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【イタリア】3万6千分の食品クーポン購入品!

市による支援

3月末、政府から各自治体へ食糧購入支援を発表。
我が市には833千ユーロ(約9千万円分)が割り当てられた。
事業が停止した人や失業者、また感染者といった、
新型ウイルスにより生活が困難な人に向けられた措置である。

すぐさま市は、クーポンを発行し、
要望者はメールやFAXで手続きを行った。
その2日後から配り始め、最終的に、
1531人に200〜400ユーロ分を配布した。

という我が家も、この支援を受けた。
夫が3月に失業保険期間が終了し、
再就職した矢先、事業停止のため正規雇用に辿り着けなかった。
このウイルスさえなければ、順調に事が進む予定だった。

とはいえ、これが現実。
ニュースを見逃さなかったために、申請に間に合った。
そして、無事にく300ユーロ(36000円相当)の
食品用のクーポンを受け取った。
リストに載っている店舗で買い物ができる。
幸いにも、行きつけのスーパーが入っていた。

買い出しの前に、頭の整理!

我が家は夫と二人家族。
月々の食費代は、約300ユーロである。

受け取ってからすぐに使うのをためらった。
というのは、店側が慣れてから買い物する方が
効率が良いと思ったからだ。
だいたいこのような場合、レジに着いてから
”できない”なんてひっくり返るようなことは、
イタリアに住んでいて日常茶飯事である。

そして、このクーポンは50ユーロ分ずつになっている。
つまり、これが6枚ある。お釣りは出ない。
なので、一回の買い物に50ユーロを上回る方が良い。
いつもの買い物はそこまで達しないので、
買いすぎたくらいになることが分かる。

では、何を買うべきか一覧にし、
頭の中を整理することにした。

《我が家の買い物リスト》

【飲み物】
*ミネラルウォーター
*牛乳・豆乳
*コーヒー豆(エスプレッソ用の挽いたもの)
*紅茶・ハーブティー

【野菜・果物】
*サラダ
*人参
*セロリ
*ねぎ
*玉ねぎ
*ズッキーニ
*トマト
*なす
*葉物野菜
*マッシュルーム
*りんご
*オレンジ
*キウイ
*いちご
*パイナップル

【缶詰】
*コーン
*鰯
*鯖
*鮭
*トマトペースト

【乾物】
*スパゲティ・ショートパスタ
*お米(日本食用、穀物、玄米、インディカ米)
*ひよこ豆・大豆
*パン(サンドウィッチ用、甘くないラスク、クラッカー)
*小麦粉・米粉・イースト菌
*クッキー

だいたい、これらが日々消費しているものだ。
これを基準に購入することで、生活の助けになる。

いざ、出陣!

実はここ数日、スーパーへ買い物に行こうとしていた。
しかし、あまりの行列に後ずさりしてしまった。
配布から一週間経ち、そろそろ買う必要が出てきた。
今日は、何が何でも実行する!と意を決して挑んだ。

早朝に行くつもりが、9時に到着。
なんとそこには、これまでの以上の列をなしていた。
後に分かったのだが、営業時間を通常より1時半も前倒ししていた。
そうでもしないと回転しない、もしくは売上が下がるのだろう。

我慢するのみと思い、カートを用意して並んだ。
大半が女性で、1割程度の男性陣はメモを片手に待っている。
天気は良いのに、列は日陰に並ばざるを得ないため、
暖かそうに見えて寒い。薄手のダウンを着てきて正解だった。
待つ間、カートを支えに軽い運動をしたり、
溜まっていたメッセージの返信をしていた。

向こうの方に日が照っているの見えるだろうか。

1時間ほど経った頃、ようやく店の入り口に着いた。
念の為に、クーポンが使えるかどうか尋ねた。
その応えは、「もちろんだよ!」
だと思っていたが、想像もしていない返事に凍りついた。
「まだここでは使えないよ。」と。

やっぱり。。。

だいたいこうだ。
一筋縄ではいかない。

すぐさま、車で待っていた夫に連絡。
彼もやって来て、係員と話を始めた…

要するに、私が見たリストにこの店は入っていなかった。
名前があるのにおかしいと思ったら、
同系列のミニスーパーのことだった。
言い訳をすると、
小型店のミニの表記がなく大型店の名前になっていた。
つまりは、自分のミスだった…。撃沈。

夫が「どうする?帰る?」と聴いてきたが、
ここで引き返すわけにはいかない。
せっかく並んだのだから、ここでしか買えないものと
今すぐ必要なものを買うと、半べそをかきつつ中に入った。

ということで、いつも通りの買い物を済ませ外に出た。
残念そうな私に、夫は
「クーポン使えなくて悔しいね。
じゃあ、どうやって使うのか僕が試してくるよ」と
家に到着するや否や中央市場へ出かけた。

30分後もしないうちに帰ってきた。
市場は、スーパーに比べ新鮮だけれども少し値段が張る。
そのため、人は少なく買い物は待たずにできる。
逆に考えるとこれは、恵まれた環境なのかもしれない。


