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【イタリア】雨の日に出会った三人の男


天気予報では晴れ続きの予報になり、
もう季節は夏に切り替わったと誰もが思っていました。


しかし、朝のいい天気から一転、
昼と夕方に集中して大雨が降りました。
さっきまでの晴れはどこに行ったのか…
これが1日に2度も起こったんです。

ちょうどこの頃、
イタリアの北部では大洪水が起こっていました。
先月旅をしたばかりなので心が痛みます。

コロナの拡散といい、ポー川付近の干ばつといい、
イタリア北部の被害が続いています。
このあたりは、イタリアの農作物を多く生産する地域。
穀物・果物・野菜・畜産物など、この一年間で起きた被害に対する影響が
今後さらに希少や高騰として表れてくるはずです。
今もなお避難している人がいます。
一刻も早く復帰して、営みが元通りになることを願うばかりです。


雨の日の不思議な出会い


大雨の影響で、バスは条件付きの発車に。
ダイヤが乱れたようです。
仕事を終えて帰宅するまでの間に、
三人の男性と話をしました。


一人目の男性


職場を出た時、幸運にもバスが。
すぐに乗ります!と手を挙げて合図を送り、
乗った時に運転手にありがとうと伝えました。

すると、運転手は何か言っている。
「バス停なんだから…」とか。よく分からないけれど、
乗れたから何でもいい。


ところが、

運転士が途中で何かを言っている…
「奥さん、このバスはここで終了です。」
「終わりってなに?」
「Deposito」という単語が聴こえました。

えっ⁉︎と思いつつ、雨降るバス停に降ろされました。

この人、わざと私を降ろしたんじゃないか…
なんて意地悪な人…とまで思ってしまいました。

後で夫に訊くと、「彼の勤務時間が終わったから、
車庫に戻るのかもね」と。
真っ直ぐ行くと思ったのに、車庫はこの先右に曲がる。
だから、ここで降ろされたのか。

じゃ、始めから乗せないでよ。とムッとしつつ、
まぁ、ほかにもバスが通り過ぎているから、
来ないことはないだろうとバス停で待つことに。


二人目の男性

この時スマホの充電が12%になり、少し焦っていました。
バスの切符はアプリで購入。
車掌が確認に来た場合それを見せないといけない。
せっかく買ったのに見せられないと罰金なのかな…。


そんなことを考えながらバスを待っていると、
ゴミ袋に身を包んだ中国人男性がやって来ました。

私を見て、中国語で話しかけてきます。
そして私は言いました。
「我不是中国人。我是日本人。」

それでもまだ中国語で話しかけてきたので、
これ以上は分からないよ!と
イタリア語で伝えると、彼もイタリア語で返してきました。

直前まで競馬場にいて、馬と遊んできたと言っています。
見るからに、高価そうなものを身につけています。
ジャケット、靴、時計、アクセサリーと全体が
ギラギラしています。


日本食レストランを営んでいるオーナーで、
7年前にお店を開いているが、お客さんは減っている。
君も働いていたの?繁盛してた?なんて話をしました。

10分くらい話していたでしょうか。
なかなかバスは来ません。

男性は痺れを切らし、小ぶりになったことで
「歩いて行くけど君は行かないの?」と。
歩くには家まで遠すぎるし、歩き出すとバスが来るからと断りました。

Ciao と挨拶。
が、数秒後に戻ってきました。
下りのバスが行ったから、上りも来るはずだ!と。

私はそんな甘くないよ…と思いながら道路を眺めていると、
一台のタクシーが。男性はそれを捕まえて消えていきました。

この男性の住む家の付近はバスが通らない場所。
お金に余裕あるなら始めからタクシー呼べば良かったのに…
なんて余計なおせっかいをかきました。


三人目の男性


出発する前に「今から帰る」と伝えていましたが、
約30分過ぎたので夫が電話をかけてきて、
「迎えに行こうか?」と言っています。
ですがこの間に来るはずだからいいと待っててもらいました。
「もう夕飯はできたから、早く帰ってきてね!」と。
ありがたい料理好きな夫です。


そろそろ、携帯の充電がなくなってきたので
全ての起動してているアプリを閉じ、
飛行機モードにして電波も遮断しました。



すると、紺色のミニがバス停の前に停まりました。
白髪のオシャレおじさんが声をかけてきます。

「バスは来るのかい?」
私は「もう来なければいけない」と言うと、
「もしよければ、僕が君の望むところまで送って行くよ!」と
真面目な顔で話しかけてきました。

悪い人ではなさそうだし、乗ってもいいかな〜
疲れているし〜。身の危険はなさそう…


と思ったけれど、
「バスの切符はもう買っているの!」と
適当な返事をしました。

すると男性は、
「あっ、後ろからバスが来ている!」と教えてくれました。ホッ…
「あなたの親切をどうもありがとう!」と笑顔で挨拶。
車は走り出しました。

無事に乗車し帰宅。

翌日職場で、「車で送ってくれるという男性がいたの」と
話をしたところ、全員から
乗らなくて良かった!」と口を揃えて反対されました。
いい人そうだったとも伝えたけれど、
「いい人 "そう" で本当は分からないからね!」と。
そりゃそうだ。

一人の同僚は、
「僕は何度も声をかけたけれど、みんなに断られたね」と。
ほら、いい人も本当はいるのよ。
でも、何かあってからでは遅い。

… … …

雨の日は、風雨に疲れたり、用心したり、濡れたり、
運転手らは荒くなったりと何かと気を張っています。

そんな中、優しく声をかけられたら…
危険ですね。
そこを狙っているのかもしれない。

車で話しかけてきた男性はもしかすると、
一度通り過ぎて戻ってきたのかもしれない…
とまで思いました。
アバンチュールが目的か?


これまで危険な場面に遭遇してこなかった私。
引き続き警戒を続けます!

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