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【ラジオ】イタリア通信〜ヴァカンス〜学習・温泉・食
vol, 91
2ヶ月に一度、香川県・西日本放送ラジオにて
イタリアから生電話で珍しい文化や暮らしの発見、
イタリアにあるニッポンを紹介しています。
2024年5月に放送した内容をまとめたものです。
Buonasera a tutti‼︎
新たな番組でもどうぞよろしくお願いいたします!
16時すぎからの放送とあり、これまでの「Buongiorno」から
「Buonasera」に挨拶を変えました。
改めまして、自己紹介。
RNCラジオで番組制作をしていましたが、経験不足から行き詰まる。
ほかの人にはない体験をすべきと思い立ち、約12年前の28歳の時にイタリア語学留学へ。
来た翌月から「イタリア通信」は始まり、今回で91回目の放送となります。
生業は、一年前からイタリアンレストランにてアシスタントとして、厨房で働いています。
今回お届けする話題は「ヴァカンス」
イタリアの学校では6月半ばから夏休みに入ります。
もう、5月から予定を組んでいる人も少なくないようです。
ですが、レストランにとってはこれからが繁忙期。
その前に有休を使いました。
今回は車で出かける旅として、2時間半ほど南下した地方を訪れました。
何が目的かというと、「どじょう」。
生き物ではありません。土壌です。
土地・地質が気になるところなんです。
訪れたのは、「ラルデレッロ」という人口900人の小高い山というか
丘の上にある集落。
ここは知る人ぞ知る、携わる人なら知ってて当然という場所。
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世界で初めてあることを行った場所
ここは、イタリアの詩人ダンテが「地獄」を描写するきっかけを与えたところだそうです。
ダンテの代表作『神曲』の内容です。
土壌から想像して、地獄・・・
日本でも言いますよね?
〇〇地獄、地獄谷、○地獄など…
どんなものを想像しますか?
熱い・湯気・湧き出る…
そう!
「温泉」
ダンテが見たものは、地下から放出される蒸気の柱。
そして、地面の温度は200度を超えるところもあるとか。
葛折りになった山肌を走っていくと、向こうに集落が見えるんです。
窓を開けてみると、硫黄臭が漂っていました。
日本人なら、「硫黄」となると、
温泉や宿、足湯、温泉卵、温泉まんじゅうなど心踊りますが、
そんなものはここにはないんですよ。
温泉に入りに行ったわけではないんです。
ある博物館を訪れました。
噴き出る蒸気を「利用」した・・・
ということでここは、「地熱発電 発祥の地」
地熱博物館を目的にやって来ました。
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ちなみに夫はこれまでに、学校の行事で何度か訪れているようです。
地熱発電は周辺の地域では必須学習なんでしょうね。
湧き上がる蒸気の柱から、いきなり発電が行われたわけではありません。
その前に、フランス人起業家により、この地で「ホウ酸」が採れるとわかり、工場ができました。
それから、蒸気で発電ができないかと、電球をつけるところから始まりました。
世界で初めての地熱発電が始まったのが、1913年のこと。
111年前!わりと近代なんですね。
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地熱発電は、マグマの熱を利用して、蒸気によりタービンを回しエネルギーを作ります。
天候や季節に左右されず安定的に供給を行え、
二酸化炭素を排出しないクリーンの純国産エネルギーとして期待されています。
日本では、東北や九州地方にあるようです。
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博物館には、地熱発電の仕組み、掘削に使ったかつての道具、
色とりどりの水晶などの鉱物、街の模型などを展示していました。
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案内の人に聞いてみると、日本人の大手企業の人たちも見学に来ているようです。
あと、気になったのはは彼らの電気代。格段に安いんだとか。
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街には、写真のように大きく太いくだが張り巡らされています。
これを各建物やほかの地域にも送られているようです。
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私が気になったことが一つありました。
イタリアは、ブーツの形をしています。その中央をまるで骨のように活断層が通っています。
温泉や蒸気が出る地域だから、地震が頻発しそうだけれどどうなのか。
案内のお兄さんによると「ほぼない。君が思っているほど怖い土地ではないんだよ」と言っていました。
ところで、フィレンツェの作家ダンテは、いつの時代にこの風景を見たのか…
ダンテが生きていた時代は、12〜13世紀なので、約700年前のこと。
発電なんて発想もない!
ただ、もくもくと白い蒸気柱があちこちから出ている熱い場所だったんですね。
博物館の紹介文には、かつてこの地域は「悪魔の谷」と呼ばれたようです。
神様が怒っているや、危ない地域だと思われていたんです。
さらに、紀元前に住んでいたイタリアの先住民族(エトルリア人)は、
すでに「ホウ酸」を利用していたようなんです。
(古来より、食品・薬・防虫防腐剤など、現在も洗剤、化粧品などに使用されています)
先住民族は後に、古代ローマに征服されました。
温泉と古代ローマ、温泉のことを「テルメ」と言います。
だから、漫画『テルマエロマエ』(ヤマザキマリ作)から分かるように、
この周辺の人々は、古来から温泉を利用した賢い民族だったと伺えます。
実は、蒸気やホウ酸が放出するだけでなく、
やはり温泉も湧き出ているんです。
ここからさらに丘陵地を走り抜けました。
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なんの変哲もないイタリアの田舎。
周りには、ぶどう畑、オリーブの木々、牧場、のどかな風景が広がっています。
目的地直前。高台からその場所が見えました。
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ズームイン!
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降り立った場所とは・・・
源泉掛け流しの川というか滝。
車道から少し下がったところに突如現れる不思議な光景です。
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ここは、 Terme di Saturnia サトゥルニア温泉。
24時間、無料で源泉掛け流しの温泉に浸かることができます。
温度は37度くらいなので、一年を通して過ごせます。
段々畑のようになった場所で、各々長時間滞在しています。
ラジオでは音声をお届けしました。
建物の右側から潤沢に溢れ出る温泉は勢いよく、付近ではマッサージのように肩や背中で受けている人が多くいました。
熱くなると、下に降りて手前を流れる川で涼みます。
田舎町ですが、大型の観光バスもやってきて、国際色豊か。
様々な言葉が飛び交っていました。
近くには食事ができるお店もあり、常に行列ができています。
日本からわざわざ訪れる人はあまりいないと思いますが、
温泉好きなら試してほしい場所です。
そして、ヴァカンス:旅で特に重要なのが「食」です。
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お手製のパプリカとそら豆のペーストが胃を刺激する!
中央にある、アプリコットとブドウジャムも絶品。
この地域を車で走っていて思ったのですが、羊や牛をよく見かける。
レストランへ行くと、どこへお店にも「リコッタチーズ」が出てくる!
ホエーから作るチーズなので低脂肪で身体にもやさしい。
前菜、パスタ、ソース、ドルチェとあらゆるところに使われています。
朝食用の焼き菓子にも、リコッタチーズのものだけで3種類!
リコッタだけのもの、いちごジャムと重ねたもの、チョコを入れたものなど、
全部食べますよねぇ~
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ベテランスタッフの方に聞いてみると、リコッタだけでなく、乳製品をよく摂るんだとか。
お店ではなく、生産者から直接買うようです。羨ましい!
今回のヴァカンスは、地熱発電を学び、天然温泉に浸かり、地元の食材を堪能する
贅沢な旅となりました。
日本からイタリアに来る人にとっては穴場な内容ですが、
イタリアに長く滞在する人や、辺境やイタリア史に興味ある人なら
体験してほしい、トスカーナ地方の魅力を存分に満喫することができます。
ぜひ!
ではまた次回、
Ciao ciao!!
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