さて、気になる初回のクーポンだが、
夫は50ユーロ分の魚を手に入れた。

*大きめのサーモン4切れ
*二人分の黒鯛2尾
*"40cmほどのスズキ1尾

サーモンは即冷凍保存へ。
それ以外は天然とあって新鮮だが高い!
美味しいうちに食べるため、下処理だけ行った。

これだけで50ユーロだとすぐに使い終わる。
身体に良いから、頻繁に魚を食べたいところだが、
長期保存に向いていないので、もう魚をクーポンで買わない。

兎にも角にも、最初のクーポンは無事に使えた。
名前やナンバーを照らし合わせることもなかったので、
お釣りのない現金という感じで捉えていいだろう。

史上最大!4時間に及ぶ買い物

そして翌日、再びスーパーへ。
今回は、夫が一人で行きつけの店へ行くことにした。
前回の買い物リストを手に、朝8時に出かけた。

着いた頃に、どう?と聴いてみると、
「日差しが暖かくて気持ちいいよ!」と
呑気な返信に、この人と結婚して良かったと思える瞬間だ。
この街は、海岸に面している。休日や時間ができると
海水浴や日光浴に海へ行く習慣がある。
彼は、ご多分にもれず太陽を愛してやまない。
なので、陽のあたる場所で並ぶことが苦ではないようだ。
その気持ちとは裏腹に、この日の行列は、
最高記録を更新するかの如く、長蛇の列をなしていた。

1時間では帰って来れないだろう。
2時間経った頃に再び連絡すると、まだ待っていると。
3時間も過ぎた頃に、ようやく入り口近くに着いたと。
それからメッセージが来なかったので、
買い物を始めたことが伺えた。

そして、お昼を迎える頃に連絡がやっときた。
「トイレに行きたくて急いで帰ってきた!」と。
長時間立ちっぱなしで、飲み食いはおろか
トイレにも行けず買い物をしただなんて。

買い物をするだけなのに、
こんなにも苦労を虐げられるのか。と、
目に見えないウイルスに対し憤りを覚えた。

リストにのっとってカゴいっぱいに盛って、
購入した額180ユーロ!!
それから"10%の割引と会員割引きで、
なんと162ユーロ
ということで、€12を財布から出しただけで購入できた。
こんなにも一気に、さらに自分のお金ではないという状況に
さぞかし悦に浸れたことだろうと想像した。
並んだ疲れも少しは吹っ飛んだようだ。

実はこの日、復活祭:パスクア(イースター)の直前とあって
大勢が詰め掛けたようだ。
その渦に、特に祝もしない夫が巻き込まれた。
もっと、よく考えればよかったが、
食品がなくなっていたから仕方がない。
当の本人は、グチモ言わないから問題ないんだろう。

最後の2枚

これまで、鮮魚とスーパーで4枚使った。
冷蔵庫内のメインディッシュがなくなったので、
新たに何かを購入するチャンスが来た。
今回は、魚にしよう!それも冷凍の。
市場の新鮮な魚ほど高くなく、
長期保存できるからたまに利用する。

そして、買った50ユーロ分の魚とは…

* 金目鯛3尾
* シーフードミックス
* むきエビ300g
* 鯛の切り身5切れ
* ムール貝1kg

少しずつ料理に使うことができるから、
変化がつけられて味にも幅が出る。
ナスとエビの炒めものはすぐにした。

そしてついに、六枚目のクーポンを使う時がやってきた。
月の中頃に近所の小さなスーパーへ。
小雨が降っていたこともあり、
表に並んでいたのはわずか5人!
得した気分になった。
買い物も落ち着いてすることができた。

入ってすぐに気づいたのが、
引くタイプのカゴが掃除してある!


今までここまで手入れされたものを一度も見たことがない!
底や角が汚れていて、チラシや袋が残っているのが当たり前。
この慣れもどうかと思うが、残念ながら常だった。
が、今は全てが違えばカゴもキレイ。
新型肺炎がもたらした一つの良い点だ。

買い物は、メモにまとめることが、
無駄遣いや浪費を防ぐことになるようだ。
なので、記した内容に沿ってこのカゴに入れていく。
山盛りに買ったものはこれら。

50ユーロを少し超えただけだった。
野菜が後ろの方にあって見えないが、
これで5日分にはなるだろう。

食品クーポンを利用して気づいたこと


初めて食材の保存について知識を得た。
人参は、一つずつキッチンペーパーで包んで数本まとめて袋に。
ズッキーニは一本ずつラップで包む。
レタスは、トマトは、いちごは…とネットで調べ尽くした。
20日経った現在でも、
野菜や果物は新鮮さを保っている。

冷凍庫も、今まで入ったことのない
なす、マッシュルーム、トマト、自己流ミックス野菜
バナナ、パイナップルまですべてカットして保存袋に入れた。
あとは、ハンバーグや肉団子の下準備もして
味付冷凍の術も身につけた。

一日3食+間食を飽きの来ないように仕込むのは
とても難しく終わりがない。
新しい味を取り入れたり、隣に住む義母に頼ったり
テラスで食事したり、あの手この手で過ごしてきた。
そろそろ、デリバリーでも頼もうかな。
…いや、それより夫がご飯を作って
片付けまでしてくれることの方が嬉しい。

そうか、いつも食で労って労われていたのかもしれない。
食べ物だけに限った話ではない。
掃除や片付け、植木鉢の手入れなどあらゆる面で
お互いに感謝が足りなかったのかもしれない。
ストレスの捌け口のなさにギスギスしすぎていた。

食品クーポン、新型コロナ…
あなたにそこまで気付かされるだなんて、誰が想像したことか。
って感慨にふけるのも、この時期ならではの特徴かもしれない。




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