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【イタリア】お肉争奪戦の末に放った夫の一言が秀逸

昨日「玉セロ参」という名前を作り、料理の話を書きました。

私の機嫌がすぐれない中、美味しいものを食べて少し和んだ時、
夫がさっきスーパーで起こった出来事を話し出しました。

… … …

買い物カートを押しながらお肉コーナーへ。

遠くからも僕と同じような婦人がやってきて、

二人ともステーキを見ていたんだ。


パックに入ったステーキが並ぶ冷蔵庫を

じっくり見ていると、一つだけ

「€7 (約980円)」という、ちょうどいい

値段と大きさのものがあり、


思わず、


「取られちゃう!」

と手を伸ばしたら…


向こうも同時に、

そのステーキに手を伸ばしてきた…



‼︎‼︎⁈



そして、

同じパックを掴み、


僕たちは目を合わせた…


僕は思わず引っ張り、

ステーキを奪い取った


でも、何か言わなければッ

という状況だったので、

思わず


「お肉が柔らかいといいな!」

“Spero che sia morbida!”


と、言ったんだ。

そしたら婦人は、


「えぇッ‼︎ そうねッ(硬直)」と

アヒルが喉を潰したような声で返事した。


そして僕は逃げ去った…


… … …

お互いに安いお肉を狙っていたセコさ。

思わず奪い取ってしまった情けなさ、

二人の中だけで起こった不意の出来事に

何回も何回も頭の中で思い返していたようで、

夫は何度も繰り返す…。


段々と誇張していき、

婦人とステーキの引っ張り合いになったとか、

スローモーションで手を伸ばすシーンを再現したり、

アヒル婦人の声マネをしたり、

その後そそくさと立ち去る姿を見せたり…


たった数秒の何気ないシーンなのに、

よほど衝撃が強かったのでしょう。



私はというと、それを聴きながら号泣!

爆笑の渦に溺れていきました…
(文章にすると伝わらないのが無念!)


夫の顔や仕草がいちいち笑える!

何より、こんな状況での一言が秀逸で

さすがイタリア人!と感心しました。


私なら、お肉を掴み「すみません」と、

何に謝っているのか曖昧にしながら、

その場を何もなかったかのように立ち去るでしょう。



ですが、夫は、お肉に焦点を合わせたんです。

しかも、値段のことではなく、

お肉の「柔らかさ」に意識を向ける。


素晴らしい機転の効かせ方にあっぱれ!

さすが我が夫だ!と称賛しました。



これを同僚に話すと、

「私の夫なら、婦人にお肉を譲る」と…

そりゃそうだ。

イタリアの一般常識とされるものでは、

年上と女性に敬意を払うのは当然のこと。

だから、渡すのが "普通" でしょう。

ですが、ここで1番の面白みは

柔らかさを呟いたこと。

人としての話は二の次なんです。

もちろん、ご婦人には申し訳ない。

婦人と書いただけで70代を想像しているけれど、

おそらく50代なんだと思います。

同じくらいの年齢でも婦人という言葉になるから、

それは夫にしか分からない状況。

そんな中で勝ち取ったことに喜びも多少はあったでしょう。

なんて言いながら、私も何度も繰り返していました。


ちなみに、勝ち取ったステーキはこちら

12,40€/kg の560g
骨付の大胆なステーキ
長いところで25cm
横は16cm   30%オフが目立つ
箱の角は割れています。
ここを引っ張ったのでしょうね


大笑いして泣いた私は、

午前中の不機嫌がなくなったと気づきました。

ストレスがドッと体内から出ていったようです。


午後から穏やかに、時には思い出し、

笑顔で仕事をすることができました。


疲れている時の「笑い」と「涙」は

最良の薬となりますね。


これを一つの小話として夫には

何度も語ってもらおうと思います。



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