ベルルスコーニ氏にそんなことがあったかどうかは
知る由もないですが、
イタリア暮らしでテレビを見ていて
彼の傘下にある局では応援するような
番組やCMは当然のようにありました。

一政治家がメディアを操っていることを
堂々とアピールしているのです。


一味を経験した人間にとって、不気味で仕方がありません。
働いている社員も携わる関係者もどんな気持ちだったのだろう…
表では喜んでいるかもしれませんが、
方向性で賛成できない人もいるはず。
そんな人は辞めるのかしら。

いずれにせよ、政治家にとってメディアは
マスを操るにはうってつけの場所。

今夜、彼がいなくなったことで
追悼や悲嘆にくれる番組が流れることでしょう。

これからはクリーンで均衡の取れた番組ができることを祈るばかり。

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